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「英語民間試験の5年延長は安倍官邸の陰謀」前川喜平・元文科次官が激白〈週刊朝日〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191112-00000050-sasahi-soci
AERA dot. 11/13(水) 8:00配信 週刊朝日 2019年11月22日号
国会で答弁する萩生田光一文科相と見守る安倍首相 (c)朝日新聞社
前川喜平元文科事務次官 (c)朝日新聞社
来年度から始まる大学入学共通テストで導入を予定していた英語の民間試験を、土壇場で方針転換した安倍政権。「身の丈」発言で釈明に追われた萩生田光一文部科学相は国会で経緯の不透明さを追及された。内実を知る前川喜平・元文部科学事務次官が真相を激白した。
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「政治によって、教育が振り回されている」
こう憤るのは、2014年から16年まで、文部科学審議官として、大学入試改革の議論に加わっていた前川元文科事務次官。自身も改革に関与した責任を認めながらも、試験延期に至るまでの政府の対応に憤りをあらわにした。
「明らかに『身の丈』発言で批判の流れを受け、政権にダメージがあると恐れた官邸の政治的判断に違いない。政権に批判が及ぶことを回避するために、高校生を置き去りにした判断だ」
事の発端は、10月24日夜のBS番組。教育評論家の尾木直樹氏らと議論する中で、萩生田氏は「裕福な家庭の子が回数受けて、(民間試験を)ウォーミングアップできるみたいなことがもしかしたらあるのかもしれないけど、『身の丈』に合わせて勝負して頑張ってもらえば」と語った。この教育格差を容認するような萩生田氏の言葉に、受験生や教育関係者らの間に瞬く間に批判が広がった。萩生田氏は、週明けの28日、発言を謝罪し、翌29日には発言を撤回し、事態の鎮静を図ったが、効果は見られなかった。だが、萩生田氏は30日に開かれた衆院文部科学委員会でも、「予定どおり実施するために全力を尽くす」と強調していたにもかかわらず、11月1日朝に突如、延期を表明した。
萩生田氏の「身の丈」発言の翌25日には、公職選挙法違反の疑惑で菅原一秀経済産業相が辞任。30日には、河井克行法相の妻・河井案里参院議員の公選法違反疑惑が浮上し、河井氏は31日に辞表を提出した。大臣のドミノ辞任という異例の事態の中、31日には、文科省の藤原誠事務次官が首相官邸を再三訪問する姿が目撃されている。英語民間試験の活用延期が発表されたのは、その翌日にあたる11月1日のことだった。前川氏は言う。
「31日の1日で事態がひっくり返ったのは、官邸の指示を文科省がそのままのみ込んだということ。藤原次官は、以前から官邸との距離が非常に近く、官邸の意向には従順に従う人物だ。高校生ではなく、政権へのダメージを最優先に考えた指示に従った結果、延期という判断になったに違いない」
土壇場の延期の最大の被害者は、来年度の受験生だ。高校2年生といえば、そろそろ18歳選挙権に手が届く年齢。安倍政権の支持層には、10〜30代の若年層が多いことでも知られる。
「だからこそ、高校生の不満を募らせることで、これ以上、若者の支持を失いたくないという判断もあったはず」
英語の民間試験の導入は、5年後の24年度を目指す方向で、試験の仕組みを抜本的に見直すとされている。同年度は、学習指導要領改訂後、初の大学入試が実施される年でもある。前川氏は続ける。
「ここまで準備を整えてきたにもかかわらず、5年先というのは、異例の先延ばし。安倍政権が続いている間に、この問題を再燃させないための策としての5年なのだろう。この先延ばしには、非常に政治的なにおいを感じざるを得ない」
そもそも大学入試改革は、第2次安倍政権初期に、官邸主導で組まれた教育再生実行会議が提言した看板政策として、13年から議論がスタートした。当初から、センター試験を廃止し、アメリカの大学進学適性試験(SAT)に倣った仕組みにすべきという声が自民党内に強くあったという。
「入試改革の源流となる議論は、政治家発のものも含めてあちこちにあって、錯綜していました。教育再生実行会議は、そうした議論を無理やりひとまとめにしようとした結果、非常にわけのわからないまとめ方をした。どう考えても無理がある方向に議論が進んでいったのです」
前川氏が最も問題視するのが、センター試験の枠内に、英語民間試験の点数を組み込んだことだ。
「教育再生実行会議では、下村博文元文科相のもと、とにかくセンター試験に代わる新しい到達度テストを行うという課題が設定されてしまった。ですがそもそも、センター試験はそんなに悪いものじゃなかったんじゃないか」
下村氏、萩生田文科相は安倍首相の出身派閥に属し、2人とも側近中の側近だ。
大学入試センター試験に代わってスタートする大学入学共通テストでは、従来のマークシート方式とリスニング方式の2種類で、読む力と聞く力が測定される。さらに、新たな共通テストは英語のコミュニケーション力を向上させるため、話す力と書く力についても測定する。
そこで活用が決まったのが、入試センターが認定した6団体が実施する7種類の試験。高校3年の4〜12月の間に受験したうち、共通IDを記入した最大2回分の結果が、同センターを通して出願大学に送られる。だがそもそも目的も尺度も異なる複数の民間試験を、単一の基準で比較できるのかという疑問は当初から指摘されていた。
試験結果は「CEFR(セファール)」という英語力の国際指標に当てはめて6段階で評価するというが、それを成績とどう対応させるかは各実施団体それぞれの手法に委ねられ、相互に公正さを担保する仕組みは不透明だった。
「6段階で評価という非常におおまかな段階別評価しかできないものを、センター試験に組み込んで点数化するのは、どう考えても無理がある。他の教科は1点刻みの点数なのに、英語だけにおおまかな基準が入ってくると、それこそ公平性に問題がある。民間試験は、あくまで共通テストとは切り離して、各大学がどう活用するのかを決めるべき。そもそもセンター試験は、1月に試験し、月内に採点するという非常に時間的制約を伴うもの。さらに受験者が自己採点できる正確さも必要で、ここに記述式やスピーキングテストなど、丁寧な採点が必要なものを入れること自体が無理な発想。センター試験は、マークシート形式以外は無理なんです」
毎年およそ50万人が受験する大学入試センター試験。センター試験に民間試験を組み込むとなれば、試験業者にとっては千載一遇のビジネスチャンスだ。一部報道では、教育再生実行本部の初代本部長を経て、文科相を約3年務めた下村博文氏と民間試験業者との癒着が報じられたほか、国会でも民間試験導入の決定経緯の不透明さが追及され、議事録を出すよう要求されている。
「下村さんは国家主義的な道徳教育を導入したりと功罪はあるが、教育の機会均等の努力はした。私が局長のときに、下村さんのもとで高校生のための奨学給付金制度を作ったりと、自身が苦学した経験から、思いも強かった。それに対し、萩生田さんの『身の丈』発言は、憲法と教育基本法に真っ向から反する。経済的格差に甘んじろと言わんばかりの発言で、教育の機会均等という最も大事な理念を理解していない。そんな人に大臣の資格はない」
第2次安倍政権初期に官邸主導の教育再生実行会議が提言した看板政策だった入試改革の頓挫の責任を政権、文科省がたらい回しにする。その構図は被害を被った高校生の目に、どう映っているだろうか。(本誌・松岡かすみ)
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