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「佐賀空港へのオスプレイ配備計画、原発問題、船員不足、保育問題、災害対応にいたる幅広い問題をめぐり論議となった」
— tomochan077🐾れいわ新選組応援! (@tomochan077) 2019年10月27日
【長周新聞】地方の暮らしと主権の回復を れいわ新選組・山本太郎 佐賀市で意見交換会(文字起こし)2019/10/24 #山本太郎 #佐賀 https://t.co/Hdfwjn0H78 pic.twitter.com/yabdRsdYd5
地方の暮らしと主権の回復を れいわ新選組・山本太郎 佐賀市で意見交換会(文字起こし)
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/13867
2019年10月28日 長周新聞 ※動画補足
山本太郎(れいわ新選組代表)おしゃべり会 佐賀市 2019年10月25日
九州ツアーをおこなっているれいわ新選組の山本太郎代表は24日に長崎市、25日に佐賀市文化交流プラザ交流センターでおしゃべり会を開催した。佐賀会場には約250人が集まり、参加者を交えて佐賀空港へのオスプレイ配備計画、原発問題、船員不足、保育問題、災害対応にいたる幅広い問題をめぐり論議となった。これらの論議を通じて山本代表は、地方財政や人人の生活を圧迫して政治的なコントロールを強める緊縮政策を批判し、消費税廃止を含む国による大胆な財政出動の必要性を訴え、政権交代に向けて力を結集することを呼びかけた。主な論議の内容を紹介する。
意見(男性) 今回れいわ新選組から参議院に2人当選された。趣旨はわかるが、活動できにくい人(障害者)を選んだ一番の理由を知りたい。
山本代表 役に立たなそうな人は生きていたらダメという空気感が漂っているのが今の日本だ。だが、今れいわ新選組で国会議員をやっている重度障害者の舩後議員、木村議員はとても生産性が高い。例えば木村さんは、これまでずっと施設収容だった障害者が地域で生活していくという権利を勝ち取ってきた人だ。私がまだ国会議員のときから木村さんと交流があり、厚労省に対して交渉をするという場にも何度も一緒に行っている。そのときに木村さんが省庁との交渉の間に立つ。もちろん当事者としても発言するし、厚労省側にも意見を求めたりとか、他の人を発言させたりという役割を担っていた。私はこの人国会議員になったらいいのにと何年も前からずっと思っていた。舩後さんはご自身の事業所で副社長をしている。ALSというのは筋肉がどんどん衰えて全身動かなくなる。ALSという境遇にありながら社長業をやられている方は他にもいる。
どうして活動しづらそうな人を国会に送るのかという話だが、活動しづらい人がいるのなら活動しやすくすればいい。そこを配慮するのは国会だ。それを合理的配慮という。日本は障害者の権利条約という世界との約束を結び、東京オリンピック、パラリンピックのホスト国でもある。そのような国が障害者施策がかなり遅れているというのは恥だ。そういう意味でも舩後さん、木村さんがなかに入ることによって合理的配慮を国会が進めていけばこれが地方議会でも進み、全国的にそのような扱いになっていく。弱者という言葉があるが、私は弱者なんていないと思っている。ただ支援がなされていなくて弱者という立場に追いやられているだけだ。誰しもが引き上げられたり必要なサポートを受けられれば、活動的に生きていける。
今は生産性で人間の価値が計られるような社会だ。何かしら利益を生み出さなければ認められないという社会だ。「生産性が自分にはある」ということを証明しなければ生きている価値がないと思われる世の中は地獄だ。自分が生産性が高いということアピールするためには他の人のことを平気で踏みつけなければならない。そんな社会になっている。生きるのが苦しいという人たちに対して、「あなたが頑張らなかったからじゃないの?」というような自己責任論がどんどん世の中に拡大している。これが行くところまで行くと、命の期限までも決められてしまうような世の中になるのではないかと私は思う。
例えば2016年6月、北海道小樽での自民党の集会で麻生太郎大臣が「90になって老後が心配とか、訳のわからないことを言っている人がテレビに出ていたけど、『お前いつまで生きているつもりだ』と思いながら見ていました」と発言している。理由は財政だ。圧迫されているという財政問題を入り口に人間の命の期限が決められる状態が将来的に来てもおかしくない状況だと思っている。だから生産性で人間の価値を計らせないということを社会の約束にしなければならない。でなければ次に切り捨てられるのは私かもしれないし、あなたかもしれない。しかしすでに毎年2万人をこえる人たちが自殺し、50万人をこえる人たちが自殺未遂をしている。過労死という言葉が世界で通じる。社会が狂っている。
オスプレイ容認を迫る地方財政圧迫
沖縄・普天間基地に駐機するオスプレイ
意見(男性) 佐賀は今、佐賀空港へのオスプレイ配備計画問題を抱えている。賛成派と反対派があるが、賛成派の方に聞くと「できたら財政が県の方でも潤うんじゃないか」という意見もある。オスプレイ配備についての山本さんの考えを知りたい。
山本 オスプレイについてよくいわれるのが未亡人製造器だ。私は自衛隊にとって必要な防衛装備品を買うなとはいわないが、アメリカとの関係において必要でないものまで無理矢理買わされているのが現状だ。佐賀にとってオスプレイが必要かどうかということなのだが、佐賀にオスプレイが入ってきたら財政はどれくらい変わるのか?
意見(女性) 国から年間20億円(着陸料)を5年間(合計100億円)といわれている。
山本 年間20億円が必要というのは、おそらく地方交付税が削られているからだろう。それでオスプレイに関する意見は佐賀では完全に割れているのか?
意見(女性) 割れるところまで議論が進んでいるとはいえない。すぐに市議会に特別委員会ができたが、ノリ生産日本一の有明海がどうなっていくのかという不安や、そもそも佐賀空港ができたときに自衛隊との共用はしないという公害防止協定を地元漁協と県が結んでいたのに、それを飛びこえて防衛省がやってきたことに対する怒りや不信がある。市議会も県議会も当事者の話も聞かないまま容認決議をしてしまった。住民への説明会も一部でしか開かれていない。市や県全体への説明もない。実際は佐世保の陸自相浦駐屯地と連動していくものであり、飛行範囲は北部九州全体なのに市レベルでさえきちんとした議論をする場もないままに地元対策として20億円を5年間という話が出てきている。知事がそれでまとめようとしている。
山本 全体の問題なのに一地域に限定した説明会しかしていないというのは、原発と同じやり方だ。でも佐賀空港は自衛隊と共用しないという約束をしていたのに、それをなし崩し的に飛びこえてくるというのはひどい話だ。これに対してオスプレイを受け入れてもらえるものはもらっておいた方がいいのではないかという人はこのなかにいるか?
意見(男性) 建設会社を経営している。今の佐賀の建設業界には本当に仕事がない。それで20億円でも入ってくるのであれば、私たちはありがたい。オスプレイに反対する市民の方もいらっしゃるが、仕事がないというのは死活問題だ。
意見(男性) 確かに佐賀県はお金がなくて仕事もない。過去の歴史で、公共投資を「ハコから人へ」ということで削っていった。若い人が地方の建設業界に就職をしない。そしてもう一つわからないのが、オスプレイの危険性について科学的論議ではなく感情的な話ばかりだ。事故の起こらない機械というものはない。
山本 オスプレイは危険なのか? という話だが、オスプレイは高性能ではなく、米軍でさえ運用を敬遠しているというデータがある。米軍安全センターが公表している2010〜12年のアフガンでの海兵隊航空機運用状況では、オスプレイ運用率はヘリ機能を持つ6機種のうちで最低の1・02%。同期間のオスプレイ事故率は、戦闘機などを含めた12機種平均の事故率の約41倍だ。
ほかにオスプレイに対する専門家の否定的見解として、アメリカ国防研究所元主任分析官レックス・リボロ氏の報告書に「海兵隊の保有数250機のオスプレイの飛行時間は723時間。保有数150機のUH1Yヘリは1万6000時間以上」とあり、明らかに差がある。また「海兵隊は今後、給油のできない長距離飛行など、特別任務を除き、オスプレイの大半を退かせるのではないか」といっている。
いろいろ分けて考えなければいけない。今生活が苦しいから、目の前にバラまかれるお金をつかみとりたいと思わされる原因は何か。そこまでしんどくなっているのは、国から地方に交付されるお金が年年絞られているからだ。北海道でも毎年1割の交付金が削られ、基金を切り崩しているという話もあった。国が地方をコントロールしやくするためは、いつでも財政をギリギリの状態にさせておくことだ。カネを見せれば飛びついてくれる可能性があるからだ。
だが「5年で100億円」をぶら下げられて「しょうがないか」というのは健全な状態だろうか? ちゃんと自治体への地方交付金が配られたうえで、この件について判断を問うならわかるが、お金を絞り続け、カネをぶら下げて判断を迫るというのは汚いと思う。何よりも、そもそもの自衛隊と共用しないという約束をひっくり返されていることについて一番怒らなければいけないのではないか。佐賀の人たちが舐められているということだ。札束で顔を叩いたら約束違反も受け入れると思われている。
建設業が厳しいのは全国同じだ。この状況をつくったのは誰か? 民主党の仕分けだろうか? 違う。民主党は3年ほどしか政権を握っていない。一番首を絞めているのは自民党だ。建設業にかかわっている人人が一番怒らなければいけない相手だ。実態を見れば「仕事をいただいているので…」というのは関係性が逆転している。一番偉いのはこの国の有権者だ。だから建設業の団体は自民党側に対してもっとお金を出すようにお尻を叩くべきだ。
「公共事業は悪だ」という極端な人もいる。だが私はそうは思わない。「コンクリートから人へ」ではなく「コンクリートも人も」だ。なぜならコンクリートの耐用年数はどんどん迫ってきているからやりかえなければいけないインフラは多い。災害も毎年起こる。公共事業でやらなければいけないことは山ほどある。公共事業とひとまとめにして批判することはできない。
この国の公共事業を含めた公共投資を見ていきたい。政府がつくる道路などのインフラ整備、公団・公社がおこなう設備投資・住宅投資などを指す「公的固定資本形成」について1994年から2016年まで推移を見ると、消費税を5%に上げた橋本龍太郎政権の時代から小泉政権までの間に半減している。1996年に48兆円ほどあったものが、2007年には27兆円程度になった。10年間で21兆円の削減だ。これで成長するはずがない。投資がないのにリターンなどありえないのだ。
この間に中小零細でバタバタ倒れた人たちもいるし、今も苦しいという状況がずっと続いている。建設と自民党はべったりだといわれるが、その人たちでさえもこんな目にあっている。べったりじゃない人たちはもっとひどい目にあっている。まずはここを怒らないといけない。なぜなら公共事業は雇用を生む。「人や車の通りが少ない道路をつくるな」という話ではない。どこに住んでいたとしても国の責任として移動する権利、アクセスは守られなければならない。「公共事業けしからん」というような話の延長線上に水道民営化みたいな話もぶら下がってくる。命を脅かすことにも繋がっていく。雇用が守られ、関連会社などいろんな所にお金が落ちて一番成長が目に見えてわかりやすいのが建設だ。民主党政権時代の事業仕分けでは、3兆円程度しか減らしていない。もっと大胆に減らしてこの国の成長を止めたのが自民党だ。
新自由主義政策はレーガン、サッチャー、中曽根の時代にスタートし、国営企業を民営化し、労働組合をどんどん壊していって「生産性向上」という話の下に賃金をどんどん安くしていった。企業がもうける道として、賃金をどんどんカットしていくことが一番早い。賃金が下がるに従ってみんなどんどん貧乏になっていった。そのことに加え、国による投資もどんどんケチりはじめる。世界一のドケチ国家だ。例え投資をしても、その間にみんなから金を抜き取るような増税をすれば貧乏になるに決まっている。
国が人人に投資をするしかない。地方に対しても同じだ。お金を刷れない地方自治体は、手持ちの財源以外は使えない。これは家計に近いものがある。だが国は円を発行できる。お金がないのであれば、投資する量を増やすしかない。
オスプレイ問題を考えるうえでも、ここまで仕事がなくなっている窮状を生み出したのは誰なのか、ということをもう一度見つめ直さなければいけない。国内みんなの生活をボロボロにしたのは誰なのか。「痛みをともなう改革」といってその改革後に何が残ったのか。痛みしか残っていない。改革の提案者たちは何も痛んでいない。政治的な決定によってみなさんがどんどん貧しくさせられていることに目を向けなければいけない。でなければすべて場当たり的な対応になる。「しょうがないじゃないか、今苦しいんだからもらえるものはもらっておけ」と、過去の約束さえも市民側から反故にしていくような状況にしてしまったら無茶苦茶だ。
そのためにはどうすればいいのか。政権交代する以外ない。野党のなかにも緊縮のドケチ路線を貫こうとしている人たちもいる。でもそれでは無理だというメッセージを伝える必要がある。20年以上も世界に類を見ないような間抜けな経済政策を続けて、多くの方々を貧乏にさせたというこの現実と向き合うならば生活は底上げされなければならない。それが残念ながら「自己責任でよろしく」「自助自立」などと平気でいう政治家がいる。それなら税金で食べてるんじゃないよという話だ。
オスプレイを受け入れたらお金をもらえるかもしれないが、そこに乗っかってしまうと次から次に押しつけられる。逆にもう政治のコントロール権を取り戻すというときにきていると思う。首を絞められることに甘んじるのではなく、政治をみんなで変えていった方がいいのではないかと思う。
原発は最大の経済非効率
意見(男性) 私は商船の船長職をつとめている。原発のMOX燃料(再処理したプルトニウム混合燃料)を運ぶのは70bくらいの貨物船で2カ月に1回燃料を運ぶだけでいい。しかし火力発電の燃料を運ぶためには長さ110bの船で月に3回から4回と手間がかかる。ロジスティックス(物流)の部分で、事故前までは原発に利があった。だが事故後もまだ原発を動かそうとしている為政者がいる。だからロジスティックスという小さな部分から原発を廃止する政策を積み上げてほしい。
山本 燃料輸送する回数と原発による損失を比較してほしい。例えば土木学会はこの20年間くらいに起こる南海トラフ地震などによる経済的損失は1400兆円という試算を出しているが、これほどの災害に原発は耐えられるだろうか。さらに首都圏直下、東海地震も予測されるなかで原発の安全性を担保することなど不可能だ。
意見(男性) 私が最近まで乗っていた船は、船長の私が51歳でその後の人材がいない。次の世代が20代だ。もうギリギリの状態で油を運んでいる。そして私は25歳で船員になり、今まで国政選挙に投票したのは一回だ。地方選挙でも一回しかない。多くの船員は政治に参加することもできない。声も上げられない。洋上の投票は日本海員組合に組織されている船が船長の管理下のもとで投票できる権利であって、投票の秘密を保持するのがむずかしい。私も船長の権限で投票できなかったこともあった。私たちの労働条件というのは船員法、船員労働安全衛生規則というような海の法律で規制されているため、労働審判などの陸の労働者が受けられる権利をほぼ受けることができない。ぜひこの状況を改善していただきたい。
山本 まず物流現場において人員が足りないという話は、原発の是非をめぐる論議には絡まない。人が足りないのなら処遇を改善し、国が投資して仕事に就きやすい魅力的な部分を膨らませていくことしかない。
原発は事故を起こしても誰も責任を取らない。現に誰も逮捕されないし、それどころか天下りしている。一方、被害者への補償はこの先どんどん細り、同心円で区切られた避難区域もどんどん小さくしていって最終的に「なかったこと」にする方向だ。被害規模が大きすぎて誰かが責任がとれる類いのものではないのだ。だから原発の是非と、燃料を運ぶための人員の確保というのは分けて考えるべき質の問題だ。船による輸送、船員の権利をどう守るかという問題はそれとして考えなければいけない。日本の物流において船員確保は重要問題であるのだから、人が集まらないのなら公務員並みの処遇にするくらいの投資を国がすべきだ。船員の投票の秘密を確保するためにネットによる投票システムを導入することも議論の余地があるかもしれない。
意見(男性) 原発推進論者は「原発は火力に比べて燃料を運ぶ回数が少ないから効率的だ」と主張する。確かにMOX燃料を運ぶ船は一般の輸送船よりも条件がよく、手取り月70万円くらいもらえる。こんな状況では原発をやめるという道筋が見えてこない。
山本 原発をやめるという選択を政治にさせるというだけの話だ。原発やめるには、それ以外にない。原発を動かしてくれというのは原発関連から票をもらっている議員だけだ。船員たちの権利を確保するためにも政治を動かす以外にない。
少子化解決する気がない政府
意見(女性) 私は保育士だったが、妊娠してからやめた。妊娠後、子どもにすごくお金がかかると感じた。妊娠したときに医療費はそんなにかからなかったが、生まれてからいろいろ出費が重なるようになった。私は母乳で育てているのでよく乳腺炎になるが、助産師さんに見てもうらうと保険外で医療費がかなりかかった。乳腺炎が治ってからも妊娠して骨盤が開いたのか腰が悪くなって、整骨院にいったら保険外でまたお金がかかった。
いま子どもを保育園か幼稚園に預けようかと考えている。保育無償化がはじまっているが、ゼロ歳〜1、2歳児の保育料が一番高いにもかかわらず、無償化の対象は3歳からだ。私の娘はもうすぐ2歳だから無償化の対象外だ。3歳からも保育料は無料でも、副食費などがかかるので無償化というよりも割引程度だ。消費税も10%に上がり、新しく走行税とか炭素税とか水道民営化などの話が出てきている。なぜこんなに税金を払わなければならないのかわからない。税金を本当にちゃんと使っているのかと思う。
山本 保育無償化は、はじめから消費税増税ありきだった。消費税が上げられないのなら無償化もやらないというものだ。少子化が「国難」であるならば、増税に関係なく無償化しなければならない。保育にかかわる方々の処遇を変え、そして子どもを育てるということに対して国が面倒を見ていくということだ。
今の状況は子どもを育てにくい。家の中でパートナーのどちらかが働けば食べていけるという状況はほぼない。両親一緒に働かなければならない。働くことを前提で子どもを育てる。だからその育てるという部分に関して国が大きく手を差し延べなければならない。
無償化だから保育園に預けようとしても枠が限定されているから、受けられる人は限られる。そこに対して改善していくべきは保育士の処遇だ。全産業平均で100万円以上給料が安いのでは安心して働けない。だから資格は持っているけど働けませんという人がたくさんいる。介護の世界も同じだ。ここに対して安定した処遇を与えるしかない。私は公務員化するしかないと思っている。高齢化が加速し、少子化が国難であるのだから、介護士も保育士も安定した状況に身を置いてもらわなければみんなが困る。
この二つの職に限定した話ではない。先ほどの船員不足の問題でも、本当にそこが危機的状況になるのであれば公務員化していいと思う。あまりにも不安定な働き方が増えすぎているのだ。一体誰のために不安定な働き方を広げるのかというと、雇う側のためだ。企業が安く人を雇いたいために非正規などの形を増やした。働く人たちにとっては半年後、1年後の自分の状態さえイメージできない。こんな状態で将来設計など無理だ。職を失った途端に寮まで出された人たちは住まいすらも失う。
とくにロストジェネレーション世代(35〜45歳)は、安定した職についてもらうべきだ。国が緊縮で投資をしてこなかった世代が、やはり不安定な労働をしている。1997年、橋本龍太郎首相のときに消費税が5%に上がった。翌年から通貨危機もともなって本格的にデフレ突入した。大混乱だ。就職氷河期で大学を出ても職に就けない。最初に就いた職がアルバイト・非正規。そこからはなかなか正規になれない。今でもそのときの賃金と変わらないような状況で推移しているという人たちがいっぱいいいる。やがてこの世代が高齢者になる。老後に備えられる状況にいまからでもしなければならない。
保育もゼロ歳から無償化しなければいけない。そうでなければ働けないし、食べていけない。食べていけなければ子ども作ることなど無理だ。本人が望めば家族を作ることがかなう世の中にしなければ少子化が解決するわけがない。
デフレ時には大胆な国債発行が可能
山本 消費税廃止や555万人の奨学金をチャラにするとかいろんなことをいっているが、そのための財源をどうするのか。
「景気がいい」とは経済成長している状態のことをいう。経済成長とは経済規模が大きくならなければならない。経済規模の指標であるGDP(国内総生産)とは、個人消費+民間投資+政府支出+純輸出だ。このうち経済規模が大きくなるための一番大きなエンジンは、GDPの6割を占めている個人消費だ。
みんながお金を使えるようにしなければ景気はよくなりようがない。いまは将来が不安だから貯めたり、そもそも出すお金がない状態だ。消費が弱っているのだから企業は投資をしない。そこで政府も投資をせず、増税をしているから余計にお金が回らないのだ。
みんながもっとお金を使いやすくするには、物価を下げればいい。消費税で強制的に物価を引き上げたが、賃金は下がっている。当然、その逆に消費税をやめたらみんなは景気がよくなると共通のイメージを持つ。そうすると企業側も投資を考え始める。需要が高まれば今のままの従業員の数では対応できないし、設備投資も考えるようにもなる。政府が国民に支出しなければならない。従業員をいい処遇で雇用する企業には減税したり、設備投資をする企業に対しても減税をするなど、とにかくお金を使った方が得だという状況を見せていく。この状況を作り出すためには消費税廃止が一番いいと私は思っている。
消費税10%から廃止にするとおそらく25、6兆円の財源が必要になる。「25、6兆円が失われる」と考える人もいるかもしれないが、逆にいえな政府からみんなに25、6兆円の財政出動がおこなわれることを意味する。これでまず中小零細企業が救われると思う。この国に存在する企業の99%が中小零細企業だ。そして税の滞納のうち消費税が六割だ。中小零細の首が絞められている。これを解かなければならない。
25、6兆円を確保する方法は2つある。一つは税金から、もう一つは新規国債の発行だ。必ずしもすべて税金で確保するべきだとは思っていないが、税金でやる場合は金持ちから先にとるのが基本だ。ないところからではなく、あるところから取る。大企業の優遇をやめる。金融資産の分離課税もやめる。所得税の累進制強化と法人税の累進化等で合計最大29兆円の財源が確保できるという試算もある。
国債は政府の借金であり、国債を財源にしたら「国が破たんする」とよくテレビでいっている。だが、30年前から破たんするといわれてきたが、この20年間、日本国債の金利は短期ものも長期ものも下がり続けている。破たん寸前ならば、返済が滞るリスクがあるため国債の金利は上昇するはずだ。だが、いまは10年ものでもマイナス0・15だ。破たんなどありえない。さらに日本円で借金して日本円で返済するのだから、日本円を発行する能力があるのになぜお金が払えなくなるのか? なるはずがない。ギリシャは独自通貨を発行できないから返済が滞った。
当然インフレが行きすぎることは注意が必要だ。米ケイトー研究所の調査によると、世界史上に五六件あるハイパーインフレの事例は3つの共通事項をもっている。@大きな戦争で生産能力が破壊され、かつその再建に国際社会が非協力的な場合、A大革命が生じてこれまでの通貨体制が無効に成るような事態が発生した場合、B何十年も二桁台のインフレが続き、国内産業の未来が絶望的である場合だ。日本の現状はこのどれにも当てはまらない。そもそも政府の借金=民間の資産だ。日銀の統計でも政府の赤字が膨らんだときに民間の黒字が増すことがはっきりしている。「破たんするから増税します」というようなDV国家を変えなければ、もうこの国に生きている人たちがもうもたないところまで来ている。
放置される豪雨災害の復旧
山本 今日は8月の豪雨で被害を受けた武雄市に行ってきた。どうして今武雄に行くのかというと一番重要だからだ。今千葉や福島、宮城も長野も大変なことになっているが、必ず武雄が通った道を通ることになる。一番は生活再建の課題だ。これからゴミ問題もたくさん出てくる。膨大なゴミをどこに置き、どう処理するのか。水害だから家の床板を全部剥がして泥を全部かいて、乾かして、消毒して新たに床板を乗せなければならない。30aとか50aも浸水が入ってきても半壊扱いだ。半壊家屋には54万円とか58万円くらいしか補助金は出ない。だが見積もりすると数百万単位だ。家によっては1500万円かかるといわれた。お金ある人しかちゃんとした生活環境を復旧できない。それ以外の人は二階に住むしかない。床板を外すとしても職人さんも半年待ちの状態だ。絶望的だ。どうしていいかわからない、先のことなんて考えられないという人たちが台風被害によってこれからどんどん増えていく。
そこに対して一番やらないといけないことはお金を出す以外にない。金を出して人を集めてそこにもお金を払ってみんなで一斉にやるしかない。復旧、復興をいかに短時間でやることができるかが、この国の経済に対しても鍵を握ることになる。いま多くの地域でたいへんなことになっている。8月に被害を受けた武雄でさえこの状態だ。住民の方は「戦闘機とか買ってる場合じゃないんですけどね…」と冷静にいわれていた。
こんな政治は終わりにしないといけない。私は民主党政権の原発対応に怒りをもって政治の世界に足を踏み入れた人間だ。だが、自民党が政権を取るときにもっとひどくなると思って立候補した。そんな自分でさえも災害対応は民主党の方がまだ心があったと感じる。例えば3・11東日本大震災の直後は国会の予算審議を6日間止めて災害対応に集中した。いまの政権は西日本の豪雨災害の真っ最中に、カジノ解禁法案を通したいがためにカジノの審議をスタートさせた。カジノなんかなくてもみんな困らない。困るのは日本の金を吸い取ろうとしているアメリカの業者と、そこからパーティー券などを買ってもらっている議員だけだ。この国に生きている人たちに対して愛がないのだ。今全国の災害被災地に対してマンパワーと金を投入していかに短時間に復旧・復興がなされるかということがこの国の命運を握っている。数千万、数百万円の見積もりに対して、50数万円でなにができるのか。
ここまで政治によってめちゃくちゃに生活が壊されてきた。しかしそれをひっくり返せるのも政治だ。だから私たちは政権をとりにいく。消費税廃止をいいつづけてじわじわ勢力を伸ばしてくこともできるかもしれないが、私は多くの人人の窮状を見てまずは消費税5%に下げることを緊急的に実現させなければならないと思う。そのために私は野党のみなさんと塊になって「消費税5%」という旗をたてて次の選挙をたたかうことが政権交代の一番の近道だと思っている。ただ塊になるだけでは勝てない。現実にこれまで勝てていない。消費税を下げるという多くの人が自分のこととして受け止められる政策を掲げるべきだ。力を貸してほしい。野党のお尻を叩いてほしい。みなさんの力を集めて政権交代をしていきたい。
先ほど武雄に行ってきたが、この日集まったボランティアは十数人だとう。圧倒的に人が足りていない。現地には焦りがある。もうすぐ冬が来るからだ。家の一階がスカスカの状態で冬を迎えることは非常に過酷だ。ボランティアが30人ほしいといっていた。ほとんどが県外からやってきている状況だ。もし時間が許すのであれば、周りの人にも声をかけてボランティアに行ってほしい。社協とは別に地元の方がやっている「おもやいボランティアセンター」が大募集している。本当は国が早くお金を出して人件費を確保し、大工さんを集めなければならないのだが、大工さんも半年待ちだ。オリンピックという企業の祭典をやっている場合ではないのだ。だが国がお金を出して一斉に復興させようという政権ではないので、一人一人ができる範囲で力を出してなんとか改善していかなければいけない。ぜひ力を貸してもらえる方に支援をお願いしたい。
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