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文春砲に狙われた菅原メロン経産相「ヤジ将軍」の恥ずかしい過去
https://www.mag2.com/p/news/421294
2019.10.25 新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』 まぐまぐニュース
地元有権者に対して贈答品や香典などを配った疑いが週刊誌で報じられるなど、第4次安倍再改造内閣で初入閣を果たした菅原一秀経産相が窮地に立たされています。それが事実であるならば公職選挙法違反の罪は免れないところですが、そもそも菅原氏とは一体どのような政治家なのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、「ヤジ将軍」と呼ばれた菅原氏のこれまでの国会での行状を記すとともに、彼のようなタイプの政治家が経産相として相応しいのかとの疑問を呈しています。
ヤジ将軍、経産相になったのが運の尽き
議員バッジつけてふんぞりかえっていても、その中身たるや、知れたもの。耳障りなヤジの飛ばし屋や気色悪いゴマスリ屋のたぐいだけは国会にウヨウヨしている。
たまに質問をすれば、時間のほとんどを野党批判と政権へのヨイショで空費する。その半面、他人の質問には威勢のいい野次を連発するのも、たいがい、そんな連中だ。
自民党政調の議論を経て内閣が出してくる法案は、国会で審議するものではなく、国会を通すものだと心得違いしている自民党議員のなんと多いことか。
その代表格が、かの菅原一秀氏。このほど経産大臣という要職についたものの、はやくも「メロン大臣」とかなんとか言われ一部週刊誌で疑惑のスター扱いされている。
彼がメロンのようなのではない。メロンなどの贈答品を選挙区の有権者に送っていたという、公職選挙法違反(寄付行為の禁止)の疑いのある大臣という意味である。
この疑惑を最初にすっぱ抜いたのは、「週刊文春」。贈答品を送った先の有権者の名前、住所などを記したリストや、メロンの販売業者からFAXで送られた明細書などを入手したうえ、「代議士の指示でリストを作成した」と言う元秘書の証言をとっているから、記事の信ぴょう性はかなり高い。
新大臣のスキャンダルは野党にとって絶好の攻撃材料だ。11月11日の衆院予算委員会で本多平直議員はどこからもらったのか、このリストを手に菅原大臣を攻め立てた。
本多議員によると、贈答品リストのなかには50人の自民党有力政治家の名もあった。「安倍晋三先生にはローヤルゼリー大、塩崎先生には小」などと、菅原氏の軽重判断によるとみられる注意書きも細心に書き込まれていた。公職選挙法とは無関係だが、本多氏はそこから突いていく。菅原氏の政治手法の中心に鎮座する「情実」を見てとったからであろうか。
本多議員 「選挙区外の先輩や同僚にお歳暮、中元のようなものを配ることはないですか」 菅原大臣 「選挙区内はございません」 本多議員 「長い議員生活のなかで、本当にないですか」 菅原大臣 「選挙区外ならございます」 |
自民党暮らしも長くなると、誰もが“ごはん論法”の常習者になるのであろうか。中立であるべき棚橋泰文委員長までもが、菅原大臣が答弁を終えて着席するまで次の質問を認めなかったり、本多議員がA4用紙のリストを一瞬見せるようなしぐさをしただけで「理事会で提示を認めていない資料だ」とクレームをつけるなどして、質問時間削りの助太刀をする始末である。さて、そのリストの件。
本多議員 「大臣にもお渡ししたリストには239人の名前がのっている。政治家は50人、このなかには安倍総理も菅官房長官もいる。大臣の選挙区である練馬区の市民の方110人のリストもある。たとえば2006年でいうと練馬区の方にメロン24、カニ38、2006年の冬はミカン23、タラコ・スジコ66、2007年夏はメロン79を贈っている。このリストはおたくの事務所でつくったものではないのですか」 菅原大臣 「昨日、リストを本多事務所からいただきました。現在、確認をさせているところです」 本多議員 「安倍晋三先生にはローヤルゼリー大、塩崎先生には小、こんな判断、秘書にできるんですか…問題は有権者への贈答品だ。こんなリスト作る人、菅原さんしかいない」 |
これがでっち上げのリストなら、「確認させる」などと言わずに即座に否定するはずである。自分がやったことだから、時間稼ぎをしてごまかすのだ。
「安倍晋三先生にはローヤルゼリー大、塩崎先生には小」という露骨な贈答ランク付けは、情実の世界にどっぷりつかった菅原氏ゆえにできること。政治家に贈ったことを認めたのだから、同じリストに記載されている選挙区の有権者に贈ったことも認めなければならない。
週刊文春や本多議員が入手したリストは10年以上前のものだが、俗世間的に考えて、毎年送っていたギフトを取りやめるには、それなりのきっかけと決断が必要だ。文春のすっぱ抜きがなかったら、この冬の歳暮も同じようなことを繰り返すところだったのではないだろうか。
このように国会で攻め込まれている姿を見ると、これまでの菅原氏の国会審議中の行状が鮮やかな対照をなして浮かび上がる。
たとえば、ヤジ。有力政治家への贈答とともに彼の得意とする処世術だ。ヤジ将軍と異名をとることもある。なかでも“勇名”をはせたのは、「保育園落ちた日本死ね」ブログを山尾志桜里議員が国会でとりあげたさいだ。「誰が書いたんだよ」「匿名だよ、匿名」「ちゃんと本人を出せ」など、かまびすしいヤジの数々を主導したのが菅原氏である。
質問に立って野党批判を延々と続けるので有名なのは、同じ野党(ゆ党?)議員であるはずの足立康史議員(維新)だが、その点で決して負けることのない歴史的な質疑を2006年2月9日の衆議院予算委員会で、菅原氏が繰り広げた。筆者は勝手ながら「菅原君、早く質問を」事件と呼んでいる。
小泉政権の末期、第一次安倍政権が誕生する半年ほどまえのことだ。東京の区議や都議を経て衆院当選2期、自民党副幹事長になって間もない菅原議員はよほど当時の民主党が嫌いだったらしく、その日の予算委員会では、質問時間の大半を民主党批判に費やした。いつまで経っても閣僚への質問が始まらないため、当時の大島理森予算委員長から繰り返し叱責されるのだが、その回数が半端じゃない。
「質問者、どんどん質問してください」…「菅原君、早く質問をしなさい」…「菅原君、早く質問に入ってください」…「菅原君に申し上げます。早く質問に入りなさい」…「質問に入りなさい」…「質問に入るように」
大島委員長による計6回の催促でようやく質問に移ったのだが、安倍晋三氏にはこの時の長々とした民主党批判が好ましく映ったのであろう、同じ年の9月26日に発足した第一次安倍政権では厚生労働大臣政務官に取り立てられた。
筆者の見るところ、菅原氏の贈答もヤジも野党批判も、目上に気に入られたいためである。上司にこびへつらう人が部下にはつらくあたるというのはよく見られること。菅原氏も例外ではないようで、週刊文春によると、給与を事務所に上納するよう秘書に要求することがあった。元秘書の次のような証言が報じられている。
「私設秘書だった私はある時、菅原氏から『公設秘書にしてやる』といわれたのですが、同時に『国からの秘書給料は40万円程度だ。毎月10万円は事務所に入れなさい』と寄附を要求されました」
11日の予算委員会で、本多議員はそれに関連し「秘書給与を自分に寄付せよと勧誘、強要したら、法違反です。そのようなことをしたのではありませんか」と質問したが、菅原大臣は否定することもなく「確認してみたい」とその場をしのいだ。
さて、いちばんの問題は、菅原氏のようなタイプの政治家が経産相になって、大丈夫かということだ。関電の原発マネー還流問題などで浮かび上がったように、国のエネルギー政策の根幹が腐りかけているのだ。
関電は第三者委員会で調査すると言っているが、第三者といってもかたちだけで、実は経営陣が責任逃れするための隠れ蓑というケースがあまりに多い。
このような国民の支払う電気料や税金のからむ問題では、企業に任せることなく、経産大臣が指揮をとって全容解明を進めるべきである。それをやれるかどうかが、菅原氏をホンモノの政治家と評価できるかどうかの分かれ道になる。
image by: すがわら一秀 − Home | Facebook
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