http://www.asyura2.com/19/senkyo266/msg/581.html
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(回答先: 八ッ場ダムのおかげで「利根川が助かった」は本当か 識者らに見解を聞く(ダム議論だけではだめ) 投稿者 戦争とはこういう物 日時 2019 年 10 月 19 日 20:15:54)
今回の台風では多くのダムが緊急放流の事態となった事で、ダムの限界が見えた。しかし一部の与党サポと、もう一つの趣味傾倒者が、事実に反した主張を繰り広げた。
今の忖度大マスゴミに、どれだけ検証と修正の能力があるだろう。
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被害収まらぬ中飛び交う「ダム翼賛論」が間違いである理由
https://news.livedoor.com/article/image_detail/17239308/?img_id=22757205
2019年10月16日 8時33分 HARBOR BUSINESS Online
*浸水した長野市篠ノ井付近(時事通信社)*写真https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/3/0/30037_1434_e581aa20_621b6214.jpg
◆「伊勢湾台風」再来の可能性もあった台風19号
去る10月12日から13日にかけて2019年台風19号(Hagibis)が関東から東北南部にかけて直撃し、その災害は関東甲信越と奥羽南部に甚大な打撃を与え、現在も余波による拡大が継続しています。
台風19号は、台風15号とほぼおなじ進路を取りましたが、やや西寄りの進路であり且つ、大型で強い勢力を維持しながら上陸しました。
大型であると言うことは、その風雨による影響圏が広いと言うことを意味し、強い勢力は、風雨の双方またはその一方が強いことを意味します。そして進路が西寄りになったことで、首都圏の大部分が台風の進路右側、危険半円(きけんはんえん)に入りました。北半球では、台風=熱帯性低気圧の進路右側では、台風の中心に吹き込む風力と台風の進行速度が加算される形で合成風力となりますので、風雨が進路左側より大幅に強くなる為、と呼ばれています。一方で進路左側は可航半円(かこうはんえん)と呼ばれます。
台風19号は、首都圏の過半を危険半円に巻き込みましたので、台風の進路としては最悪と考えて良いでしょう。
更に10月12〜13日にかけて、海の干潮はその潮位差が最大となる大潮でした。満潮時には、月間最高潮位となりますので、満潮時に台風が危険半円側で最接近すると低気圧による海面の吸い上げ効果、東京湾への風による吹き込み、高波と河川のバックウォーターによって大洪水となる恐れがあります。この典型例が伊勢湾台風です。名古屋市から見た伊勢湾台風の進路と、東京都心から見た台風19号の進路はたいへん酷似しており、台風の最接近時間と降雨状況によっては、東京湾沿岸部は概ね文京区あたりの内陸まで壊滅の可能性がありました。
満潮時間は4時前後と16時前後でしたので、4時まで、16時までに台風が危険半円側で最接近した場合は、防災機能を遙かに超越する高潮とそれに伴う洪水で首都圏壊滅もあり得ましたが、相手は台風ですのでまさに見守るしかありませんでした。
気象庁が72時間前に異例とも言える記者会見を行った*のはこれが大きな理由の一つですが、受け取る側、首相官邸は意味が分かっていませんでした。典型的な猫に小判です。
<*気象庁「11日(金)までに暴風などへの備えを」 2019/10/09 TBS>
◆被害はさらに拡大。まだ「災害の渦中」である
実際には、台風は引き潮の21時頃に東京北西側を通過しましたので、高潮による大洪水という伊勢湾台風の再来は免れました。
しかし、可航半円側にもかかわらず関東北部、甲信越、奥羽でも甚大な水害被害が発生し、危険半円側の関東南部でも河川の氾濫や溢水が発生しています。
現在も河川の増水は継続しており、千曲川、荒川上流、渡良瀬川上流、久慈川などで氾濫発生中または氾濫の危険が極めて高い状態ですので、台風19号による災害はまだ終わっていません。渦中です。
しかも北緯10度から20度の間には熱帯低気圧が発生する前兆と思われる雲塊があり、最終校閲中の10/15午後、熱帯性低気圧96Wとなりました。勿論これが台風となって日本に襲来するか否かはまだ分かりません。
◆災害規模被害状況不明にもかかわらず飛び交った翼賛デマゴギー
10/12日の夕方頃から、関東一円で多数のダムが緊急放流=ただし書き操作=異常洪水時防災操作を行うという緊急報道がなされはじめました。それと同時に毎度毎度の「ダムに感謝しろ」「異常洪水時防災操作は、避難の時間を稼いでくれる感謝しろ」「ダムは無謬」という典型的な人命を著しく危険にさらす嘘が流布されはじめました。
さらには、完成直後の八ッ場(やんば)ダムが偶然空っぽで、一夜にして満水になったという報道をもとに「八ッ場ダム最高!八ッ場ダムはガンダムだ」という赤面もののデマゴギーが蔓延りました。なかには、「八ッ坂ダム」だの「八ッ橋ダム」などと言う正体不明の怖そうだったり美味しそうなダムまで現れています。
私はこういう連中を「ダムスキー・デマゴーグ」と命名しています。自室でダムカレー食ってダムカードを千回擦って満足していれば無害なものを、何を嬉々として翼賛デマゴーグになるのか私には理解できません。
◆緊急放流(ただし書き操作)は、河川計画の破綻
まずダムの緊急放流(ただし書き操作)とはなんでしょうか。豪雨によってダム上流の河川水位が上がると、ダムは流量調節によって下流の増水を抑止し、ダム湖に水をためます。ダム湖が満水になる前に増水が収まればダムの洪水調節は成功し、洪水は起こりません。また、降雨が収まれば、ダムはダム湖の水位を下げるための放水を行います。これがダムの洪水調節機能です。だいたい多くは中規模の洪水までは対処できます*が、一方で小規模の洪水では、堤防治水で十分です。
<*ダムのハードウェア、ソフトウェアの設計によっては、大洪水にも対処できるが、設計を超える洪水には耐えられない>
しかし、洪水調節中にダム湖が満水になると、そのままでは水はダムの堤体を越水し、ダムは電装系などの破壊によって操作不能となり最悪の場合にはダムは崩壊し、鉄砲水で下流を壊滅させます。下流にダムがある場合は、連鎖ダム崩壊を起こして万単位の犠牲が出る可能性もあります。
これを避ける為に、ダム湖が満水になり、流入水量の減少も見込めない場合、ダムは緊急放流=ただし書き操作をはじめます。ただし書き操作では、流入量と放流量が等しくなるように放流しますので、簡単に言えば、ただし書き操作に入った時点でダムは存在しない状態となると考えれば良いです*。
<*実際には、県営ダムなど自治体運営のダムでは、ただし書き操作であってもできるだけ流量を下げる努力をする傾向がある。また、ただし書き操作になるような状況でもぎりぎりまでマニュアル外の操作でただし書き操作を回避する傾向がある。代表例としては2018年7月7日豪雨や2014年8月3日豪雨における高知県営鏡ダムが有名**で「神職員」が居るとまで噂される>
<** 豪雨の中で鏡ダム越流をギリギリ回避した高知県職員 放流量を巧みに操作2014/08/05高知新聞>
ただし書き操作は、ダムが治水機能を失うことを意味し、ダムは「ダムを守る」ことに専念します。国交省が「異常洪水時防災操作(ただし書き操作)は下流を守る為に行う」と常に釈明しますが、この正確な意味は、「ダムを守ることによってダム崩壊を阻止し、結果として下流が鉄砲水で万単位の犠牲を出すことを回避する」という意味です。
従って、ただし書き操作は、基本的に「下流が大洪水で人が死のうと町が沈もうと、ダムのみを守る。」という事を意味します。勿論、ダム崩壊が起きれば鉄砲水で何もかも押し流されて後には何も残りませんから、ただし書き操作を行うこと自体は、きわめて正しいのです。
ダムは、設計をこえる洪水には対処できず、治水機能を短時間で失います。結果として下流には急激な大洪水が押し寄せて町も何もかも沈み人が死にますが、それは仕方ないのです。ダムとはそういったものです。
このダムの限界について、国交省は当然知っていますし、ダム管理事務所の職員もただし書き操作をすれば何が起こるかは熟知しています。しかし、多くは中規模の洪水を抑止するというダムの機能の代償として、設計を超える大洪水の時にはダムが治水機能を失い、突然大洪水が起こるというダムの本質的限界について国交省は殆ど説明せず、ダムの意義すら無い小規模洪水について「赫々たる戦果」を広報し続けています。これが「ヒノマルダムPA」という「ヒノマルゲンパツPA」(Japan’s Voo-doo Nuclear Public Acceptance :JVNPA)と同じ詐術です。
ダムの下流に居る人は、ダムの緊急放流=ただし書き操作を行うという緊急報道がなされたら、直ちに6m以上の高所(場合によっては10m以上の高所)に避難をはじめる必要があります。ダムの緊急放流(ただし書き操作)というものはそれほどまでの緊急事態を意味します。実際、12日から13日にかけての緊急放流を予告する報道の中には、きわめて緊迫した状態を訴えるものが多々ありました。
肱川大水害では、ダム下流域80kmの沿線住民には、このきわめて重要な「ダムの限界」が全く共有されていませんでした。これが長年にわたる「ヒノマルダムPA」最悪の成果です。説明会では、御用学者達によるお手盛りの「有識者会合」を根拠として「知らない方がおかしい」「住民の心構えが足りない」と解釈するほかない、とんでもない暴言が国交省側から幾度も飛び出し、市民の怒りの火に油を注ぎました。
勿論、ただし書き操作に入っても下流が持ちこたえることは多々あります。しかし、ただし書き操作は河川計画(治水計画)の破綻を意味しており、まさに運任せの状態です。この運任せがダム災害という結果となったのが昨年の2018年7月7日西日本大水害です。筆者は、このうち肱川大水害について現在も取材を継続しており、HBOLにてその実態を報告しています。
こういうまさに人命の関わるときになると、「ダムスキー・デマゴーグ」が跋扈し、醜悪なダム・デマゴギーを垂れ流しはじめます。まさに殺人風説者です。
ただし書き操作は、それによって市民に甚大な犠牲を強いる結果となることが自明であっても、さらなる大規模な大災害を避ける為、ダムを守る為に行わなければならないという点で原子炉過酷事故における「ベント」ときわめて酷似しています。
福島核災害においても「ベント」に追い込まれ、しかも失敗して爆発したり破裂した原子炉について「感謝しろ」、「良くやった」、「馬鹿は黙ってろ」という暴言が匿名の「ヒノマルゲンパツ酷死(こくし)」様達や、ごく一部ではあれ業界関係者によって大量に流布されましたが、「ただし書き操作」という多数の人命に関わる切迫した緊急事態において垂れ流されたデマゴギーも同等に深刻であり、「ダムスキー・デマゴーグ」も「ヒノマルゲンパツ酷死」同等に醜悪で有害です。
10月14日に報じられたところによると、同時多発的にただし書き操作に陥った関東一円の6カ所ダムは、事前の放流による水位低下を行っていなかったとのことです*。これは多目的ダムの治水ダムとしての運用上の致命的な欠陥を意味します。ダムの治水機能と利水機能は、本質的に相反する矛盾した存在で、事前放流の失敗による異常高水(たかみず)や渇水(かっすい)はこれまでにも数限りなく生じてきたことです。
<*ダム緊急放流、水位調節は実施されず 国交省、対応調査へ2019/10/14 神奈川新聞
これは、現場の国交省技官に無意味かつ過大な負担となっています。矛盾し、合理性から著しく乖離した長年の極端なダム偏重治水行政による宿痾です。そのうち自殺者を出しかねない、このような愚劣で歪んだ前例踏襲政策からは脱却せねばなりません。
ここまでで災害に便乗して現れた多種多様なデマゴギーのうち、特に人命に関わるものを一つ取りあげました。
次回は、残り二つの災害便乗デマゴギーである、「八ッ場ダム無双論」と「定番・常連、スーパー堤防デマゴギー」をご紹介します。
◆『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』〜超緊急特集・2019年台風一九号(Hagibis)による水害について1
<取材・文・図版/牧田寛>
【牧田寛】
Twitter ID:@BB45_Colorado
まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中
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