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種子の自家採取原則禁止、疑念払拭できず 種苗法めぐり農水省(上)
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/2020729.html
2019年10月17日20:44 高橋清隆の文書館
農家による種子の自家採取を原則認める種苗法が改正される恐れが生じる中、日本の種子(たね)を守る会(会長・八木岡努JA水戸代表理事組合長)が15日、参議院議員会館内で緊急の勉強会を開き、農水省に見解をただした。同省側は新品種の保護を図る方策を検討しているとの考えを強調し、自家採取原則禁止へ法改正がされる懸念は払拭できなかった。
この勉強会は、9月25日開かれた第5回「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」で配られた資料「第4回までに提起された課題」の中に、「種苗法は例外規定が多く複雑で理解が難しいことから、『自家増殖や転売は一律禁止』といった、現場が理解しやすいシンプルな条文にすべき」との文言があったことから、急きょ開催された。
種苗法第21条は登録品種の育成者権を定めながらも、自家採取(同法では「自家増殖」)を原則認めている。しかし、品種の知的所有権を保護するUPOV条約締結(1991年)後は同法を大幅改定し、TPP(環太平洋経済連携協定)協定署名後、省令が定める同条第3項の例外品目は82から2019年3月には387に激増した。
アジア・アフリカ地域の国々では、2010年代に入って「モンサント法」と呼ばれる自家採取禁止法案が次々と出される一方、わが国も2016年12月の農業資材審議会(第16回)の種苗分科会で「主に欧州各国では、基本的に自家増殖が原則禁止で、一部自家増殖が認められている。日本の現状は反対の方向にある」との提言がされ、憶測を呼んでいた。
勉強会には多数の市民のほか、岸本周平(国民)や福田昭夫(立憲)、佐藤公治(無所属)、紙智子(共産)ら衆参国会議員14人が参加し、関心の高さを物語った。
あいさつする萬代副会長(2019.10.15筆者撮影)
冒頭、萬代宣雄(ばんだい・のぶお)副会長(JAしまね前相談役)があいさつ。TPP参加や種子法廃止に賛成してきた自民党議員の多くが、種苗法改悪阻止に奮闘する山田正彦元農水相にアレルギーを持つ現状に触れ、「そんな問題ではなく、日本の将来を守るために仲良くいろんな議論を出し合って努力しなければ」と呼び掛けた。
印鑰アドバイザー(2019.10.15筆者撮影)
同会アドバイザーの印鑰智哉(いんやく・ともや)氏が自家採取禁止品目の激増ぶりを紹介し、「ニンジンやホウレンソウは(知財権を保護する)品種登録がないのに、ほとんどが自家採取禁止になった。つまり、種苗会社に登録するメリットは感じられない」と疑問を呈した。欧州議会が通常育種する品種に特許を認めない決議をしたことなどを挙げ、「今後、日本の種の行政がどうあるべきかを考えていく必要がある」と提起した。
山田元農水相(2019.10.15筆者撮影)
同会設立を促した山田氏は、「モンサント・バイエル、ダウ・デュポン、シンジェンタ・中国化工集団の3社で世界の種子の7割、農薬・肥料も7割を占め、セットでビジネスモデルを構築している」と警戒する一方、「これに対し、反発もある」と述べ、中南米やインドで暴動が起き、「モンサント法」が廃止されたことを紹介。「EUも変わってきた。日本だけが自家採取禁止を押し付けるのは問題」と訴えた。
さらに山田氏は、同法をめぐる第5回検討会のヒアリングに触れ、150ヘクタールの圃場(ほじょう)を持つ茨城県の(有)横田農場は自家採取禁止になると500万円の種子代が余分にかかる実情を紹介。「次の通常国会で改定案が出されることを大変心配している」とけん制した。
尾ア知財課長(右)ら農水省職員(2019.10.15筆者撮影)
農水省の職員4人が前に座り、尾ア道・食料産業局知的財産課長を中心に、新品種保護に関する現状と課題について説明した。優良な新品種がわが国農業の競争力を支えるとした上で、開発された品種が海外に流出する問題を挙げ、より実効性ある植物新品種の保護が図られるための方策を検討するために検討会を開いたとして、出された意見と対応策を紹介した。
海外や地域外への持ち出しが制限できるよう、育成者権者が利用条件を設定できるようにするしくみや、育成者権が移転しても農業者が登録品種を利用し続けられる方策、育成者権の権利範囲を明確にするため「特性表」を作成する案などが示された。(続く)
種子の自家採取原則禁止、疑念払拭できず 種苗法めぐり農水省(下)
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/2020730.html
2019年10月18日19:00 高橋清隆の文書館
質疑応答では、最初に山田氏が「種苗法改正案が来年の通常国会で出すのは明らかなんだろう」と確認を求めた。農水省側は検討会で議論中であるとして、「現段階では種苗法の改正について意思決定されていない」と答えた。
山田氏が検討会で出された「自家増殖や転売は一律禁止」の文言を取り上げ、「許諾がなければ、自家増殖できない形にするんだね」と向けると、「登録品種については、育成者権者の許諾を得てやるようにしようと」と答えた。
これに対し、山田氏は「モンサントが育成者権者だったら、他人に『どうぞ使ってくださって結構』と言うか。許諾するわけないじゃないか。イチゴだって、1本250円位の苗を6000本買おうとしたら大変な出費」と反論。
登録された品種であってもこれまでは原則、自家採取が認められてきたことを農水省側が認めると、山田氏は「今度は許諾がなければ、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処され、または併科される。共謀罪の対象にもなる」と指弾すると、農水側は「育成者が自家採取しないでくれと言っているものは」と釈明した。
質問する山岡議員(左、2019.10.15筆者撮影)
山岡達丸衆院議員(国民)が配付資料の中に検討会で出された意見として「開発費用の回収が困難であることが悩み」「公的機関は、多くの新品種の利用者から、薄く広く許諾料を徴収することが重要である」との記述があることを挙げ、「新品種を作ったらその分お金をもらいたいと書いている。最悪のシナリオは、海外に流出した品種について制限できないのに国内を規制すると、海外では安くコピー品が出回って、国内は登録育成者の名の下に負担が大きくなる。価格競争力を失って、輸出どころか、市場から追い出されてしまう」と懸念を示した。
農水側は「検討会を立ち上げたのは、海外に流出したものを何とか抑えたいとうこと。海外での種苗登録も併用しながら、外に行かないように。出ていっても、産地化しないように」と述べ、あくまで登録品種の国外流出を防ぐためとの見解を示した。
山田氏は、「海外流出と言うが、国内法(種苗法)で止めることはできない。10年前に農水省が出した『品種保護制度の概要』で登録品種の第三者への譲渡は禁止されている」「農水省はなぜ、海外でシャインマスカットを意匠(育種・商標)登録しなかったのか。海外への流出を食い止めるためというのはうそではないか」と追及した。
農水側が「国内法だから海外ではできない。種苗を持ち出す前に、水際で止められるようにする」と返答すると、山田氏は「今の種苗法21条で、登録された品種の持ち出しを禁止することはできるじゃないか」と反論した。
農水側が「無断で増殖したものを持ち出すことはできないが、通常利用権を得て増殖された種苗を買って持ち出すことはできる」と否定。山田氏は「われわれTPP違憲訴訟の弁護団の解釈では、譲渡は禁止されていると思っている。だから(種苗法)改正の必要は全くない」と返した。
福田議員は米ソ冷戦が終わり、米国は3つの国益を追求したとして@金融自由化A知的財産権の保護Bインターネットを挙げた。「これらによって世界の富を米国に集める。種子法の廃止や種苗法の改正は、A知財権の戦略に見事に乗せられている。これに乗っかっては駄目だ」とくぎを刺した。
同会幹事長の山本伸司氏(パルシステム連合会前理事長)は南西諸島のサトウキビ栽培を取り上げ、「8割くらい自家増殖しているが、これが全部一律禁止になるのか」と尋ねた。農水側は「サトウキビは農家で増やしていただいて農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)も作って県が支援して産地化している。農業者ができなくなるようなことにはならない」となだめた。
農水側が「今と同じようなことを許諾を受けてやっていただく」と重ねると、山田氏は「農研機構の許諾を得るか、種を買わなきゃいけないわけだろう。その都度」とただす。農水側は「例えば、農協とかを通じて許諾をする。いろんな形がある」と説明した。
農水側を追及する山田氏(2019.10.15筆者撮影)
山本氏は「今の場合、育成者権者は農研機構。国だから国民の税金で開発している。国民が育成者権者ではないか。それを許諾するのは自己矛盾」と告発した。農水側は「農研機構は国民のために試験研究を行う機関なので、日本の農業者のためになるように判断される」と希望的観測を述べた。
山田氏は「農業競争力強化支援法で、農研機構や都道府県の知的財産権や優良品種の知見を全部民間に譲渡しなさいと決めたじゃないか。民間が許諾するわけがない。サトウキビでもサツマイモでも、1本ずつ苗を買わなきゃいけない。大変なこと」と迫った。
会場から意見が出された。循環農法を営むという男性が「国民のための農水省さんの発言に聞こえない」と主張すると、拍手を浴びた。都道府県の研究所で開発されたコメの種子が、三井化学アグロなど民間種子になれば10倍もの価格になることを挙げ、「これを毎年買えと言われたら、農家はやっていけない。野菜は1%程度しか登録品種ではないが、種の7割をモンサントやダウなどグローバル種子企業が持っていて、ほとんどがF1(一代交配種)。モンサントやダウの出先機関の発言に聞こえる」と不満を示した。
女性は「全部一緒くたに考えるから、こういうことになるのでは。だから本当に保護したい人を保護できなくて、モンサントとか、企業がもうかるようにしてしまう」と批判した。別の女性は「登録品種と同じように在来種・伝統種を扱い、申請しなければいけないとか、自家播種(はしゅ)を禁止するとかはやめてほしい」と訴えた。
ゲノム編集技術の自由化を問題にした男性は、「日本の農民のためにと言うが、だったらなぜ、種子法を廃止したのか。種子生産できる会社が何社あるか。国際企業が日本を狙っている」と警告した。
同会はあらかじめ質問を用意していた。「毎回、許諾を義務付けるのか」「許諾がなければ自家増殖はできないのか」「接ぎ木を前提としているものや、サトウキビ、イチゴ、サツマイモなど、苗から苗を増殖しているもの、これらについて、明確に一律禁止となるのか」など8項目である。これらについて農水省知的財産課は、後日回答することを約束した。(了)
勉強会の様子(2019.10.15筆者撮影)
20191015 UPLAN 種苗法についての勉強会
2019/10/15 U PLAN
【日本の種子(たね)を守る会】
種苗法は種苗の育成者権(知的財産権)を保護する法律ですが、生産者などが自家採種(自家増殖)することは原則として認めてきました。
今春、農水省が「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」を設置、9月25日の5回めの検討会で登録品種の自家採種禁止ととれる方向が示されました。
この方針転換について、一般の私たちにはわかりにくい内容も多いため、農水省の担当課にも出席を求め、急きょ勉強会を開きます。(「日本種子(たね)を守る会」としての疑問点をあらかじめ農水省担当課に送ってあります。(下記参照))
また、アメリカでゲノム編集による食品を有機認証しようという圧力が強まっていることもあり、日本でもその動きに追従するのではないかという懸念があることから、その点についても話を聞きたいと思います。
日本の種子(たね)を守る会」から提出している質問:
1.自家増殖は一律禁止となるのか?
2.毎回許諾を義務付けるのか?
3.許諾がなければ自家増殖はできないのか?
4.果樹の場合も一律禁止となるのか?
5.接ぎ木を前提としているものや、サトウキビ、イチゴ、サツマイモなど、苗から苗を増殖しているもの、これらについて、明確に一律禁止となるのか?
6.ゲノム編集が進められている作物について、ゲノム編集された種苗を、種苗購入者は購入時に確認することができるのか?表示するとした場合、どのような方法で表示されるのか?
7.約 10 億円の植物品種等海外流出防止総合対策事業と農業知的財産保護・活用支援事業予算は、具体的に何に使われるのか?
8.「消尽」の意味について詳しい説明を。
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