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詫びる気ゼロ。NHKと猿芝居した日本郵政を牛耳る権力者の実名
https://www.mag2.com/p/news/419250
2019.10.11 新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』 まぐまぐニュース
先日掲載の「『NHKまるで暴力団』かんぽ報道で日本郵政副社長が反論も大炎上」でもお伝えした通り、かんぽ保険の不正問題を報じたNHK「クローズアップ現代+」の番組内容を不服として、同局を痛烈に批判した鈴木康雄日本郵政副社長。最終的にNHK経営委員会から「厳重注意」とされた上田良一NHK会長が謝罪文を日本郵政に届ける事態に至ったわけですが、この判断は公共放送機関として正しいものだったのでしょうか。元全国紙社会部記者の新 恭さんが、自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で検証・考察しています。
NHK経営委と猿芝居を演じた日本郵政権力者の正体
久しぶりで目にしたこの名前、鈴木康雄氏。総務省の事務次官だったのは10年も前のことだ。民営化で、ひと頃くさっていた旧郵政省組の代表格だったが、気がつけば日本郵政に天下りし、肩書き的にはナンバー2の上席副社長におさまっている。
10月3、4日の両日、国会内で開かれた野党合同ヒアリングに、鈴木氏の姿があった。かんぽ生命不正販売問題を真っ先に報じたNHKへの日本郵政の威圧的な干渉について、中心人物と目される鈴木氏に考えを聞くのがヒアリングの主目的だ。
声を荒げないという条件をつけたとはいえ、疑い深い野党議員から質問を浴びせられる場への出席は、“大物症候群”の罹患者ほど躊躇する。鈴木氏も事務次官時代だったら、余計なことを言わぬよう厳しく口止めしたうえで部下の参事官クラスに役目を押しつけるところだろう。しかし、いまや国会議員に地元への配慮で恩を売る立場でないばかりか、かんぽ不正販売で頭を下げなければならない身の上である。
さえない表情で姿を現した3日の会議では、鈴木氏の隣にNHKの木田幸紀・専務理事放送総局長と、NHK経営委員会の森下俊三・委員長職務代行者の顔が並んだ。
かんぽ生命販売の実態をいちはやくとりあげたNHKの番組は昨年4月24日放送の「クローズアップ現代+」だ。その内容に憤った郵政側がNHK経営委員会に文書で抗議し、委員会からNHK会長に「厳重注意」の御託宣を下させた。公共機関が公共放送に激しくクレームをつけるという稀有なケースである。
「クロ現」が暴いた不正販売が概ね、誤報でも誇張でもないことは、郵政3社の社長が今夏、打ち揃って謝罪会見にのぞんだことでも明らかである。
普通の経営者なら平身低頭でヒアリング会場に現れてもおかしくないのだが、鈴木氏には微塵もそうした態度は感じられない。
結論めいたことを先に言うと、日本郵政を牛耳っている最高権力者は、謝罪会見などでオモテに出た社長の長門正貢氏ではなく、背後で長門氏を操る鈴木氏に違いない。
日本郵政に鈴木氏が君臨しているからこそ、NHKに高圧的な姿勢を示しえたのではないか。それは10月3、4日の計2時間ほどのヒアリングを通じてはっきり見えてきた。
時間を2009年に巻き戻す。総務省は旧郵政省・自治省・総務庁の三つのグループが勢力争いを繰り広げていた。小泉郵政改革のもと、どちらかといえば省内では旧自治省出身者が幅を利かせていたが、審議官だった鈴木康雄氏は同年7月、旧郵政省出身者として久方ぶりの事務次官に就任した。
当時、日本郵政の社長は三井住友銀行出身の西川善文氏だった。かんぽの宿売却問題で鳩山邦夫総務大臣に追い詰められた西川氏の後任社長に郵政出身の團宏明副社長をあてるべく、鳩山大臣の動きを鈴木事務次官が後押ししたが、この問題で鳩山氏が辞任するにおよび、郵政社長を自分たちの天下り指定席とする野望はもろくも砕け散った。
その後、政権交代の影響もあってか、鈴木氏は在任わずか半年の2010年に退官する憂き目にあい、総務省顧問を経て損害保険ジャパン顧問となったが、それでもしたたかに日本郵政への就職ルートを保ち続けた。そのかいあって、13年に日本郵便取締役、15年に今の日本郵政上級副社長のポストにたどり着いた。
昨年4月24日に放送された「クローズアップ現代+」の内容は、よほど鈴木氏の癇に障ったのだろう。ノルマ達成に追われる現場の実態をまったく知らないほどの高みにいるのか、どうやら鈴木氏は「こんなことはありえない」と本気で怒ったようだ。
番組では現役の郵便局員が告白しており、視聴者から見ると信ぴょう性は高かった。NHKの制作スタッフは、もっと情報を集め第2弾を放送すべく、7月に入ると公式ツイッターに2本のショート動画をつけて情報提供を呼びかけた。これが鈴木氏の怒りにさらなる火をつけた。「NHK会長はこんな番組制作を許すのか」。そんな思いだったのだろう。
日本郵政は広報担当を通じ、NHKに削除を申し入れた。それに対し番組のチーフディレクターらは「会長は番組に関知しません」と説明した。それを伝え聞いた鈴木副社長の頭に浮かんだのは「放送法違反」の文字だ。
ディレクターは、制作と経営は分離していること、社長と制作現場は役割分担をしていること、通常、社長が口を出すことはないと言いたかったのである。会長にいちいち制作に介入されたら、現場の人間はやってられない。
ところが、鈴木氏はディレクターの発言を逆手に取り、「社長が関知しない」のは放送法第51条違反だと言い始めた。
放送法51条にはこう書かれている。「会長は、協会を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理する」。「業務を総理する」とは、制作にも関与するということだろう。鈴木氏の頭が、そのように働いた瞬間、日本郵政の対処方針は、番組の放送内容をひとまず横に置き、チーフディレクターの発言を放送法上の問題としてNHKのガバナンスを問う方針に切り替えられた。
日本郵政は「放送法で番組制作・編集の最終責任者は会長であることは明らかで、NHKでガバナンスが全くきいていないことの表れ」と主張し、同年8月2日に説明を求める文書を上田会長に送付した。
これに対し上田会長からは「ご理解を賜りたい」という趣旨の文書が届いたが、鈴木氏にとっては納得できる内容ではなく、「回答がなかった」と断じて、別の方向から攻めたて始めた。
NHKの執行部を監督する経営委員会に対し、10月5日、郵政3社の名で文書を送付し、善処を求めたのである。制作現場に対する会長のガバナンスがきいていないではないか、経営委員会はなんとかせよ、というわけだ。さすがに元トップ官僚のやりかたは違う。問題をすり替えることにかけては超一流だ。
これに、NHK経営委員会は反論しなかった。というより、同調した。なにしろ、経営委員会のメンバーを決めるのは安倍首相である。NHKが政権批判をしないよう、メンバーを入れ替え、あの「政府が右ということを左というわけにはいかない」発言で知られる籾井勝人氏を会長に選ばせたのは、あまりにも有名な話だ。
その会長人選を強く後押ししたのが、当時の委員で現在の委員長、石原進氏なのだ。石原氏はJR九州の相談役であり、地元財界の重鎮として、麻生副総理とは特別に親しい仲といわれる。
政財官界に顔の広い鈴木氏が石原氏に根回ししたうえで、抗議文書を経営委員会に送付したであろうことは容易に想像できるが、そうだとすれば、鈴木氏の思惑通りに経営委員会の議事が運んだとみえて、10月23日、会長に対し「厳重注意」することが決定された。
現NHK会長、上田良一氏もとくに異論はなかったのだろう。11月6日には専務理事でもある木田幸紀放送総局長をわざわざ日本郵政に出向かせ、「説明が不十分だった」とする内容の謝罪文を届けさせている。木田氏は制作現場の思いを切り離し、経営者間の暗黙の合意のようなものに従ったわけである。
NHKの政治報道が官邸べったりに偏向し、「クロ現」などのドキュメンタリー番組だけが調査報道を維持するうえでわずかな救いとなっているなか、それさえも圧力を受け、制限をかけられるとなれば、制作スタッフの意気はしぼんでしまう。NHKは公共放送としてますます存在価値を失う。
NHK経営委員会は、会長を「厳重注意」としたときの議事録を「作っていない」と言ってみたり、「作成したが公表しない」と言ってみたりで、要するに隠したいようである。NHK執行部もどのような文書を郵政側に渡したのか、内容を明らかにしようとしない。
2日間の野党合同ヒアリングを通じて印象的だったのは鈴木日本郵政副社長の強気な姿勢だ。あれだけ不正販売の実態が明らかになったにもかかわらず、「詐欺まがいだ」と迫る野党議員に対し、「今でも詐欺まがいとは思っていない」と反論した。とりわけ驚いたのはNHKの制作担当者について「まるで暴力団と一緒でしょ」と言い放ったことだ。
1日目のヒアリングが終わったあと、記者団の取材に応じたさい、「NHKは動画が不適切だと認めていないが」と問われてこう語っている。
「取材を受けてくれれば動画を消すなんて、そんなこと言っているやつの話が聞けるかって。まるで暴力団と一緒でしょ、それじゃ。殴っておいて、これ以上殴ってほしくないならやめたるわ。俺の言うことを聞けって。バカじゃねぇの」
よく言えるものだ。NHK公式ツイッターの動画を抗議して削らせ、続編の延期に追い込んだにもかかわらず、日本郵政の商法がいかにアンフェアであったかが他メディアの取材でも明らかになってきたのではないか。その流れを受けて今年7月、ようやく「クロ現+」の続編が日の目を見たのである。
郵政側に取材をしても「不正販売はしていない」とシラを切り通したために、「クロ現」スタッフはツイッターの動画で情報提供を求めていたのであろう。取材をきちんと受けてくれたら動画の必要もなくなるのだ。ディレクターの発言はそういう意図から出たのではないのだろうか。それをもって「暴力団」と非難するのはお門違いも甚だしい。
一方、情けなく、許せないのはNHK経営委員会と会長以下経営陣の姿勢だ。そこに報道の自由を守るというジャーナリズムの基本精神が存在するだろうか。63%の株式をいまだに政府が保有する日本郵政の問題を、国民の視聴料で成り立つ公共放送が深く掘り下げていくのは当然のことである。それを邪魔しようとするいかなる勢力に対しても毅然とした姿勢を示すべきである。
野党合同ヒアリングで、野党議員の一人が鈴木氏にこう質問した。「知る権利がおびやかされている。自らの経歴をカサにきて一連の抗議行動を主導したのではないか」。
鈴木氏は「番組に言われっぱなしでいいということではない。放送が全て正しいわけじゃない」と開き直って見せたが、まさにこれこそが、驕り高ぶりであろう。
NHK経営陣、日本郵政、どちらにも心得違いが横行し、腐敗臭が漂う。公私混同、お友達優遇、権力乱用の安倍政権のもと、さまざまな公的機関が堕落し、自浄能力を失っている。
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記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。
政府だけでなく、様々な公共機関までもが堕落している日本の現状‼️ 😡
— 大いなる遺産 (@popii425) 2019年10月12日
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