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書評の信頼性に泥を塗った新潮社の「ヨイショ感想文」騒動 それでもバカとは戦え
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/263163
2019/10/12 日刊ゲンダイ
百田尚樹氏(C)日刊ゲンダイ
元ラノベ作家で現在は無職の百田尚樹さん(63)が巷で話題になっている。
百田さんが現役時代に出した著書が相当数売れ残っているのか、新潮社がツイッター上で「ヨイショ感想文求む」というキャンペーンを開始。「百田先生を気持ちよくさせた20名の方に、ネットで使える1万円分の図書カードを贈呈」とあり、アイコンには上半身裸で金粉が塗られた百田さんの画像が使われていた。
これに対し「気持ち悪い」と非難が殺到。新潮社は謝罪し、企画は中止になった。
私は百田さんの現役時代の言論には否定的だったが、今回の件で彼を批判するのはおかしいと思う。そもそも百田さんは下品が売り物のライターであり、下種に対して下種と言っても仕方がない。
問題は新潮社だ。安倍のヨイショライターをヨイショするという企画もグロテスクだが、これは高評価のレビューをカネで買うのと同じ。
話題になればいい、アンチなんて無視すればいい、法に触れるわけではない、面白ければいい……。こうした悪性のニヒリズムと戦うのが言論やそれを支える出版社の役割ではないか。こうした常識を古臭いとせせら笑い、算盤をはじくしか能がない連中が社会をおかしくしていくのだ。
これは昨年9月「新潮45」が休刊になったときと同じ構図。自称文芸評論家の小川榮太郎が書いたLGBTに関するヨタ記事が社会問題になったが、あれが「WiLL」や「Hanada」「正論」に掲載されていれば何の問題もなかったはずだ。東スポの1面に「ツチノコ発見」「ネッシー捕獲」とあっても誰も気にしないのと同じ。今回のキャンペーンも老舗出版社で良書をたくさん出している新潮社がやったから苦情が殺到したのだ。
新潮社は顧客を裏切ってしまった。「本を読むという行為」を冒涜し、書評の信頼性に泥を塗った。このキャンペーンにはご丁寧に「例」まで提示されていた。
〈「国語の教科書にのせるべきだ」。読了後、最初に心に浮かんだ気持ちだ。この作品は人生に必要なすべてをおしみなく読者に与えてくれる。知らぬ間に涙が頬をつたっていた。「そうか。この本と出会うために、僕は生まれてきたんだ。」〉
ずいぶん安い人生だな。情けなくて涙が出てくる。
適菜収 作家
1975年生まれ。作家。ニーチェの「アンチクリスト」を現代語訳した「キリスト教は邪教です!」、「ゲーテの警告 日本を滅ぼす『B層』の正体」など著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。
【それでもバカとは戦え/適菜収】書評の信頼性に泥を塗った新潮社の「ヨイショ感想文」騒動 https://t.co/19OhYbmacH #日刊ゲンダイDIGITAL
— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2019年10月11日
とにかく情け無い‼︎
— まんたろう (@urotanma) 2019年10月12日
書評の信頼性に泥を塗った新潮社ヨイショ感想文騒動
— KK (@Trapelus) 2019年10月11日
百田さんは下品が売り物のライターであり、下種に対して下種と言っても仕方がない 安倍のヨイショライターをヨイショするという企画もグロテスクだが、これは高評価のレビューをカネで買うのと同じ
それでもバカとは戦え 適菜収(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/ol9OGIz3zD
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