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れいわ新選組・山本太郎の全国行脚 根室での意見交換会全文起こし
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/13281
2019年9月28日 長周新聞
本気の対話と論議
れいわ新選組の山本太郎代表が23日に北海道根室市で開いた「意見交換会」では、台風による悪天候をついて100人近い人人が詰めかけ、全国屈指の漁獲量を誇ってきた第一次産業の衰退、地方の疲弊、北方領土問題など、北海道の特殊性を含むかずかずの問題が議題にのぼり、白熱した討論となった。概要を紹介する。
山本代表 この7年間の政治で多くのものが壊されてきた。国を切り売りし、大企業側に対して人人を切り売りしてきた。その結果、確実に疲弊したと思う。とくに東京はじめ三大都市圏以外の地方都市はますます疲弊していく。その象徴的な地域が北海道だ。例えばTPP、鉄道インフラの廃止、日米FTAなどいろんなもので北海道の人人の暮らしがさらに疲弊していく可能性が高い。皆さんから提言や苦言、質問を投げていただきたい。答えを持ち合わせていない場合は、参加している皆さんからもご意見をうかがいたい。それはれいわ新選組の政策に繋がっていく可能性もある。
意見(男性) 花咲港から来た漁業者だ。消費税廃止に賛成だが、所得税も35歳未満の所得税を控除するなどで若い世代を守ってほしい。長時間労働の是正も絶対に必要だ。1日8時間、ドイツは10時間。週の残業が40時間をこえないという三六協定があり、働き方改革で残業時間の上限を決めても、日本人は1年間で2000時間働いている。正規・非正規の区別をやめて契約書に基づいた労働環境を整備し、公務員を増やすのなら、専任の労働基準監督官を増やさなければいけない。道徳教育よりも人権教育が必要だ。無意味な校則で縛るよりも、年齢や経済的事情にかかわりなく自由に学べる環境を整備してほしい。
さらに、この根室にも関係するが、2018年に漁業法が改正され、水産資源の持続的な利用を目指すといいながら具体的に進められていない。サンマも漁獲割当量(IQ)制度を導入し、水産資源を回復させ、中長期的に漁業をもう一度産業として成り立たせるようにしなければこの街は立ちゆかない状態だ。このままではベテランの漁業者の技術が継承されない。水産業を立て直さなければ夕張の二の舞になるのではないかと危惧している。
山本 まず漁業法についてのべたい。1995年に国連食糧農業機関(FAO)において「責任ある漁業のための行動規範」が採択された。漁獲規制が必要な場合には資源の持続的利用のために生業漁業や沿岸小規模漁業を維持するように求めたものだ。漁業者や漁村などを守っていこうということだ。2007年の国連総会でも「国連・家族農業10年(2019〜2028年)」が採択され、ここでも小規模家族農業・漁業への支援を呼びかけている。
一方、日本では残念ながら「農協解体」を進める農協法改正、種子法廃止で種を自治体に守らせず海外の食糧メジャーに売り渡すような道筋を立て、森林経営管理法、漁業の規制緩和にも着手した。国連の方向と逆行してきた7年間だった。
70年ぶりの漁業法改正の中身は何か。これまで養殖などの漁業権は漁協に優先的に与えられてきたが、改正後は地元漁協、地元漁民のコミュニティなどに与えられてきた優先権を撤廃する【表参照】ことになった。
そして、都道府県知事が「漁場を適切かつ有効に活用すると認められる」「地域の水産業の発展に最も寄与すると認められる」との基準で判断することになった。これは企業のことを指している。つまり、知事の恣意的な裁量によって、地元の生業漁業や沿岸小規模漁業を維持せず、企業参入を広げることが可能になったといえる。このなかに外資系企業参入の規制はない。外資系はいくらでも入ってこれる。
また企業の大型漁船が中心の遠洋・沖合漁業は、これまでは乱獲を防ぐために漁船のトン数規制があったが、これを廃止する。企業の漁船大型化が進めば、沖合漁業と接する沿岸漁業の資源が減少する懸念がある。また、漁業法第一条にあった「漁業者及び漁業従事者を主体とする」「漁業の民主化を図る」という文言をばっさりカットした。そうしなければ外資や大企業が参入できないからだ。
海区漁業調整委員会の公選制も廃止した。この委員会は漁業調整の民主化のために漁業法に基づいてもうけられた行政委員会だ。漁業調整とは、水産資源の保護、漁場の総合利用、漁民の所得維持等のための措置で、これまでは漁民の選挙で選出された委員が中心になっていた。改正により、知事が議会の同意を得て任命する仕組みになった。知事に近い人物が委員として任命されるようになれば漁業者の声は届きにくくなり、行政いいなりの下請機関になることが危惧される。
例えば加計学園問題では、総理の40年来の「腹心の友」の夢を叶えるために獣医学部をつくることが国家戦略特区という枠組みで決められた。他にもオリックスグループに農業への参入を最初に認めた。要は自分たちの身内のために規制緩和をすることが目立ったのが国家戦略特区だ。
その国家戦略特区のワーキングヒアリング(2014年8月)では、公正公平な立場として普通はあまり発言しないはずの八田達夫座長が「基本的には、新規参入者は、誰でも入れるようにしたい。今すぐではなくてもいいが、将来はそこの漁業者だけでなく、誰でも入れるような仕組みにしたい」と前のめりになってのべている。
2015年の国家戦略特区諮問会議でも、有識者議員である八田氏はこう発言している。「現在は県知事が漁協に対して優先的に漁業権を付与する。しかし、企業を含めた主体の参入なくして水産業の再生はあり得ない」「企業も漁業権が取得できるようにすべきだ」
猛烈にプッシュをし続け、2017年の規制改革推進会議では「漁業の成長産業化等を強力に進めるために必要な施策について、関係法律の見直しを含め、検討を開始し、早急に結論を得る」(公開資料)とした。規制緩和を全力でやっていくということだ。
あなたは民間企業にも漁業権が与えられることをどう思うか?
意見(男性) 漁業を始めるにはノウハウがなければならないので、地元の漁業者が必要だ。漁師をサラリーマン化するにしても、それを支えるための法制度もなく、乱獲を防ぐような制度も法もない。一方的な開放には反対だ。
山本 根室の海について一番知っているのは根室の漁師さんだ。そこに民間が入ってきて自分たちの利益を追求していく。地域や海を守るためではなく、株主に与える利益を最大化するために仕事をする。規制もしづらくなっていくだろうし、資源を荒らされる可能性もあるだろう。歯止めはなにもない。
一事が万事だ。まず大きなところをぶっ壊し、その目的以外には関心がない。カジノにしても中身は整っていないのに解禁だけしてしまう。去年は外国人労働者を大量に受け入れる改正入管法が成立したが、外国人がどのような仕事ができるようにするのか、どれくらいの人数を入れるのか、その家族の社会保障はどうするのか、子どもの教育はどうするのか……といった大事な中身はなにもない。とにかく低賃金労働力として外国人を入れてしまえというものだ。
手続きは雑であり、議論のなかで世論を刺激するのを恐れて猛スピードで決めていく。民主党政権時代と比較して「決められない政治から決められる政治へ」というが、決まったもののほとんどが国益の切り売りだ。今後政権交代をしていきながら、数の力で無理矢理決めていったものは修正したり、廃止したものを復活させる必要がある。それがかなわなければ国家の解体がどんどん進んでいくと懸念している。
全国一のサンマ漁獲量を誇ってきた根室市の花咲港
地方の疲弊と貧困化 安心して暮せる環境を
山本 教育に関して「道徳教育が必要」といっている政治家にどんな道徳があるのか? と思わざるをえない。公文書隠蔽、改ざん、お友だちに国有地や獣医学部認可を差し上げるなど、行政として成立していない。いまや「過労死」は世界で通じる言葉になった。道徳よりも過酷な社会に出たときに自分を守ることができる権利をしっかりと学ぶことの方が大事ではないか。
厚労省は月45時間をこえる残業で体に異変が出ることを通達し、過労死ラインを月残業80時間としているにもかかわらず、働き方改革では「最も忙しい1カ月は残業100時間未満」「2〜6カ月までは残業80時間以内」の労働を政労使で合意したという。このような労働者の使い捨てが蔓延するなかで、自分が壊れる前に自分を守る手立てや権利を教えなければいけない。
意見(男性) もともと行政にいた人間だ。生活保護基準も、最低賃金の引き上げと同時に上げていくということか? 日本は他の先進国と比べてもバタバタと公務員を切っているが、公務員の役割は重要だ。介護についても先進国では公務的な仕事と位置づけられている。だが、今日本の社会保障制度審議会では、介護を自前でやった人に現金給付をするという話が出ている。元は介護の社会化を目指して専門的な知識や技術を持った人が介護に当たるべきだというのがスタートだったのに、どんどん改悪され、介護専門技術者の労働環境は改善せず、それぞれが自宅で介護をしろということだ。介護は社会化すべきであり、介護職の公務化はぜひ実現してほしい。
山本 消費税廃止とともに最低賃金1500円を掲げているが、目玉は政府が保障するということだ。「賃金を上げたら潰れる」というが、政府が保障するなら中小企業を苦しめることにはならない。これは、他の政策もあわさったうえで実現可能だと考えている。消費税を下げて中小零細の負担を軽くし、消費を喚起したうえでまっとうに物価の上昇と賃金の上昇を目指す。
最低賃金が上がれば、当然、生活保護基準の見直しも関係してくる。この7年の間に生活保護は段階的に引き下げられ、2013年から約670億円削減されている。景気がよくなったといいながら、生活保護も年金もコストとしてカットされている。
この引き下げによって当事者たちは「食事が削られ、おかずがなくて白米に醤油をかけて食べる」「入浴回数が月に1回になった」「家具家電を買い換えられない」「真冬に灯油が買えず肺炎になった」「交際費が捻出できず一切外出しない」……など、人とつきあえずに孤立化していく問題にさえなっている。子どもの貧困の根底にあるものだ。生活保護でパチンコに行って贅沢しているというイメージは幻想だ。そして、生活保護が下がれば、それに附随して、保育料免除の階層区分、児童保護費等負担金、障害者支援、介護、国民年金保険料免除……など関連する38制度も影響を受ける。就学援助が受けられなくなった人が東京都内にもたくさんいる。生活保護の被保護者は、高齢者が54%で圧倒的に多い。その次が傷病者・障害者の25・3%、母子世帯が5・3%だ。その他は働けなくなったり、過労死寸前の人たちだ。
消費税をなくせば1カ月分の給料が還元され、人人がものを買えば物価は上がる。そうなれば当然、生活保護の給付額も上げていくスタンスで国を運営していきたい。介護についても、給料が低いのに現場に出てくれる心ある方方に甘え、もたれ続けることを国はやっている。これだけニーズのある介護や保育に対して国が投資をしていない。成長産業として位置づけて企業が内部留保をそこに注ぐようにしなければならず、公務員化もしなければならない。
根室では「人がいなくなった…」という話を聞く。過疎化は日本全国の地方で進行している。根室では分娩できる施設はあるか?
意見(女性) 根室では1人目は産めない。リスクの高い初産に対応ができる施設がないので、ここから1時間以上かかる中標津か釧路(二時間)で産む。2人目からは昨年からは産めるようになった。根室市でも場所によっては移動だけで2、3時間かかるので(雪で交通網が遮断される)、冬場の時期の出産は考えただけでも怖い。
山本 安心して暮らせる環境がなければ人はいなくなるし、そもそも仕事がなければいる理由がなくなってしまう。
消費税廃止とともに法人税には累進制を導入し、もうかるところは税率が上がり、もうかっていなければ下がるようにする。中小零細が息を吹き返せば、賃金が少しは上がり、政府保障で上乗せすれば全国一律1500円は実現できる。
根室では1カ月の所得はどれくらいか? 24万円は高いか? 稚内では「そんなの公務員だけだ」といわれていたが。
意見(男性) 高い。ハローワークの求人を見ても14、15万円が精一杯だ。
山本 底上げしなければお金が使える状態にはならず、経済規模が膨らむわけがない。20年以上のデフレでみんなが貧乏にさせられたなかで、全員の生活を引き上げながら日本経済を発展させるためには、個人消費が喚起される状況をつくらなければだめだ。
そのためには消費税を減税(いずれ廃止)するだけでなく、最低賃金の引き上げを大胆にやらなければ動きようがない。公務員も安定雇用の受け皿になる。北海道では「次男、三男自衛隊」という声も聞いたが、公務員は確実に雇用の受け皿になっている。
日本の人口に対する公務員数は、先進国のなかでもダントツに少ない。安定雇用が安定所得を生み、経済活動を回していくという当たり前の話だ。これが「地方創生」ではないか? 政府はその言葉だけを使って何兆円もの予算を注いだが、もうかったのは東京のコンサルと政府と関係がある企業とその周辺だけだ。実際には、地方創生など削るべきコストとしか考えていない。
核のゴミ捨て場について
意見(男性) 別海町から来た。昨年11月、核のゴミ処分地の候補地選定に動いている原子力発電環境整備機構(NUMO)が、核の処分場に関する「包括的技術報告書」を出し、そこには地層処分に好ましい地層として、地層処分研究センターのある幌延(北海道)とともに釧路地域を挙げている。釧路の「白亜堆積岩」とされているが、それは釧路の春採から、厚岸、浜中、そして根室全体にわたる広大な地域だ。候補地とするうえで、政府とNUMOによる説明会が全道6カ所でおこなわれた。ほとんど人は集まらず、20、30人程度だ。そこで、好ましい地層と確認した報告書を見せてくれといっても「まだ候補地だから見せない」という。
れいわ新選組は原発即時禁止を掲げ、核の問題について旗幟鮮明な団体だと思う。国会で情報公開を要求してもらいたい。これは『北海道新聞』も一切報道しない。政府機関は地下1000bに埋めるというが、地熱やさまざまな問題があり、実際には300bといわれる。建築工学的にも、地質調査の方法すら信用できるものではない。
山本 核のゴミは処分場がない。どこも一杯だ。そこでこの近所が狙われているということだが、「しょうがない」と思う方はおられるか? それによって国からお金が出て町が潤うかもしれないということも加味すればどうか? (手はあがらず)そうだと思う。これだけ美しい場所を核ゴミの捨て場にするなど勘弁してもらいたいという話だ。それによって風評被害という実害でモノは売れず、お客は来なくなる。受け入れたら終わりに等しい厳しい状態に置かれる。一人でも多くの人が「そんなものいらない」と声を上げる以外ない。その声が少なければ受け入れることになる。
鹿児島の南大隅もそうだが、国は人のいないところを狙う。ドイツの最終処分場、中間処分施設を見に行ったが、最終処分場候補地となったゴアレーベンでは数十年調査を続けて白紙に戻った。
地元で止める以外にないが、サンマがとれない、人が少ないという問題にからんで、処分場建設で利益を享受できる人たちが賛成をし始めることもある。それに対してしっかりと合意形成をしていけるかが鍵だ。だいたいどこも分断される。話が進む前にしっかりと危険性に対する認識を横に広げていくことが必要だと思う。
「適正マップ」ができているので、そろそろ決めにかかっている。安全性の担保も地元合意も関係なく、とにかく捨て場を決めてしまうという動きだ。核ゴミ処分場は、地下水などの水とつながると非常に危ない。ドイツでも地下坑を掘ったおかげで毎日何十dという地下水を排出しなければならなくなった。水による劣化で、閉じ込めていた内容物が外に出て行く。
一番、地元の声が弱いところに押しつける可能性がある。ただ、適地とした理由などは国会で追及できる可能性はある。私が議員ではないので、時期は確約できないが。いろんな角度からやっていかなければいけない。
意見(男性) 釧路市や根室市、厚岸町、浜中町など自治体がはっきりと交渉を求めることが必要だと思う。自治体が手をあげなければできない。そのために住民が頑張ることだと思う。
山本 そこに住んでいる人が一番強い。オーナーだ。どんな市長、区長を選ぶかということにも繋がっていく。南大隅でも受け入れようとした市長は、賄賂や接待などブラックな疑惑が明らかになったが選挙では勝ってしまう。分断される前にみんなで合意形成を進めていく必要がある。
北方領土どう考えるか 対米従属が問題の根幹
意見(男性) 根室では北方領土の話をしないわけにはいかない。38年間研究をしてきたものとしては、れいわ新選組がロシアと領土交渉をする場合は、はっきりとサンフランシスコ平和条約第二条C項に基づいてロシアとの平和・領土の条約を結ぶことを求めたい。第二条C項とは、「日本国は、千島列島並びに日本国が1905年9月5日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」というものだ。
山本 北方領土に関しては交渉が後退している。安倍政権の対ロシア交渉は譲歩の連続だ。
ここではいうまでもないが、第二次世界大戦の終戦直前の1945年8月9日、ソ連(ロシア)が日ソ中立条約を破って日本に対して参戦し、終戦後の9月初めまでに北方四島を占領し、以後、実効支配を続けている。これまで返還交渉の局面は、二島か、四島かで揺れ動いてきた。
過去にターニングポイントが二つあった。1956年の日ソ共同宣言(鳩山一郎首相時代)は、ロシアがあくまで「善意」で二島を「引き渡す」という解釈だが、領土問題を認めているかは曖昧だった。1993年の東京宣言(細川護煕首相時代)では、四島を列記して領土問題の存在を認めている。日本はこれを根拠に四島返還を求めてきた。
だがプーチン大統領の立場は、東京宣言はソ連崩壊後の経済混乱のなかで日本の経済支援を求めたがゆえに、ロシアが譲歩しすぎたというものだ。四島を「ロシア領」と明言して領土問題の存在を認めていない。
第二次安倍政権後は、通算27回もトップ会談をしたが経済協力を提案しただけで、なにも進んでいない。2016年に総理の地元でおこなわれた長門会談の翌日、プーチン大統領は「日ソ共同宣言に調印後、ダレス米国務長官が“もし日本が国後、択捉をソ連に帰属せしめたら、沖縄は完全に米国の一部となる”という趣旨のことをいって重光外相の部下を恫喝した」ことを紹介した。その意味するところは、一つは東京宣言の拒絶、そして北方領土を返還したら、そこに米軍が駐留することへの懸念だ。対岸のウラジオストクにはロシア艦隊の基地がある。
安倍総理は「北方領土を含む領土問題と平和条約締結に必ず終止符を打つ」といったが、昨年11月にロシア側は、「北方領土を引き渡した場合に、そこに米軍基地を置かないことを日米首脳間で公式に合意すること」を求めた。米国に対してそんなことができるか?というボールを投げた。
これに対して安倍総理が投げ返したのが「在日米軍の存在は日本や極東の安全を守るためで、決してロシアに対して敵対的なものではないですよ」「プーチン大統領にも必ずご理解いただける」というものだ。プーチンの懸念に対して一切答えていない。
やるべきことは、領土をとり戻すために米国と北方領土に米軍基地を置かないという約束をすることだ。独立国であるはずの日本が領土交渉で他国の大統領の同意がなければなにも決められないという異常な現実だ。
ロシア側は、日本政府が米政府に対して一切の交渉能力を持たないものと判断した。そして今年1月、ロシア大使は「クリル諸島(北方領土)は第二次大戦の結果、合法的に引き渡されたと日本が認めるべき」と発言し、「日米軍事協力が平和条約締結を困難にしている」(ロシア外相)、「引き渡す計画はない」(プーチン)と強硬な発言が目立ちはじめた。
つまり、北方領土をとり戻すためには日米関係が対等になることが大前提だ。今は植民地だ。日本の国土のどこにでも米軍が基地をつくれるのが日米地位協定だ。間接的に支配されている。沖縄の空だけでなく、「横田ラプコン」に見るように東京の空も米国が支配している。だから、領土交渉においても日ロ交渉といいながら、内実は米ロ間の使い走りをさせられている始末だ。
27回も会いに行き、いくらお金で支援しても、「気のいい奴らがカネまでくれる。俺たちの領土に」という話だ。日米の不平等な関係を変えない限り、ロシアとは交渉にならない。他に返還を目指すいいアイディアがあるだろうか?
意見(男性) ソ連はサンフランシスコ条約に署名も批准もしていない。サンフランシスコ条約の二五条には「署名も批准もしていない国は日本が放棄した領土に対してなにもいう権限を持っていない」と書かれている。国際法上は、日本が放棄しただけでどこの領土でもないものだ。当事国の合意もなくロシアが国内法を改正しても国際法上は通用しない。
意見(男性) ソ連(ロシア)はサンフランシスコ条約第二条C項に反対して修正案を提案したが否決されていることも鑑みるべきだ。
意見(男性) 根室出身で東京にいたが、私の周りでは「返還は諦めて共同管理を」という意見が多い。そのうえでも米軍基地を置かないことは前提になるが、意外と根室市民は、四島が返還されても大企業に食われておしまいだからこのままでいいという人が多い。だが、地元ではなかなか本音はいえない。
中学生の弁論大会でも「北方領土は共同管理しなさい」という主張の子が大賞をとった。若い人の考え方も変わっている。「戦争しなければ返ってこない」というどうしようもない議員の発言があったが、戦争しても負ければ返ってこない。相手があることであり、返還は無理でも共同管理ならできる。軍事的な危険を迎えるのなら共同管理で収める以外にない。れいわ新選組も北方領土についての誤った方針は出さないようにしてほしい。
山本 だが現実は「お互いのものですね」とはいかないから何十年も揉めている。不当なことは不当なのだから。でも、戦争にはならないだろう。日本政府が領土問題で強硬なのは韓国に対してだけだ。ロシアには、相手がどれだけ強引でも、27回も会って貢ぎ物をして下手に出ている。島が返ってこないことによる漁業への影響はどうか?
意見(男性) 確かに北方領土周辺は根室の経済水域よりは豊かだが、乱獲の影響もあって資源量は少ない。だから返ってきてすぐに影響があるというものではない。
意見(男性) 感情はいろいろあると思うが、これは国際法に基づいて解決しなければならない話だ。千島列島はサンフランシスコ条約で放棄しているわけであり、交渉相手はロシアでなく、連合国だ。一方、当時の吉田首相が「歯舞、色丹は千島ではない」といっている。この二島に関してはロシアが奪ったものであり、相手はロシアだ。そこを分けて考えて交渉を進めるべきだ。
山本 今の整理が一番シンプルだと思う。国際法に基づいて交渉し、そのうえでは連合国、つまり米国にも交渉に入ってもらう以外にない。国際法を盾にたたかうしかない。そして、返ってきたときには、そこに米軍基地を置かず、訓練をしないという関係を米国と結ばなければならず、それを両輪でやっていかなければならない。
これについては今後、れいわ新選組としてより深掘りして政策にしていきたいと思う。共同管理についても勉強し、少なくとも国際法で結ばれたものは国際機関を介して正当性を訴えていく以外にないと思っている。それをやらず、単独交渉でカネを引っ張られ、法や解釈を変更され、どんどん深みにはまっている。
「今だけ、カネだけ、自分だけ」という政治を継続した結果、子どもの7人に1人が貧困、高齢者5人に1人、単身女性3人に1人が貧困という状態になっている。今後、国の形は残っても、そこに生きている人たちはもうもたない。根室が太平洋銀行といわれていた時代なら貯蓄ゼロでも大丈夫だが、今の不況のなかで20代の61%が貯蓄ゼロだ。バブルもなにもなく、もう荒野しか待っていない。少子化は加速し、高齢化したときに野垂れ死ぬしかない。国は救う気はない。自分たちのお友だちである大企業やお金持ちを大減税して税収が足りなくなったから消費税を上げて、さらに搾りとるというのが現実だ。
消費税について国会では、野党が「けしからん。以上」というだけだ。私たちは消費税の廃止を求めるが、それは私たちが政権をとらなければ実現しない。その間にどんどん増税が進むくらいなら、第一歩として消費税を五%に引き下げることで野党が一つになって政権交代を目指したい。
ぜひ皆さんと繋がっていきたい。すでに支持政党がある方には、その野党議員のお尻を叩いてほしい。消費税5%引き下げで結束しろと。全員同じ船に乗っている。野垂れ死ぬしかない社会を子どもや孫にバトンタッチできるだろうか。まずは日本経済を立て直し、人人の生活を底上げしていくためにぜひ力を貸していただきたい。
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