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2009年9月、鳩山由紀夫氏を首相とする民主党政権が発足した。きょうで10年となる。
「政権交代可能な二大政党制」を目指した衆院の小選挙区制導入から、5回目の選挙だった。
戦後初の選挙による政権交代に国民は大きな期待を寄せたが、民主党政権は混乱と迷走の末に3年余りで崩壊する。明暗いずれの歩みも政治史に刻印されよう。
現在、旧民主党勢力は立憲民主党と国民民主党に割れている。野党が「多弱」を脱し、再び政権を取る展望は開けていない。
しかし与野党が競い合い、政権交代が起こり得るとの緊張感を欠いた政治は、議会制民主主義の衰退につながる。国会を軽視する安倍政権の下では、なおさらだ。
再び政権を託すに足ると国民に期待される姿を追求する。その努力を野党は怠ってはならない。
「政治主導」に固執して官僚を排除する稚拙な行政運営など、民主党政権失敗の要因はさまざまに検証されてきたが、政策の方向性自体は否定されるものではない。
「子育てを社会で担う」との理念に基づき、子ども手当や高校無償化など現役世代への支援を手厚くする手法は、安倍政権も幼児教育無償化で取り入れている。
核持ち込みなど日米間の密約を認定したのも、自民党政権ではできなかったことだろう。
肝心なのは過去の分析と反省に基づき、国民の信頼を取り戻す野党再建の道筋を示すことである。
立憲、国民両党は臨時国会から統一会派を組むことで合意した。
両党は政権の経験を共有していながら分裂の遺恨を引きずり、主導権争いを続けた。党内抗争に明け暮れた与党時代から何を学んだのかと言わざるを得なかった。
内向きを脱し、まずは安倍政権の隠蔽体質を厳しくただす論戦の力を強化する必要がある。しっかり使命を果たしてもらいたい。
2年以内に衆院選が行われる。自民党に取って代わる意思が野党にあるなら、本格的な政権構想の策定が急がれる。特に結集の軸となるべき野党第1党の立憲の姿勢が問われるが、動きが鈍い。
政権構想では、どのような国を目指すのかの理念や連立の枠組みに加え、政策の優先順位、実現までの財源や手順も示すべきだ。
財源の裏付けを欠いたマニフェストで失敗した教訓を踏まえるなら、欠かせない要素である。
選挙が近づいてから付け焼き刃の議論を始めても、説得力のある骨太の内容は打ち出せまい。
北海道新聞社説 2019年9月16日
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/345068?rct=c_editorial
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