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覚せい剤逮捕の元経産省キャリア官僚公判で明らかになった異常な残業時間「仕事に行くために覚せい剤を打った」
https://wezz-y.com/archives/69227
2019.09.14 wezzy
「Getty Images」より
今年4月に覚せい剤取締法違反(密輸、使用)の罪などで逮捕、のちに起訴された経済産業省の元課長補佐、西田哲也被告(28)に対して、東京地裁は9月10日、懲役3年、執行猶予5年(保護観察付き・求刑懲役3年6月)の判決を言い渡した。
西田被告は今年4月、覚醒剤約20グラムが入っている国際スピード郵便1個を米国から取り寄せ自宅で受け取ろうとしたほか、東京都内の自宅で覚醒剤を使用したという。逮捕直後の経産省への家宅捜索では注射器が押収されており、西田被告が勤務中に覚せい剤を使用していたこともわかっているが、こちらは起訴されていない。
判決で三浦隆昭裁判長は、西田被告が覚せい剤を入手し使用したことについては「単なる快楽目的とは異なる」として執行猶予判決が相当だとした。「仕事の影響でうつ病を発症し、治療を受けるなかで、強い効き目を求め覚醒剤に手を出した」という西田被告の供述を踏まえての判断となる。
■「仕事に行くために覚せい剤を使った」
8月に開かれた公判で、逮捕前の壮絶な勤務状況が、西田被告や彼の父親から語られていた。
東京大学を卒業し2013年に経済産業省へ入省したのち、資源エネルギー庁へ配属された西田被告だったが、ここでの業務が彼の社会人人生を狂わせる。
「残業が多かった。終電で帰れたら早いほう。ときにタクシーで帰宅していた」と、情状証人として出廷した父親は語る。そのうち、うつ病を発症した西田被告に対し父親は「実家に帰ってきてしっかり療養したら、と何回も言いました」というが、西田被告はそれを固辞した。
逮捕について父親は「兄から電話がかかって知った。ネットニュースに哲也が出てると。そのあとNHKニュースでも観て……。大変驚いて信じられない、夢を見ている感じ」と、寝耳に水だったと語った。
「いまは薬物依存治療のため、週に5日、クリニックに通っています。体調には異常なく、なかなか笑顔は出ませんが、普通通りに生活できており、眠れないなどはなく、毎朝起きて、クリニックに通っています」
西田被告はまず薬物依存についての治療を行っており、それを両親が見守り支えていることも明かした。父親の尋問後、西田被告も、うつ病に至った背景、そこから覚せい剤に手を出した経緯を次のように語っている。
「数年前からうつ病になり、症状が年々悪化し、通勤が困難になりました。しかし、どうしても仕事に行きたい。ひどい抑鬱状態を改善して仕事に行くために覚せい剤を使うようになりました」
■月に300時間の残業
資源エネルギー庁から経済産業省の製造産業局自動車課に配置換えとなった2015年、西田被告はうつ病を発症した。それには資源エネルギー庁時代の激務が影響していたようだ。
「当時は残業がかなり多く、月に150……多いときは月に300時間。帰れない日もありました。1週間泊まり込みも……。緊張感と責任でなんとか耐えていましたが、通勤時に車が走っているのを見て、轢かれたらどれだけ楽かと考えたこともあります。自動車課に移ってからの残業は月100時間程度でした」
自動車課でも残業時間は多いが、資源エネルギー庁での尋常ではない残業時間の多さが、西田被告の精神を追い詰めたのか。
「当時の医師から、過労の状況は、当時、緊張感があって耐えられたが、移動で時間的余裕ができて、それまでのストレスがかかったのではないかと言われました」
うつ病が悪化する中、西田被告は数カ月単位の休みを3回取得したが、病状は改善しなかった。薬の量は増えてゆく。
「正直、悪くなる一方で、今に至るまで通院しています。抗うつ剤や眠剤など……中には強い薬もありました。より効果が強いものを求めるようになり、ベタナミンが処方されるようになりました」
それでも完全には回復しない。その次に西田被告が目をつけたものがリタリンだった。うつ病ではリタリンは処方されないため、これをネットで購入するようになる。
そんな生活を送る中、上司から「今度休みを取るときは休職扱いにして、その後は配置換えにしよう」という提案をされた。この提案が、強い薬に手を出し回復を焦っていた西田被告を、さらに焦らせたようだ。
「私としては当時の自動車課で働きたいと思っていましたが追い詰められて、なんとか仕事に行かないといけない、と……。自動車課で働くか、休んで異動するか、その二択を迫られていた、藁にもすがる思いで手を出した」
こうして今年2月、覚せい剤に手を出してしまった。使用頻度も高く、1日2回の頻度で毎日使用。経済産業省のトイレや会議室でも注射器を用い、自己の体内に摂取していた。
「朝起きて、出勤前に注射で打っていました。起きたらまず打つ……。覚せい剤を使った時の抗うつ状況改善……言っちゃ悪いけど、これをやれば一番よくなると思い、打っていました」
うつ病の悪化を食い止め、休職を避けたいとの思いから手を出した覚せい剤だった。それは何よりも、仕事にやりがいを感じ、仕事を続けていきたいと強く思っていたからだろう。
だが、働き方改革などを推し進める中、国家公務員がこれほどの激務にさらされている状況に矛盾を感じざるを得ない。少なくとも西田被告にとっては、違法薬物に手を出さなければ仕事を続けられない、と追い詰められるほど、過酷な就労状況だった。彼以外にも、こうした環境で働き続けている者がいるのではないかという疑いも湧く。
西田被告の公判が報じられることで、彼が置かれていた過酷な状況が広く知られることとなった。今回の件で経済産業省は5月31日付で、西田被告を懲戒免職処分としたが、これで一件落着ではなく、改めてその職場環境を見直す機会ではないだろうか。
高橋ユキ
傍聴人・フリーライター。2005年に傍聴仲間と「霞っ子クラブ」を結成(現在は解散)。著作に「木嶋佳苗 危険な愛の奥義」(高橋ユキ/徳間書店)など。好きな食べ物は氷。
twitter:@tk84yuki
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