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2019年09月05日
「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が開催3日で中止になった問題で、共同通信は「アート炎上 表現の不自由展を考える」と題した、5人のアーティスト・識者の論考を連載で配信しました(中国新聞は8月20日付〜24日付)。注目された指摘を紹介し、この問題で問われているものは何なのかをあらためて考えたいと思います。
企画展に出品したアーティストの1人、小泉明郎さんは以前、韓国の公立美術館で旧日本軍の特攻隊を扱った作品を展示した際、保守派の猛烈な抗議を受けました。しかし、メディアや作品を通じて、これは軍国主義をたたえるものではないと伝え、理解されました。
「検閲が横行した独裁政治を経験した韓国では、表現の自由は守るも
のだという意識が浸透しているように感じる」
同じく今回の企画展に出品した1人、吉開菜央さんは、かつて東京で、映像作品に対し「同和問題に抵触する」とクレームをつけられ、やむをえず黒塗りの「修正」を受け入れてしまった経験があります。
「その後、作品はフランス・カンヌ国際映画祭に出品され、黒塗りな
しの完全版が上映された。現地での公式上映に立ち会って分かったの
は、いろいろな意見を表明する場が大切にされているということ。議
論を途絶させてはいけないことを、権力者ほどよく分かっていた」
武蔵野美術大教授(憲法)の志田陽子さんは、「表現の自由」に対する日本とドイツの違いをこう指摘します。
「ドイツの法律には芸術の自由を保障する規定がある。背景にあるの
はナチスドイツが前衛芸術などを『退廃的』と抑圧した歴史だ。芸術
家を追い込み、芸術への感動を利用して国民の感情を、特定の方向へ
統制した。戦後のドイツはこの行為を反省し、公金で文化、芸術を支
援する際も、内容に政治介入しないというルールを定めた」
今回の問題の背景には「安倍政権が『韓国敵視政策』を加速させている影響も大きい」という山崎雅弘さん(戦史・紛争史研究家)は、こう強調します。
「現代の日本人が理解しておくべきことは、日本は敗戦を機に大日本
帝国時代の人権軽視の価値観を捨て、基本的人権を尊重する日本国に
生まれ変わったという自覚だ。大日本帝国と日本国は違う」
日本が韓国や欧米諸国とくらべて「表現の自由」の際立った後進国なのはなぜか。それはたんに人権に対する認識が低いというだけでなく、憲法に「表現の自由」が明記された歴史的背景、すなわち戦前の大日本帝国(天皇制国家)が「表現の自由」を奪って侵略戦争・植民地支配を強行した歴史の教訓を、日本人が学んでいない、自覚していないからではないでしょうか。志田さんが指摘するドイツときわめて対照的です。
かつて「あいちトリエンナーレ」の芸術監督を務めたこともある五十嵐太郎さん(建築評論家)は、今回の問題は「今の社会における最大の問題点を浮かび上がらせた」としながら、「だが、企画展の作品を引っ込めたままでは、表現の自由を狭める悪い前例となるだけだ。中止に至った経緯の説明や事態について議論の場を設けてほしい」と述べています。
憲法に「表現の自由」が明記された歴史的背景・歴史の教訓こそ議論され、学ばれるべきでしょう。「天皇」「元慰安婦」をモチーフにした作品の「表現の自由」が奪われていることはけっして「理由」のないことではありません。
https://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara
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