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納税するも…日本の投票率の低さと税に対する意識の相関性 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/261322
2019/09/05 日刊ゲンダイ
税金の行方を見極めるという意識が低い(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ
学者やジャーナリストが数人集まった席で「なぜ日本では、これほどまでに投票率が低いのか」という話になった。
ある学者は「学校教育の問題だ」と言った。
「歴史の時間に近現代史をほとんど教えないから、国民がボンヤリしていると国がどれほど大きな過ちを犯すかを知らない若者が多い」と。
それに対してジャーナリストのひとりは、「いや、いくら『投票に行くのが大事なんだ』と説教しても、現実の政治が面白くなければ誰も興味を持たないのは当たり前だ」と指摘した。彼が言うには、イタリアの場合、日本と同じ時期に似たような小選挙区・比例代表並立制を取り入れ、保守もリベラルもそれぞれに連立政権を目指して政策協定を掲げ、首相候補を立てて選挙を戦うので、ほぼ毎回のように政権交代が実現する。いつもハラハラ、ドキドキだから、投票率はずっと80%前後を維持しているという。
それに対して別の学者は、「税への意識と関わるのではないか」という問題を提起した。スウェーデンを筆頭とする北欧の高福祉国家や、中負担・中福祉といわれる中でも国民負担率の高いフランスやドイツでも、総じて投票率は高い。それは、所得の5割とか6割、場合によっては7割近くも税金や社会保険料などで国に納めてしまうから、それがキチンと自分たちの安心を将来にわたって保障するように使われているかどうかに強い関心がある。それで、代理人として議員を選び、政府を監視させ、よりよい政策・制度を立案させて、自分たちのお金の行方をとことん見極めようとする。自分たちの税金の行方を決めるのが投票であり、民主主義なのだという能動的な意識が徹底しているから、祈るような気持ちで投票する。
ところが日本では、「税金を取られる」という言い方に象徴されるように、税は「お上に取られる」もの。こちらがそう思っているから、お上も「取ったもの」は自分のものだと割り切って、イージス・アショアでも何でも好きなように買って当たり前であるかに振る舞う。
「これじゃあ民主主義は成り立たない。我々は皆、納税者であるがゆえに有権者なのだという成熟国家らしい市民感覚を育てないと、どうにもならない」と、その学者が言う。
さて、10月から消費税が上がり、年間4.6兆円の新たな国民負担が始まる。これをどういう意識で迎えるべきなのだろうか。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
納税するも…日本の投票率の低さと税に対する意識の相関性 https://t.co/ppaDl0Pnwx #日刊ゲンダイDIGITAL
— ippatsu (Hiroyuki Kamata) (@ippatsu_sendai) 2019年9月4日
日本の投票率の低さと税に対する意識の相関性
— KK (@Trapelus) 2019年9月4日
学者やジャーナリストが数人集まった席で「なぜ、日本では、これほどまでに投票率が低いのか」という話になった。ある学者は「学校教育の問題」だと言った。「歴史の時間に近現代史をほとんど教えないから...」
永田町の裏を読む 高野孟(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/1UCM5pVShM
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