http://www.asyura2.com/19/senkyo264/msg/575.html
Tweet |
【民主主義より秩序を優先するのか】この国の「香港デモ報道」明日は我が身 先の参院選で安倍政権へのヤジが排除されたが、まともに扱う大メディアは皆無だった。民主主義を否定するような大マスコミは案の定、香港デモ隊への弾圧を詳報せず、空港占拠では「不便」を強調(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/Li7UxA4jsy
— KK (@Trapelus) 2019年8月16日
明日は我が身か 大メディアの「香港デモ報道」はヌルい
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/260380
2019/08/16 日刊ゲンダイ 文字起こし ※タイトルは紙面による
「国際社会に訴えるにはこの方法しかない」(香港国際空港の出発ゲート前)/(C)ロイター
中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求める香港のデモは、先週末から国際空港での座り込みに発展。アジア有数のハブ空港の機能はマヒし、12、13の2日間で600便が欠航した。
黒い服を着た若者ら数千人規模が空港の出発ロビーを占拠――。ニュースなどで流されるその映像は、確かに異常事態を思わせるものではあったが、気になったのは、メディアが「不便」や「暴力性」を強調するような報じ方をしていたことだ。
空港で行く手を塞がれ立ち往生する外国人観光客。「帰れない」と嘆く子ども連れの日本人家族。「I♥香港警察」と書かれたTシャツを所持していた中国共産党機関紙の記者がデモ隊に取り囲まれ、結束バンドで手を縛られて殴られた一件では、デモが一線を越えたとして、「中国に弾圧する口実を与えた」とテレビコメンテーターが発言した。
だが焦点を当てるべきは、なぜここまでデモが長期化し過激化するのか、ではないのか。
日本のメディアは、事の本質を伝えていないのではないか。
「迷惑なのは分かっているが、国際社会に訴えるにはこの方法しかない」――。空港に座り込んだ若者たちは、こう口にしている。切羽詰まった心情は、日刊ゲンダイの連載「香港デモ 怒りの真相」でのジャーナリスト、小川善照氏の現地ルポが詳しい。彼らが「逃亡犯条例」改正案に徹底的に反対するのは、「法的平等がない中国に香港市民を送ることができる“送中”法案」だからであり、デモは「自由を守るための最後の戦い」なのだ。
1997年に英国から中国に返還されて以降も「一国二制度」に基づき香港は高度な自治が許されたため、香港人が最初から中国政府を敵視していたわけではない。民主的な選挙を求めた2014年の「雨傘運動」を経て、中国本土の影響力が高まり、香港で話される広東語が北京語に駆逐される恐怖も出てきたのだという。23歳の男子学生は「このままでは中国の奴隷です。香港に未来はない。もう雨傘運動のように失敗することはできないのです」と悲壮な決意を語っていた。
いまや香港警察は無差別暴力もいとわず、躊躇なく催涙弾をぶっ放す。それに対し、デモの若者たちを総力戦で支えるのは市民だ。若者に配られる食事クーポン券の原資は市民からの寄付。街角の商店は店先でペットボトルを無料で配る。トイレとスマホの充電のために営業時間外の店舗を開放する飲食店もあるという。
香港当局発表の垂れ流し
中国には1989年に民主化運動を武力弾圧した天安門事件の忌まわしい過去がある。「一国二制度」の香港が、中国政府によって表現・言論の自由を奪われ、民主主義を奪われる瀬戸際にあるということなのだ。
だから、米国では14日、下院外交委員会の超党派が声明を発表。「自由、法の支配を求める香港市民の勇気ある行動に敬意を表する」とデモ隊への支持を表明した。仏政府も、「一国二制度」により法の支配や人権が尊重されることを極めて重視している、という趣旨の声明を出した。民主主義国家ではこれが当たり前だ。香港デモの過激な現象だけを報じ、中立を装う日本の大マスコミの反応は鈍すぎると言わざるを得ない。
先月、現地に取材に出かけた高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)がこう言う。
「日本の報道は、デモ隊も当局もどっちもどっちという報じ方ですが、民主主義の意識が低いとしか言いようがない。空港というのは香港の問題を可視化するための手段であり、他に方法がないからです。それに、日本の報道はほとんど香港当局や中国政府の発表の垂れ流し。デモ参加者は空港を“占拠”などしていませんし、空港機能をストップさせたのは当局側の決定です。そもそも空港に大勢が集結したのは、デモ隊の女性が警察の発射した鎮圧用の弾を右目に受け、『失明した』として怒りが拡大したから。そうした背景を日本のメディアはきちんと伝えていない。中国共産党機関紙の記者がデモ隊に拘束されたことをことさらクローズアップしていますが、デモが『暴力的』だとする中国政府のプロパガンダに乗っかってしまっています」
参院選では「権力による言論封じ」が行われた(C)日刊ゲンダイ
報道機関による権力の監視が昨日せず、権力は増長 |
もっとも、先の参院選の報道を思い返してみれば、日本の大マスコミに民主主義を守る気概があるのか疑わしい。北海道や滋賀で行われた安倍首相の街頭演説で、「安倍やめろ」などとヤジを飛ばした有権者が警官によって強制的にその場から排除されたが、この「権力による言論封じ」をまともに扱った大メディアは皆無だった。
選挙期間中の「中立公平」をクギさされているからだろうが、むしろ選挙中だからこそ、有権者に権力者の横暴を知らせて判断材料にしてもらうべきじゃないのか。
今月開かれた北海道議会の委員会で道警本部長はこの排除行為を「トラブル防止措置」と説明、法的根拠については避けたままだ。法を犯していなくとも、警察が「秩序を乱している」と判断したら拘束されるのが今の日本。こんなことを許していたら、権力が認めることしか発言できない恐怖社会になってしまう。権力を監視するはずの報道機関が機能しないから、ますます権力は増長する。
「ヤジの有権者は拡声器を使っているわけでもなく、生声ですよ。香港デモの参加者も丸腰です。一方で警察は武器を持ち、武力を持っている。権力側と市民には圧倒的な力の差があることを、メディアはもっと意識すべきです」(五野井郁夫氏=前出)
基本的人権が制限される
民主主義より「秩序」が優先される国への加速。まさに、安倍自民党が示す「改憲草案」が理想とする国だ。
憲法は本来、国民が権力者を縛るものだが、自民党の改憲草案はそれが逆転して、国民に憲法尊重義務を課している。しかも、現憲法の「公共の福祉」という言葉を「公益と公の秩序」に置き換え、例えば「自由や権利には……常に公益と公の秩序に反してはならない」(草案12条)としている。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「『公共の福祉』は皆が幸福になって社会が発展するよう、基本的人権を保障するためのいわば道具。経済的に富める者とそうでない者、肉体的な強者と弱者の人権を調整する際に適用されます。一方、『公益』や『公の秩序』は『公共の福祉』とは全く異質のものです。公益とは国家が認める利益であり、公の秩序は国家が決める順番。要は、国家が容認するものしか許されないということです。現憲法が保障している基本的人権を制限する理論になっています」
この論法がまかり通れば、日本でもデモは弾圧され、非常事態という戒厳令が敷かれることになるだろう。自民党草案には「緊急事態条項」も記載されているし、安倍改憲4項目のひとつは「緊急事態条項」の創設だ。
香港デモを制圧するため、中国政府はすでに香港と隣接する深圳に軍用車両を集結させている。中国政府は「香港政府が制御できない動乱が出現すれば座視しない」としてきたが、何が「動乱」なのかは中国の判断次第だ。日本でも「公益」「公の秩序」が優先されれば同じ事態になる。香港で起きていること、これから起きることは、対岸の火事じゃない。明日は我が身だ。
「自民党草案のように改憲されたら、公の秩序を乱している、公益に反する、という基準を国家が好き勝手に決められる。デモや集会が国家の判断で規制され、警察の臨検が横行し、参加者が逮捕される恐れも出てくるでしょう。公益や公の秩序が民主主義より優先されるとは恐ろしい概念です」(金子勝氏=前出)
「自由と民主主義を守る」という香港デモを支持する明確な声を、メディアすら出せないようでは、この国の未来は暗い。
関連記事
香港空港占拠を誘発した暴力警察 世界同時株安の引き金に(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/173.html
<香港発>市民が頼るBNO旅券 迫りくる中国の恐怖(田中龍作ジャーナル)
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/197.html
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK264掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK264掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。