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韓国に対する輸出規制 東アジア大循環をブチ壊す自損行為 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/260259
2019/08/15 日刊ゲンダイ
韓国、中国、東南アジアの国々、絶妙な国際分業体制のおかげで日本経済は何とか回っている(C)共同通信社
日本政府が韓国に対する事実上の“報復”として半導体関連の輸出規制に踏み切ったことが、ブーメランのように戻ってきて日本自身を傷つけるそのダメージは、一般に想像されるよりはるかに深刻である。
規制の対象とされたのは、半導体メモリーの製造に不可欠な「フッ化水素」や「レジスト」、有機ELディスプレーの素材となる「フッ化ポリイミド」の3品目。いずれも日本企業の世界シェアが70%、90%を占める超ハイテク素材で、日本がその輸出を規制すれば、例えばDRAM製造で合わせて世界シェア74%を占めるサムスンとSKハイニックスの韓国2社がたちまち立ち往生するけれども、その韓国製DRAMに頼っているパソコン、携帯電話をはじめありとあらゆる電子製品の生産が日本も含めて世界中で大混乱に陥る。フッ化ポリイミドも同様で、これを用いて有機ELディスプレーを製造して最先端を走る韓国のサムスンとLGが困るだろうが、それを輸入してパソコン、携帯などを生産している中国も困り、世界はもっと参ってしまう。
これは、「そうなると日本にも影響が及ぶ」という次元の話ではない。ご存じかどうか、日本はかつては自動車や白物家電など耐久消費財の輸出国であったが、総務省統計局「日本統計年鑑」の商品特殊分類別輸出によれば、今はそれらは輸出全体の16%にすぎず、代わって主役の座にあるのは資本財(51%)と工業用原料(23%)だ。そのすべてというわけではないが、ほとんどは日本でしかつくれない、もしくは日本のものが性能が格段に優れていて、高くても買わざるを得ないような高度な製造機械や超精密加工部品、まさにフッ化水素などのような超ハイテク素材など、日本の“ものづくり”の結晶のような高付加価値品である。
つまり、日本は今や高度資本財輸出国として、世界貿易の中で独自の地位を築いている。しかもその地位は、日本単独で維持できるのではなくて、それらを韓国や中国が輸入してDRAMや有機ディスプレーなどの品質の高い複合部品や中間製品をつくり、それらをさらに中国や東南アジアに運んで、そこで大量生産が行われるという、絶妙な国際分業体制が作動していて、そのおかげで日本経済はなんとか回っている。
この日韓中を軸とした東アジアの大循環をもっと強化することが戦略課題だというのに、安倍政権は自らそれをブチ壊す自損行為に出ているのである。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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