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お上に盾付く行いだから乗れない/政界地獄耳
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201908120000099.html
2019年8月12日7時56分 日刊スポーツ
★8月6日に広島、9日に長崎に原爆が投下されてから74年がたった。そして間もなく訪れる74年前の15日に日本は終戦を迎えた。2度と戦争は起こさない。唯一の戦争被爆国として原爆の悲惨さを世界に知ってもらいたい。戦後、国際社会に復帰する日本の国民はそう願った。今年も6日、首相・安倍晋三は広島市中区の平和記念公園で開かれた平和記念式典に参列し、献花・あいさつ、被爆者代表らと会談し会見という流れを繰り返したが、条約については触れない。
★17年7月に国連で開発、所有、使用などあらゆる活動を禁じた核兵器禁止条約が批准されて2年がたった。日本はその先頭に立つべき立場にいながら「アプローチの仕方が違う」という屁(へ)理屈で参加の署名をしていない。米国の核の傘の下に自国の安全保障を位置付けているからだ。冷戦が崩壊しても、その冷戦構造の中に位置付ける価値観から動けない政府や国民の硬直した思考に歴史修正主義が加わり、今後日本は先の大戦に勝ったとまで言い出す輩(やから)が出てくるのではないか。
★それにつられるように、長崎県佐世保市教育委員会は4日に開催された「原爆写真展」の後援依頼を、同時に行う「ヒバクシャ国際署名」活動が「政治的中立を侵す恐れがある」と断った。つまり政府や首相が平和活動に懐疑的、または批判的なため、お上に逆らうような署名は政治的中立というより、お上に盾突く行いだから市教育委員会は乗れないということらしい。
★6日の平和記念式典の広島市長・松井一実の平和宣言は「1人の人間の力は小さく弱くても、1人1人が平和を望むことで、戦争を起こそうとする力を食い止めることができると信じています」とし、当時15歳だった女性の信条を単なる願いに終わらせていいのかと問い、ガンジーの「不寛容はそれ自体が暴力の一形態であり、真の民主的精神の成長を妨げるものです」を引用した。広島県知事・湯崎英彦は「核兵器を特別に保有し、事あらば使用するぞと他を脅すことが許される国があるのか」と保有国の考え自体がおかしいと指摘、「現実という言葉の持つ賢そうな響きに隠れ、実は逃避しているだけではないか」と迫った。政府と佐世保市が恥ずかしい。(K)※敬称略
原爆展後援、佐世保市教委断る 会場で核禁条約加盟促す署名 「中立保てぬ」
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/532585/
2019/8/4 6:00 西日本新聞
ヒバクシャ国際署名の署名用紙
長崎県佐世保市教育委員会が、4日に市内で開かれる原爆写真展の後援を断っていたことが分かった。市教委は、写真展の趣旨や内容に問題はないが、会場で行う署名活動が「政治的中立を保てない恐れがある」と説明している。
写真展は原水爆禁止佐世保協議会が、核兵器禁止条約が成立した2017年から佐世保市中心部の島瀬公園で開催。17年は市と市教委に後援を断られ、18年は後援申請を見送った。
会場で行うヒバクシャ国際署名は、同条約に全ての国が加盟し、核兵器の完全廃絶を求める内容。全国の被爆者の呼び掛けで16年4月に始まり、19年4月24日までに国内外から約941万筆が集まった。長崎県内では、被爆者5団体の代表が呼び掛け人を務める「『ヒバクシャ国際署名』をすすめる長崎県民の会」が活動を行い、中村法道知事、田上富久・長崎市長らが代表賛同人に名を連ねる。
今年は佐世保市教委へ7月2日に後援申請し、同17日に却下された。西本真也教育長は「写真展と併せて署名活動をするのでお断りした。署名は一定の意思を市民に求める。中立公平を第一とする教育委員会の後援の在り方と違う」と述べた。ヒバクシャ国際署名についても「教育委員会が『これが一つの平和の考え方』と示すのはどうなのか」と話した。
写真展を主催する原水爆禁止佐世保協議会の前川恵子理事(69)は「佐世保にも被爆者がいる。同じ長崎県なのにどうして被爆者の思いに寄り添い、核廃絶を訴えてくれないのか理解に苦しむ」と話した。
「政治的中立」を理由に自治体や教委が集会や展示を後援しないケースは各地で起きている。
■長崎自治体で唯一署名せず 佐世保市長「政府方針に同調」
全ての国が核兵器禁止条約を批准し、核兵器を完全廃絶するよう求めるヒバクシャ国際署名には、長崎県内の21市町長のうち、佐世保市だけが応じていない。
佐世保市の朝長則男市長にその理由を尋ねたところ、書面で回答があり、「日本政府は核兵器禁止条約が核兵器国と非核兵器国の対立を一層助長し、亀裂を深めるとの考えから賛成しなかったものと認識している。本市は政府方針に同調する」との考えを示した。また、同市に米海軍佐世保基地が存在することにも触れ、「わが国のみならず、アジア・太平洋地域の平和と安全の維持と繁栄の基軸をなす重要な役割を果たしている」との認識も明らかにした。
署名呼び掛け人の一人、県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(79)は「長崎県で足並みがそろわないのは残念。朝長市長は平和の在り方を市民に問うた上で判断してもらいたい。市長は国に忖度(そんたく)しているのではないか」と疑問を呈した。
また、佐世保市は核兵器廃絶を目指す国内外の都市でつくる「平和首長会議」(会長・松井一実広島市長)に九州の233市町村で唯一加盟していない。全国1741自治体のうち、未加盟は佐世保市を含む9自治体。
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