「お母さんはねえ、どうもあの時から、神経過敏になってね。あんな音を聞くと、つい、さっきのようにあわててしまって……」 「あの時からって、あの原爆?」と私はたずねた。 「ええ」と答えると、母は縫い物の手をやすめて、私の顔をじっと見つめた。 私は自然母の顔から視線をそらした。 長田新編『原爆の子』より 「時事ネタ」という言葉を知らぬ当ブログ。秋の気配すら感じるこんな時期に「原爆」ネタです。この時点で、3人ぐらいしかついてきてないような気がしますが、がんばります。 広島市に原爆が投下されたのは、8時15分。これは、もはや国民的常識といっていいでしょう。そして、この数字を疑う理由などこれっぽっちもありません。なんといっても、わずか60年前、数十万人が直接体験した歴史的事件なのです。こんなことをいちいち疑っていたら、正常な社会生活は送れません。 ところが、これを疑問をもつ人がいました。中条一雄『原爆は本当に8時15分に落ちたのか―歴史をわずかに塗り替えようとする力たち』です。一見、トンデモ陰謀論かと思わせるタイトルですが、さにあらず。元新聞記者らしい、足で集めた地道な情報でかためた労作です。 中条自身も被爆者です。同窓会はいつも最後には原爆の話題になるといいます。あるとき、中条の友人の一人が、原爆は、実は8時6分に落ちたのだと言い出します。これがすべての話の発端でした。 その友人は、原爆投下の日、高級時計ロンジンを友達から預かっていました。毎朝NHKの時報を聞いて時刻を合わせるのが習慣でした。被爆直後、時計が壊れていないか心配で反射的に時計を見たそうです。「八時六分を鮮明に覚えている。絶対に間違いない。」 うーん、しかし、あの混乱の中ですからねえ……。 ところが、中条は、その後さまざまな証言をかきあつめ、資料をあさり、施設を訪れ、8時15分という定説に、実は明確な根拠がないことを明らかにしていきます。詳しくは原著にあたってください。 しかし、この本、あまり話題になっていないようです。私の知る限りでは、finalventさんが何度か言及されているぐらいです。 まあ、無理もないところです。なぜかといいますと、この本、結局のところ、「ではいつ原爆が落ちたのか?」という質問に答えを出せなかったんですね。これはがっかりです。我々一般大衆がほしいのは、「答え」ですよ。真実を常に探求する姿勢こそが大切だ、というのはありがたい教えですが、やっぱここはスパッと「本当は8時6分に落ちた」って言い切ってくんないとさー。そしたら「97へぇ」出して、ぐっすり寝られるというものです。 ところで、私は上のほうで無造作に「8時15分に根拠がない」と書き散らしたわけですが、しかし、反論が山ほど来そうです。例えば、原爆資料館にある、8時15分で止まった時計はどうなのか? 右上に写真をあげておきましたので、御覧ください。これは『原爆は本当に8時15分に落ちたのか』に掲載されている写真を私が勝手に撮影したものです。見覚えありますよね? 当然、中条も、この時計については考えています。ちょっと『原爆は本当に8時15分に落ちたのか』の議論のサンプルとして、この懐中時計について考えてみることにしましょう。 まず、中条は、時計が動きを止める外的な原因を考えます。原爆のエネルギーは、爆風の衝撃波、熱線、放射線の3つの形で放射されました。原爆資料館の時計は、ゼンマイ式の懐中時計ですから、止まる原因は、熱か爆風です。 中条は、熱によって時計が止まるのは、火災により時間をかけて時計が熱せられた場合である、としています。実際、中条は自宅から父が愛用していた焦げた懐中時計を発見しましたが、それは九時半で止まっていたそうです。それにしても、実際に被爆した人だけあって、具体例がナマナマしておりますな。 でも、原爆の熱線は、爆心地の瓦を蒸発させるほどだったとか言うじゃないですか。私としては、一応、原爆の熱線で一撃停止した可能性も考えたいです。つうわけで、さくっと見積もってみます。適当に読み飛ばしてください。 Wikipediaの「広島市への原子爆弾投下」の項によれば、熱線の威力は、爆心地から1km先で1平方センチあたり23カロリーだったそうです。原爆資料館の時計は爆心地から1.6kmのものです。ここでは、大ざっぱな見つもりをしたいだけなので、1平方センチあたりの熱量を20カロリーとします。 懐中時計の大きさは、直経5cmぐらいですかね? ならば面積は約20平方センチ。正面からすべての熱線を受けたとして、20*20=400カロリー。時計が熱を吸収しやすい鉄でできていたとします。鉄の比熱は0.1。重さは? まあ50gを切ることはないでしょう。 以上の数値をもとに計算すると、懐中時計の温度上昇は、400÷0.1÷50=80度となります。さすがは原子爆弾ですね。1.6km先の物体を、ほぼ一瞬で(水が)沸騰する温度にまで熱しています。 とまあ、仰々しく計算しましたが、これは正面から熱線を受けた場合の話です。だいたい、モノは懐中時計ですから、文字通り「懐中」にあればほとんど熱は来ません。原爆資料館の懐中時計は、文字盤が白色ですし、金属光沢で反射する分も考えれば、おそらく実際の温度上昇は、この5分の1もなかったのではないか。 どうやら熱で停止した可能性はなさそうです。となると、爆風による衝撃しか考えられない、ということになります。 中条の議論に戻ります。中条は、爆風で止まったとすれば、「文字盤が歪むなど別の外部的な損傷が必ず生じるはず」である。しかし、この時計は「あまりにも損傷のなさから見て、どんな衝撃で針が止まったのか理解し難い」と指摘します。確かに、表面のガラスが完全に破壊されてふっとんでいることを考えると、針が「原爆投下時間」を指したまま止まる、というのは不自然だと、私にも思えます。 被爆に耐えた時計は、他にも何十個とあるそうです。その中で、最も「8時15分」に近いものが資料館に選ばれた、ということではないでしょうか? それならば、この時計は、「8時15分」の根拠にはなりませんね。 このようにして、中条は、「神話」を一つ一つ潰していくわけです。その過程は、なかなかスリリングです。まあ、結局オチがつかないんですけど。 ところで、私はちょっと面白いことに気づきました。右上に貼ってある懐中時計の秒針を見てください。画像がちっこくて申し訳ありませんが、32秒あたりを指しているはずです。この時計の写真は、『原爆は本当に8時15分に落ちたのか』の表紙にも使われており、そちらではよりはっきりと「32秒」が確認できます。 ところがですね。ネットにある、同じ「原爆資料館の懐中時計」の写真を見てください。ちょっとお行儀悪いですが、画像に直リンしときます。→画像1、画像2 見ていただければただちに分かると思いますが、このリンク先の写真では、秒針が指しているのは「40秒」あたりなんです。なんと秒針が動いています! えー!? 時計が勝手に動くわけはありませんから、だれかが動かしたのでしょう。可能性としては、わざと動かしたか、知らないうちに動かしてしまったか、当然どちらかです。 故意に針を移動させたとしたら、それはもう、この時計の信憑性なんてハナからありゃしねえってことです。なぜ秒針の位置を変える必要があるのか、その理由はさっぱり分からんちんですが、ともかく、そんなことする人なら、長針を勝手に15分の位置に合わせるぐらいのことはするでしょう。 一方、知らないうちに針が動いてしまったのだとすれば、それは要するに、この懐中時計の針というものはそのぐらい動きやすいものだってことでしょう。であるならば、この時計が指している8時15分という時刻をうのみにするのは、実にバカバカしい話ですよねえ。 ともかく、それはやっちゃいかんだろ、という感じですな。この時計の存在意義は「原爆が爆発した瞬間に止まった時計」というところにあるのですから、たとえ秒単位だろうと、ズレちまっちゃあ興ざめでしょ。資料館の職員の方々は、ちゃんと時間合わせましょうよー。 さて、「8時15分で止まった時計」をめぐって長々と話してきましたが、結局のところ、広島に原爆はいつ落下したのでしょうか。上で書いたように、中条にもその結論は出せなかったようです。 しかし、私は話は簡単だと思います。原爆は8時15分に落ちたのだし、同時に8時6分にも落ちており、人によっては8時11分であり、またある人には8時20分かもしれず……要するに、人それぞれの時間に落ちたのです。 ああ、このペテン野郎は、ついに意味不明のブログの書きすぎで頭がイカれたか、と思われたことでしょうが、私は大真面目です。別に、相対性理論における固有時間の話などしたいわけではありません。 原子爆弾が爆発したというのは、単なる物理的現象です。今もこの瞬間に、人類の1億5000万km上空では、1秒間に広島型原爆6兆発分のエネルギーが太陽から生まれています。しかし、それは、我々にとって何の歴史の1ページでもありません。物理現象は、人間に何らかの意味をもたらして、初めてそれは歴史となるのです。 そう。歴史は、人の中にあります。 1945年12月末、放射線による急性障害がいったん収束した時点で、広島では原爆によって約14万人が死亡したと言われています。その14万人それぞれに、違う原爆が、違う世界が見えていたはずです。ならば、原爆投下時間が人それぞれ、いくつもあったって、別にいいじゃないですか。 あの日消えたのは、14万の命であり、肉体であり、笑顔であり、涙であり、絶望であり、希望であり、そして、歴史でありました。 今はただ、その歴史、1つ1つに黙祷を。 「1945年8月6日 午前7時45分から8時15分」の時間帯に、『広島市民は誰一人として、B29特有のエンジン音も、機影も目撃した者がいない』と云う、驚きの証言もあるようです。
Wantonさんのブログから
広島に原爆を投下されたという大本営発表の 「1945年8月6日 午前7時45分から8時15分」の時間帯に、 『広島市民は誰一人として、B29特有のエンジン音も、機影も目撃した者がいない』 と云う事実である。 しかし、『広島は一瞬にして地上から消えた』訳である。 まるで「手品」である。「手品」には必ず種がある。 この場合の手品の種は「地上起爆の目撃者が全て殺された」と云う事と、 ラジオと新聞報道で「アメリカの爆撃機による空中投下」を繰り返し流し、 テレビ時代に入ってからは、B29の映像とキノコ雲を同時に映像化して、 それらしくシナリオ化している。極めてシンプルな手口である。 広島・長崎での被爆体験記録では、肝心の 『地上に設置された巨大な瓦斯タンク(核弾頭と起爆装置)』の目撃に 関する記述が削除されていることは確かである。 広島市東部から20kmの地点に在る『中野探照灯台』上空附近を飛ぶB29は、 すでに9,630mの高度をとっていたはずである。 つまり、中野探照灯台の兵士たちは9,630mからの爆音を聞いていたということになる。 その時間は、午前8時14分と報告されている。 それから、1分後の8時15分に起爆するのだが、中野探照灯台から2〜3分の時間を 必要とするが、原爆機は最高速度600kmを、わざわざ320キロメートルに落し、 広島市上空では「機関を停止してグライダー飛行に入る」のである。 こんな爆撃をしたら「自爆による墜落攻撃」である。 B29の爆弾搭載量は9トンと云うが、5トンが限界である。 乗員11〜12名を機長・副操縦士・航空機関士・気象士・爆撃手・通信士・ 原爆要員等を考えると、乗員は逆に15名程度に増えるし、 機銃装備を取り除いても2〜3トンの削減が限界だろうし、 護衛戦闘機がいないのだから、幾ら超高度10,000mを飛行できても、 高度が上がれば燃料消費量も上がり、往復の燃料にも問題が発生するから、 通常は高度を下げて飛行して、目標地点の近くで高度を上げる事になる。 高度が低くければ、自爆戦闘機(神風)からの攻撃は必至である。 それでは、無防備だから、テニアン島からの往復を考えると、 機銃装備を外すとは考えられない。護衛戦闘機が豊後水道まで護衛すれば、 飛行機のエンジン音は当然大きくなる筈だが、その証言は何処にも無い。 この当時の巨大爆撃機のレシプロエンジン(発動機)を上空9,630mで、 『中野探照灯台(広島市東部)』上空附近から、3機(1機エノラ・ゲイ)が 「機関を停止」してグライダー飛行して、広島上空に侵入して、 弾倉の格納されている「原爆の起爆装置をセットON」して、弾倉トビラを開けて、 フックを外して原爆を投下し、広島市の地上から520〜550m上空で都合よく起爆 したとしたら、それ自体でB29は爆風に巻き込まれて墜落である。 長崎では逆に原爆を搭載して、曲芸飛行の様に、10,000mから急降下して 地上すれすれを飛んだのは、広島のB29投下シナリオの「手品」が、 多くの広島市民にばれた教訓として、地上起爆を演出するために、 地上すれすれを飛行して、さも飛行機(B29)が「原爆を投下」しましたよ! と「手品」をした訳である。 <引用終わり> ------------------------------------------ 今後、検証を重ねていくうちに、新事実が証明される可能性が非常に高くなってきました。
本来、歴史の検証作業は専門家が行うものですが、歴史が引っくり返る様な新事実には大きな力が働き、待ったが掛かるようです。 「原爆は日本製」 「原爆は地上起爆」 「原爆特許に関わる天皇」 「その当時、原爆の起爆装置が不安定で、乗り物による移動は無理」 「B29の目撃証言が無い」 「東京大空襲では皇居、指令本部は無傷」 「広島原爆爆発時刻は、8時15分ではなく、8時6分」 現状、これだけの新説が出てきたようです。 何においても、専門家が検証しなければならないのに、専門家は大きな力に尻込みして事実を暴こうとせず、御用学者に成り下がり、歴史の新たなページを開くのを阻止しています。紐付きの陰謀論者も御用学者同様です。 我々は事実を知る権利があるし、事実を知った上で色々精査し、悪行を働いた人間は罪を償うのは当然だと考えています。 ブロガーの検証作業は、目を見張るほどの成果を上げていると感じます。専門家、学者が精査しないのなら、誰かが精査しなければなりません。悲しいかな、現状は公の立場の人間は大きな力に怯えて、事実を暴こうとしないので、日々進化するブロガーが精査して行って、事実を解明するしかありません。検証作業で間違う事もあるかも知れませんが、間違いがあれば訂正し、思い込みを捨てて、客観的に事実を見ていく必要があると思います。
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