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「できちゃった」を祝福せよと迫られても…
https://www.chosyu-journal.jp/column/12715
2019年8月9日 コラム狙撃兵 長周新聞
小泉進次郎・38歳と滝川クリステル・41歳の「できちゃった婚」についてまず思うことは、特に「おめでとう」とも思わないが「けしからん」とも思わない。「どうでもいいし、好きにすればいいじゃないか」の一言に尽きる。唯一同世代として感じることとすれば、それほどの年齢にもなりながら物事の順序や計画性を吹っ飛ばして「できちゃった」をできることへのある種の驚きだろうか。実に本能的なお2人なのだろう。とはいえ、恋愛なり結婚なりは人それぞれであって、家族でも友だちでもない外野席が口を挟むような代物でもない。何歳であろうと本人たちが好きにすればいいと思う。
むしろ異常だと思うのは、その後のメディアを総動員したプロパガンダだろう。「政界のプリンス」「将来の総理大臣候補」「滝川クリステルがファーストレディーになったら」などと持て囃して、たかだか一人の国会議員の結婚をお祝いムード一色に染め上げ、それこそ小泉・竹中改革によって日本社会を貧困の奈落に突き落としてきた政治家・小泉純一郎の息子、米共和党系のシンクタンクとして知られるCSIS仕込みともいわれる男を「将来の総理大臣」として、国民の脳味噌にこれでもかと刷り込んでいるのである。まるで郵政劇場や小泉フィーバーを作り出していったあのときの空気とそっくりなのだ。なんなら「お祝いしないのはけしからん!」といった同調圧力すら感じさせる。そうなると、前述したように特に「おめでとう」とも思わないが「けしからん」とも思わないような関係のない人間としては、38歳と41歳の「できちゃった婚」の祝福を、家族でも友だちでもない者がなぜ迫られないといけないのか? とそれだけを思うのである。2人の本能の赴くままに好きにすればいいではないかと−−。
自民党の一国会議員の結婚発表会見を首相官邸でやることなど、公私混同について問題視する評論が見当たらないのが不思議である。こうしてれいわ新選組の台頭などへっちゃらで黙殺する商業メディアが、目下、小泉進次郎の総理実現プロモーションについては全力で腕まくりしてやっている。長時間を割いて、何度も何度も映像を映し出している。特定の人間の結婚をこれほどメディアあげて取り上げる意味について考える必要があると思う。そして、本能の赴くままに「できちゃった」ような無計画な人間が将来の総理大臣候補なのだと大騒ぎしていることについて、「ちょっと待てよ!」の声が出てきても良いように思う。異論や多様性あっての民主主義社会だというならなおさらだ。特定の政治家一族を崇め奉るような風潮は宗教のようにも見えて異様である。
吉田充春
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