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郵政民営化なれの果てのかんぽ生命不正販売
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2019年8月 6日 植草一秀の『知られざる真実』
拙著『25%の人が政治を私物化する国 −消費税ゼロと最低賃金1500円で日本が変わる−』 (詩想社新書) https://amzn.to/2WUhbEK に「民営化」と「小さな政府」について書いた。 「民でできることは民に」 のフレーズの下で民営化を推進したのが小泉純一郎内閣だ。 その象徴が郵政民営化だった。 その郵政民営化がもたらしたものは何であるのか。 いま話題のかんぽ生命保険の不正販売問題は、その氷山の一角だ。 かんぽ生命保険の不適切販売問題を受けて7月31日に日本郵政の長門 正貢社長がかんぽ生命の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長とともに記者会見を開いた。 問題は顧客に不利になる保険商品を企業ぐるみで販売したこと。 保険商品乗り換えのために旧保険を解約したが、健康状態から保険の契約ができなかった、 新契約が告知義務違反とされて保険金が支払われなかった、 不利な新規商品に乗り換えさせられた、保険料支払いが二重になった、 無保険状態が発生した、などの事例が発覚した。 不正販売件数は18万件を超えたが全貌はまだ判明していない。 会見で日本郵政の長門社長は、かんぽ生命株を一般投資家向けに売り出した本年4時点では「不正を認識していなかった」と強調した。 かんぽ生命の植平光彦社長とともに「重大な認識に至ったのは6月」だと述べた。 ところが、かんぽ生命幹部が昨年6月以降に問題の存在を把握していたことを西日本新聞が報じた。 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/532762/ かんぽ生命保険が株価に影響を与える重大な情報を隠ぺいして株式売り出しを行っていたとすれば損害賠償請求の対象となるだけでなく、刑事事件に発展する可能性も生じる。 金融機関には、資産を預ける顧客の利益を最大限にすることを目標にし、顧客の利益に反する行為を行なってはならないという「受託者責任」が課せられている。 英語では”Fiduciary Duty”( フィデューシャリー・デューティー)と表現される この根本原則がないがしろにされるなかで、過剰なノルマが設定され、顧客に不利益を与える営業が企業ぐるみで展開されたのだと推察されている。 「民でできることは民に」のキャッチフレーズの下で推進されてきた「民営化」がもたらしているものは何であるのか。 主権者は現実を直視する必要がある。 「民でできることは民に」は間違いで「民がやるべきことを民に」が正しい判断だ。 「改革」政策の目玉として郵政民営化が強行された。 民による経営によって効率が高まり、利用者に利益がもたらされると喧伝された。 しかし、現実はまるで違う。 民営化は「新しい利権」を創作するための手段に過ぎない。 郵政民営化に際して、法律に「かんぽの宿」売却が潜り込まされた。 潜り込ませたのは言うまでもない。 担当相の竹中平蔵氏だった。 その「かんぽの宿」が2009年に「出来レース」によってオリックスに一括払い下げされそうになった。 当時の西川善文日本郵政社長直下に「チーム西川」が編成され、不透明極まるプロセスでかんぽの宿107施設が破格値で払い下げられそうになった。 本ブログで徹底究明した重大事案である。 鳩山邦夫総務相が不透明な案件であることを察知して待ったをかけた。 その結果、不正払い下げは未遂に終わったが、この事案の中核に位置したのが西川氏と共に三井住友銀行から出向した専務執行役だった横山邦男氏だった。 横山氏の「実績」はこれだけではない。 日本郵便に900億円を超える損害を与えたJPEX事業失敗でも中核的役割を果たしている。 横山氏はこれらの不祥事後に銀行に戻されたが、第2次安倍内閣発足後に日本郵便社長に起用された。 驚くべき不正人事であったと言うほかない。 その横山氏が社長を務める日本郵便が今回の問題を引き起こした。 横山氏の更迭は避けようがない。 |
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