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論争回避よりも野党は自民党の9条「改憲」案と戦うべきだ ここがおかしい 小林節が斬る!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/259395
2019/07/31 日刊ゲンダイ 今回の参院選挙で改憲派議員が参院の3分の2を切ったことで護憲派は安心してはいけない。自民党が野党から4人「一本釣り」することなど、経験上、容易である。 だから、強行採決を常套手段とする安倍内閣が近い将来に改憲国民投票を提案してくると思っておいた方がいい。 その際に提案されてくるものは自民党改憲4項目の第1、9条についてであることも、これまでの議論から明白である。 それについて、自民党は既に「条文案」まで公表している。しかしそれは、「『自衛隊』と書き込むだけだ」と言いながら、それ以上に、これまでは9条の故に「必要・最小限」の自衛しか許されないとしてきた政府見解を否定して、今後は「必要」な自衛なら何でもできる条文に変えようとしている。 つまり、この案の本質は、現行9条の下では原則として禁止されている「海外派兵」が、今後は自由にできる……ということである。 にもかかわらず、安倍首相は、あらゆる機会を捉えて、「専守防衛(海外派兵の禁止)の原則は変わらない」「日本国憲法の平和主義は変えない」と断言している。 対外交渉の際に前面に軍事力を押し出す米国やロシアやかつての大日本帝国の姿勢を「軍国主義」と言う。対して、自国が侵略の対象にされた場合の自衛にしか軍事力を用いない姿勢を「平和主義」と言う。 この平和主義から軍国主義への大転換が提案されようとしているこの期に及んで、野党の中には「改憲論議には応じない」「改憲するなら解散権の制約を」などと的外れなことを言っている者も多い。 自民党が前述のように嘘を語りながら着々と進めている世論対策の前で野党が論争を回避してしまっては、自民党の嘘が無抵抗に国民の間に浸透してしまう。また、議席に照らして公論にかけられることのあり得ない争点を野党が今、掲げていて何の意味があるのだろうか? 場外乱闘に過ぎない。 野党は、今こそ、自民党の9条加憲案と真正面から向き合って、それが「軍国主義」の復活提案であることを明確に立証して、主権者国民にその事実を知らしめるべきである。事は急を要している。 小林節 慶応大名誉教授 1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)
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