http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/766.html
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この章は2012年1月に投稿した文[1]の中の2章を元に書き直し一つに纏め上げ、再投稿します。
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学生時代に良く話を聞きに行った研究室の教官がふと漏らした言葉が今でも忘れられない。それは: あなたが、或る夜に満月を眺めていたとしよう。その時にあなたの頭の中はまっさらな状態であった。程なく眺めていた月が少しずつ暗くなって来た事が判った。何か、月の格好が奇妙に変化して来たと感じる。不思議である。暫くの間、あなたは何が起っているのか判らない状態であった。よくよく月を見ると少し欠けているではないか。
そして非常に大きな電気的ショックが頭の中を横切る。
言葉抜きでその出来事を見たのである。ありのままの自然現象を目撃した訳。言葉のフィルターを通さずにこの様なこの世界の出来事、ものごとを見る事は今まで経験した事が無い。それが一番目のショック。二番目のショックは言葉を通してものごとを見るよりも、その神々しい現象に自分がより近づいている状態で「それ」が見える、もう一つ上のレベルの認識が存在する事実を覚醒した事。
言葉にするにはちょっと難があるが、あなたも「現象としての月が欠ける事」と「月食」と言う言葉を頭の中に入れてこの出来事を比べてどれだけ違いがあるのかを考えてみて下さい。
名詞としての言葉を用いこの出来事を見た場合には、皆既月食が何月何日にありますと頭の中にその情報が既に刷り込まれて、「それ」が始まる5分前になって外に出て月を眺め天体ショーを楽しむ事になるのである。一方予め頭の中に出来上がってしまったイメージで眼の前の現象を見てしまう場合と比べ、眼の前の出来事を、頭の中の回路を通さずに(既知でない)目で見る、目撃する場合。それは即ち神秘的なこの世界の出来事を知覚を通し目撃 vs. 月食と言う言葉でこの現象を見る事と言い表せる。ここで例を挙げよう。プロフェッショナルな世界では、眼の前のものごとと向き合う時にフィルターを通さない即ち極力言葉をそぎ落として現象に、出来事に迫って行くアプローチをとっているのです。つまりものごとの本質を突き詰めて行くにはこの様にしなければならないのです。例えるとしたら内科医が患者さんが抱える体の問題に対するアプローチに似ています。患者の体の症状を色々な手立てで観察しそれを元にその人が語る体の症状により体の中で何が正常で無くなっているか、機能し難くなっているのか等を判断する。そしてその症状を分類された病名にあてはめる訳。病名、病理判断の前にそれだけの手順を踏んでいる訳。患者の体に全く触れないで患者の言う事に耳を傾けて診断するアプローチを採るのが薮。(でも考えると「満月」って言うのは一つの「それ」なんですね。)この二者のものの捉え方のアプローチが社会的に産み出す結果は大きな差があるのだ。
まず頭の中のフィルターを取り除き、つまり頭の中の言葉と知識を通さずに眼の前の出来事を見てそれを認識すると言う事が最初のステップ。これは単にものごとの本質を頭の言語領域を使わず認識、見る、理解し頭の中に写真のフィルムの映像の様にすり込むと言えましょう。つまり言葉に表す前に知覚を用い「それ」を見る訳。そして次に初めて「それ」を言葉を使って自分の頭の中の知識の領域に固定する或は頭の中の他の情報と照らし合わせる、等の作業を行うと言う手順。眼から言葉知識先入観等の鱗を取払い眼の前の出来事にアプローチする事。それがものごとの本質的、そして客観的な見方。この立場は英語で言うと"perceive."既に用いたが日本語で"知覚"と言う言葉で表せよう。何故この様にするのか、しなければならないのか?理由は簡単である。言葉以前に物理現象、ものごとや社会現象の方が先立って存在する事。そして言葉を超えて存在する「それ」に畏怖の念を持って接しなければならないのである。
❶「知覚の不在」
この知覚を用いたものの捉え方は現象、ものごとがまず先立ち、その後言葉が追いかけて来ると言う手順。それが我々が生きているこの世界の出来事に対する認識の基本であり、かつサイエンスの世界での常識。一方実体を眺める時それを表す名詞、言葉がまず先立ち一人歩きし、現象やものごとの本質的な部分への理解が置いてきぼりにされてしまう習慣。言葉を振り廻すだけで判断停止。平たく言えば、その名前だけ知っていて中身を知らないと言う人間に満ちた社会。更に、悪く言えば知ったかぶり。これは日本社会を覆う最も巨大な弱点である。そして「知覚の不在」は日本が一流国から転落してしまった主原因なのである。これを補強するそのほかの3つの原因は後ほど述べる。これは上から下まで日本の殆どの人が陥っていている、ものごとに対する判断形式とその習慣。これが長年に渡り積み重ねられて来た。言葉の後ろに隠されているものごとを見ようとする習慣が無い。凄まじいばかりの知力の低下である。これでは日本が三流国に落ちるのは必然と思う。更に「その」中身を知らなければ自分の中の確固たる「それ」に対する意見は生じない。それ故に同調圧力で自分の考えがコロッと変ってしまう。
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さて上記の知覚を通してものごとを見ると言う習慣が無くなってしまった事からおこってしまった不幸な事をこれからお話しよう。大事な事を書いたつもりです。度々御免なさい、又3.11の話になります。少し辛抱して最後まで読んで頂けますでしょうか?題目としては「津波」と呼ばれるものごと。
米国にIEEEと呼ばれるエンジニアの組織がある。IEEEは会員エンジニアに論文集や、電気電子業界絡みの読み物を提供している。彼らの月刊誌の"IEEE SPECTRUM"と言うと薄手の読み物に今回の福島の原子力発電所でおこったメルトダウン事故に関して何人かのスタッフが記事を書いている。その中で、ピカ一の記事があった。2011年11月11日号の記事、"24 Hours at Fukushima"[2]である。この記事の中に一番最初に載っている写真がある。かわいい女の子がマスクを半掛けして、体に付着しているであろう放射性物質の測定をされている写真である。胸が痛む。
この"24 Hours at Fukushima"の著者Eliza Stricklandと言う方は福島の原子力発電所のメルトダウン事故に関する記事を"Spectrum"に6回投稿している。この記事[2]の一番最後の所に"Spectrum"から出されている福島の事故に関連した記事が載っているので参照して見て下さい。これらの記事に載っている写真はまだ日本で公開されていない物が含まれている様だ。彼女は「原子力」の本質を良く理解しているプロフェッショナルだ。この記事は日本の原子力村の常識が世界の水準に達していなかった事実を世界中のエンジニア達に曝け出した。以下この"24 Hours at Fukushima"で彼女から今回の原子力災害のレッスンが提案されている。以下その6つのレッスンは後だしジャンケンのきらいはあるが非常に説得力のある助言である:
Lesson 1: Emergency generators should be installed at high elevations or in watertight chambers.
Lesson 2: If a cooling system is intended to operate without power, make sure all of its parts can be manipulated without power.
Lessen 3: Keep power trucks on or very close to the power plant site.
Lesson 4: Install independent and secure battery systems to power crucial instruments during emergencies.
Lesson 5: Ensure that catalytic hydrogen recombiners (power-free devices that turn dangerous hydrogen gas back into steam) are positioned at the tops of reactor buildings where gas would most likely collect.
Lesson 6: Install power-free filters on vent lines to remove radioactive materials and allow for venting that won't harm nearby residents.
[日本語訳]
レッスン 1:非常用発電装置は高い場所に、或は防水された部屋に設置せよ
レッスン 2:冷却装置が電源無しで動作する様になっているのなら、全ての部品が電源無しで操れる事を確証すべし
レッスン 3:電源車両を発電所の極めて近い所に配置すべし
レッスン 4:緊急時に電力が必須な装置に、独立した堅牢なバッテリーのシステムを設置せよ
レッスン 5:触媒を用いた水素再結合機(非常に危険な水素ガスを水蒸気に戻す電源不要な装置)は水素ガスが最も収集し易い原子炉舘屋の最上部に設置されている事を確証すべし
レッスン 6:ベント用の配管に電源が不要な放射性物質の除去フィルターを設置し、周辺住民に害を与えずにベント出来る様にすべし
その中のレッスン3が守られていたのならと悔やまれる。何故か?以下TEPCOの資料[3]の17ページより引用させて頂く:「
・ 緊急時対策本部のTV会議システムを通じて,福島第一原子力発電所(以下,「発電所」)の電源が津波によって喪失したとの情報が入ったことから,本店原子力部門は本店配電部門に対して電源車の派遣を要請。11日16:10,本店配電部門から全店に対して,高圧電源車・低圧電源車の確保と発電所への
移動経路の確認が指示され,16:50頃,全店の電源車が福島に向け順次出発
した。
・ 11日16:30頃,本店対策本部から他電力へ電源車の救援を要請。18:15頃,東北電力の高圧電源車
3台が発電所に向かっていることを確認。」
一方ウォール ストリート ジャーナル日本語版ではその後どうなったかを記述している[4]:
「午後11時頃、最初の発電用トラックが到着した。東京の首相官邸では歓声が上がった。
だが、喜ぶのはまだ早かった。発電所の損傷したメインスイッチに、発電機をつなぐことができなかったのだ。ケーブルの一部が短すぎて、発電所の別の部分まで届かなかった。津波警報も発せられ、作業員は高台に避難しなければならなかった。最初の24時間のうちに接続できた発電機はわずか1台だったことを、東電の資料が示している。」
地震で電源が遮断された真っ暗な2つのコントロールルームの中全ての方々が東京電力福島第一原子力発電所吉田所長の指揮の下原子炉のメルトダウンを防ぐべくそれこそ命を投げ捨てて懸命な作業を行っていたのである。彼ら英雄達に心より感謝し又、吉田所長のご冥福をお祈りしたい。そして現在懸命に福一で作業されている方々に御礼を申し上げたい。
さて、これは手元に消化器が無い家が火事になって隣に消化器を借りに行っている間、あれよあれよと延焼してしまった例に例えられる。これは明らかな職務怠慢。非常用電源車を発電施設のすぐ傍に配置しなかった危機管理手法の不在。これが対策されていれば多分3号炉と4号炉は救えたのではないかと思える。明らかにTEPCOの怠慢による業務上過失の罪に問われよう。特にレッスン6の対策が成されていたならベントを周辺住民の避難が終わるまで待つ事無く行えた可能性があり核汚染の事態が少しは好転できたかもしれない。既に結審しもう直ぐ判決を迎える「東京電力の旧経営陣3人が福島第一原発の事故を防げなかったとして検察審査会の決議によって強制的に起訴された裁判」[5]の記事を見ると「津波の予見」の能力の問題に議論が集約されるだけでEliza Strickland女史が指摘している様な設計上の問題点を改善する事無く(例えば上記「レッスン 1:非常用発電装置は高い場所に、或は防水された部屋に設置せよ」にある防水施行を施す様な努力を怠った)且つ、非常用電源車の配置の様に基本中の基本がないがしろにされていた事実さえも裁判の論点とならない事。この記事は凄くしっかり書かれて居り、読む価値が有る。Web上での記事の「詳しくはこちら」を選択して全文読んでみる事を推奨する。国際的な視野からするとこの国の最高峰の機関、三権の一つの司法府で行われている検察側とTEPCOの弁護側の議論がカバーするスケールの小ささと、かって時価総額日本一を誇っていた素晴らしい会社の経営陣が運営上実行、実践していた事の内容の程度の低さ、を暴露してしまう記事である。この様な国の根幹としての電力企業の運営上の厳密な手順等に関わる非常に重要な裁判なのだが、この裁判で双方原告側と被告側が議論する内容だけ見ても、何と言う日本の知性の低下だろうか、と驚嘆せざるを得えないのである。この国では人々のLiteracy即ち文字が読めて判る識字率は非常に高いが、人々の知力は惨めな状態である。処で、個人的に思うのだがこの日本で6つの条件を全て満たす再稼働中の原子力発電所はあるのだろうか?
話はガラリと変る。以下のウェブを御存知の方は少しはいらっしゃるかと思います。米国にある"Cryptome"のウェブで2011.3.11から4年弱の間の継続した福一の現場の写真が閲覧出来る。[6]よく集めたものだと関心する。TEPCOのウェブからとって来たものが多いと思う。しかしその真実を知りたいと言う原動力は科学者が持つ様な真実に対しての飽く無き追及心からではと思う。その中で、3.11事故間もない時に日本の会社が撮影した上空からの事故現場の写真が2011年3月24日からその撮影会社[7]のウェブから閲覧できる様になっていた。しかしこれらオリジナルの写真はものの二、三日で削除されてしまった。何処からか圧力が掛かったのだろう。体の良い検閲である。その後Cryptomeが4月2日から同じ写真を同ウェブに掲載している。これらの写真[8]を見るとたとえ単独でも絶対に起こってはならない原子炉の溶融事故が3つの炉でほぼ同時に、又核燃料プールの爆発破損が1カ所、平行しておこっていた多重事故、と知覚で理解できるのだが。皆さん、CryptomeといいIEEEといい海外のメディアからの情報と比較して何故日本の社会の中ではものごとを客観的に見れないのかを自問された事が有りますか?
❷「真実の隠蔽」
さてこれから述べる❷❸と❹は知覚の不在を補うかの様に日本の社会で行われている習慣である。
おこってしまった核汚染の現状を直視しない事が何故出来るのか?おきてしまった事は既に其処にあるのである。それらを隠し通してどうするのか?そうする事で誰にメリットが生ずるのか?やれやれ、この世界のありのままの姿さえも無視する脳内完結しているオバカ達。真実を隠す事で問題解決が遠のいてしまうのが判らない、絶対に今回の核汚染事故の責任を取りたくない原子力マフィア。当事者で無いと言えばそれまでだが、何故IEEEやCryptomeの様な海外メディアがこの様な写真を持っていてそれらを開示しているのか。その一方で当事者の日本の行政府が何故進んでこれらの写真を開示しないのか?それは何故かと言うと、おこってしまった事を知覚を通して見れない上に、行政府はTEPCOの原子力発電時事業における業務の監督を行い、怠慢が無いかどうかを監視する義務があった訳だがそれを放棄していた事でTEPCOが世界を震撼させる核汚染事故を起こしてしまった訳。その責任を取りたくないのだ。
前半で述べたが「言葉の後ろに隠されているものごとを見ようとする習慣が無い」事を人々に継続させるのが為政者にとって重要なのだ。言葉でものごとをラベル化し、「知覚の不在」を実行し、言葉だけが一人歩きする様にその本質を隠す事がまず第一。更にその本質を物理的に隠す為に「真実の隠蔽」を行う訳。知覚を用いものごとと対峙する事と言葉を用いてものごとと対峙する事の関係においては主従関係が逆転しているのである。そして原子炉メルトダウンをおこしてしまったTEPCOや行政府の関係当事者は隠蔽された真実がそのまま表に出て来ないで闇の中へと消え去るまで時が過ぎるのを待っているのである。判るだろうか。この手の病が権力中枢に巣食っている。何やらサーカスのショーの様にあの手この手を使ってTV、新聞インターネットで本当は取りに足らない事を大々的に報道し本当に大事な事には目くらましさせるプロパガンダ。このやり方が顕著になりつつある昨今である。何やら既に起きてしまった核汚染と言う事が、「通常」の状態になってしまう恐ろしいまでの市民に対するマインドコントロールである。何処かの独裁国家よりもスマートに市民を洗脳している。
❸「ロジックの不在」
まだ続きます。日本の原子力マフィアよ、原子力村の村人よ。君たちここで何が足らないか判っていないのか??或るものごとを判断する際には厳密、厳格なロジックが必要なんだよ!!お前ら判断停止していたんじゃないか!!
あなたは凄まじいばかりの海水が押し寄せて来る出来事を直接目撃、或はTVやYoutubを通して見て来た筈だ。目の前の出来事を心を通して見ていたと思う。あなたは見た、目撃した「それ」を「津波」と十把一絡げにして表現出来ない事は判っている筈だ。
大事な事は世の中に氾濫する名詞、言葉の後ろに隠されているものごとを見れるか、見る習慣があるかどうか。津波と言う名詞から「それ」をイメージ出来る言葉に分解してより原初的な言葉に置き換える事をやってみたら良い。あなたの眼の前の出来事は"津波と言う現象"と言う言葉で言い表すよりも更に心に深く刻まれた"現象としての押し寄せて来る膨大な量の海水"を目撃体験したのだ。あの空恐ろしいまでの海水の量を直接観た人々は、言葉を用いて物事にアプローチするより目の前の出来事をそのまま、言葉と知識と言うフィルター抜きで受け入れているのがお判りいただけるだろうか?また"地震"をマグニチュード幾つの地震と思わず、"現象としての大地が揺れる事"と知覚で捉る様に試みて下さい。同じ解釈を採りますと、3.11以降の放射能汚染事故を"現象としての原子炉の爆発"の結果と言うもっと簡単な表現で知覚する事が出来る。これを押し寄せる濁流や大地が大揺れする事と重ね合わせて見て下さい。人間の小ささが判るでしょうし、原子炉即ち機械なんて押し寄せる濁流や大地が大揺れする事で壊れるものだと納得します。其処からが出発点。イマジネーションを働かせてああなったらこうなる等、論理的な道筋出しを行う事、即ちロジックを用いる事が必要なのである。自然界ではおこる事はおこるのである。全方位の要素を鑑み、その対策を行うのが当たり前じゃないか?おこらないと思っているのは人間側の都合である。だから「押し寄せて来る膨大な量の海水」に対する対策を行わなければと言うロジックは、必要が無いと都合の良い解釈に陥る。何故なら脳内完結している状態で原子力発電は安全だと思い込んで来ていたから。おこってしまいそうな事を「津波」と言う言葉で見てしまい「それ」を知覚で見ないから、ロジックを用い「それ」を思考の上対処する危機管理が出来ない訳。
でも皆さん何時もTVを見てたらロジックなんて自分の中に育つ訳ないよな。でもね、言葉の世界からこの世界を見ると平面、頭の中で完結しているのです。まずTVを消してみて下さい。言葉を用いずにこの世界を見ると何と奥が深いのだろうか...当たり前だ。頭の外に存在する(出来)事だから。この世の中に言葉だけで中身が余り無い人間がどれだけ造り出されてしまったのだろうか?脳の中でグルグルと廻っている輪を断ち切って外の世界に対して心を開いてみよ。
さてどの様に人々から知性を奪い取るのかの手法を考えよう。日本で蔓延する、TV番組の中で延々と行われている悪しき習慣に付いてである。専門家なる人物或は政治評論家なるコメンテータが何時も必ず登場する事。何時からコメンテータなる人間達がテレビ番組に出、自分の意見を述べる様になって来たのだろうか? そして何時から人々が彼らの話を御信託の如く鵜呑みにする様になってしまったのか。その他何時から人の知性を吹き消す様な短い不愉快なリズムの音がテレビで流される様になったのか? TVのコメンテータなんて「講釈師見て来た様な嘘を言う」のと同じで、知ったかぶりで現場にも足を運ばない、 現場の声も聞かない「ジャーナリスト見て来た様な記事を書く」のと同類の面々である。悪い事にTVのコメンテータの言葉をそれぞれ検証もせずロジックも無しに信じ込む人々。❶「知覚」と❸「ロジック」の適用を行わないから、日本は改憲マシンの中で上から下までオバカになってしまった。更に輪をかけ、情報を捏造し嘘を言い、真実を真実として扱おうとしないで検閲し隠す。瑣末な事に気を分散させ、大事な事を気付かせない。そんな風潮を造り出して来た、王様の様に振る舞っている極悪な面々が国政を取り仕切っている時代。更に悲しい事にその王様(を操る原理主義の司令塔)を慕って付き従っている平民ども。
この章の最後にあたり: 日本を凋落させた上記の原因に4番目の❹「イマジネーションの欠落」を付け加えておこう。人々の知性知力が地に落ちた結果更に国力を衰えさせてしまう悪循環の例を挙げる。
この2019年7月上旬「対韓輸出規制」を日本政府が発動。この問題を非常に良く解説している専門家の立場からの記事から参照させて頂く[9]: 「日本政府は2019年7月4日に、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3材料について、韓国への輸出規制を発動した。これまで韓国は、安全保障上信頼できる『ホワイト国』と認定されており、最大3年間分の輸出許可を一度に取ることができた。」
現政権を支持する人々はこの対韓政策に嬉々としているのに違いない。自分達の原理しか考えない政治屋の面々からすると参議院選向けのキャンペーンの1つであった。だが、専門家の立場からすると全く違った意見である: 「となると、Apple、HP、Dellなどの怒りの矛先は、DRAMメーカーのSamsungとSK hynixではなく、対韓禁輸規制を行った日本政府に向かうだろう。日本政府は、世界中の電子機器メーカーの猛烈な批判を受けることになる。」
更にこう結論付けている: 「最終的に、日本の材料メーカーも装置メーカーも、Samsung、SK Hynix、LG Electronicsとのビッグビジネスを失うことになる。単にビジネスを失うだけではない。材料や装置メーカーは、トップランナーについていくことによって、競争力を高め、ビジネスを拡大してきたのである。その貴重な機会が一挙に失われることになる。
このような事態になってから輸出規制を解除しても、もはや手遅れである。一度壊れた信頼関係は、二度と元には戻らない。要するに、日本政府は墓穴を掘ったのだ。その代償は、あまりにも大きい。」
❹「イマジネーションの欠落」の視点からすると、電子製品の供給網の中での半導体の戦略物質の禁輸の連鎖の輪の大きさを想像していなかった致命的なミスを犯してしまった。日本の衰退の原因は色々と取り沙汰されているが、客観的にものごとを見る知性とその社会的環境が無くなってしまった事に根本原因があるのである。
この世界経済へのインパクトの大きさから、政府与党がイデオロギーを基にした政策を実行している事が世界中に知れ渡り始めてしまった。更に、日本会議の原理主義が世界中の衆目を集めると言うオマケ付きだ。個人的にはこれは戦後最悪な外交的失敗に終わると思う。原理主義者達にとって自分達の夢の実現に足らないのは憲法改正と核兵器だけと思っているのだろう。ガムシャラに戦後の民主主義体制の転覆の実現の為にあらゆる事を実行して来ている。彼らは既に冷静さを失って、もう怖いもの知らずの暴走状態と言えるのではないか。内閣の面々は元々だが、プロ集団の外務省、経産省の知性知力も此処まで落ちたかと溜息だ。つまり人々の知性知力が落ちているので、今回の政策に対し殆ど経済人学者政治家含め誰も文句を言わない。何時もながら政権にとっては非常に楽な政策運営。この様な人々の知性の状態で、現政権下において改変され続けられて来ている国の制度。空恐ろしい事だ。
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参考文献等:
[1] "日本の市民の皆様へ-その2," 投稿者 プラナリア, 日時 2012 年 1 月 22 日, http://www.asyura2.com/12/genpatu20/msg/412.html
[2] "24 Hours at Fukushima," Eliza Strickland, IEEE Spectrum,
http://spectrum.ieee.org/energy/nuclear/24-hours-at-fukushima/0
[3] "福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における対応状況について(平成24年6月版)
資料一覧," TEPCO,
http://www.tepco.co.jp/decommission/information/accident_investigation/pdf/120620j0305.pdf
[4] "福島第1原発、事故直後の新事実が明らかに―WSJ分析," 2011年5月18日,ウォール ストリート ジャーナル, http://jp.wsj.com/layout/set/article/content/view/full/237921
[5] "詳報 東電刑事裁判「原発事故の真相は」," NHK NEWS WEBより,
https://www3.nhk.or.jp/news/special/toudensaiban/
[6] "Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant Series," Cryptome
https://cryptome.org/fukushima-dai-ichi-series.htm
[7] "(株)エアフォートサービス," ウェブページ,
https://airphotoservice.co.jp/
[8] "Fukushima Daiichi Nuclear Plant Hi-Res Photos," Cryptome,
http://cryptome.org/eyeball/daiichi-npp/daiichi-photos.htm
[9] "「対韓輸出規制」、電子機器メーカーの怒りの矛先は日本に向く?," 湯之上隆 (微細加工研究所),EE Times Japan,
https://eetimes.jp/ee/articles/1907/10/news027.html?fbclid=IwAR09HYhJ3GlZODBXvIUq4EQ48aCdE1fjS5nXy1hfbTNWGP4Xb7_3O9eJvNU
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