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参院選の結果が示す野党と労組の関係が激変している事実 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/258959
2019/07/25 日刊ゲンダイ どうでる?(国民民主の玉木代表)/(C)日刊ゲンダイ 参院選の開票結果の中であまり注目されていないのは、野党と労組の関係に激変が起きている事実である。 周知のように、1998年の第2次民主党結成で、旧社会党系やさきがけ系を中心とした第1次民主党と、小沢一郎の新進党から分かれた旧民社党系とが大合流して以来、連合労組は一貫して「民主党(後には民進党)支持」で政治との関係を形作ってきた。 とはいえ、それはまさに呉越同舟で、官公労中心の旧総評系労組は主に旧社会党系を、民間大企業中心の旧同盟系労組は旧民社党系をそれぞれ支援し、とくに参院選比例ではそれぞれに労組幹部出身のいわゆる「組織内候補」を抱えて全国キャンペーンを張り、お互いのメンツにかけて必勝を期してきた。 ところが2017年秋の衆院選を前に勃発した前原・小池騒動で民進党が立憲民主、国民民主、無所属に3分解してしまい、しかもその騒動に連合の神津里季生会長も一役買っていたことから混乱が始まり、結局、今回の参院選では旧総評系労組が立憲民主支持、旧同盟系労組が国民民主支持と、別の党で選挙を戦うことになった。 結果は、立憲側が比例票792万を得て8人を当選させたうち、自治労、日教組、JP労組、情報労連、私鉄総連の労組候補5人を上位当選させたのに対し、国民側は348万票しか集められず、ゼンセン(繊維・流通など)、日産=自動車総連、関西電力=電力総連の3人を当選させたものの、東芝=電機連合、金属機械労連などは落としてしまった。電力の代表も、常にトップ当選が当たり前だったのに今回は3番目で、危うかった。 電力と電機が比例の最上位を占めているために、民主党=民進党はなかなか思い切って「原発ゼロ」を主張しにくいという事情がずっとつきまとっていたのだが、これで立憲民主党はスッキリしてしまい、今回の公約でそれを前面に打ち出し、共産・社民両党などとも歩調を合わせられるようになった。 他方、苦しいのが国民民主党で、野党共闘の絡みもあるので「原子力エネルギーに依存しない社会」を基本政策に掲げざるを得ない。連合はそれをやめさせれば野党連合が壊れるし、まあ目をつむって同党の比例名簿で戦うしかない。結果、どうも力が入らず、電力は入ったが東芝は落ちてしまい、原発推進圧力はこの面からも著しく弱まることになった。 さて国民民主は野党らしくなるのか、大労組におもねるのか、再生の道がそこで分かれるだろう。 高野孟 ジャーナリスト 1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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