http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/594.html
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2019年 7月 24日
<熊王信之:ちきゅう座会員>
今回の選挙結果、皆様はどのような思いでマスメディアの報道をご覧になられたのでしょうか。 憲法改正に歯止めをかけた、或いは、自公政権が揺るがず、消費増税に待ったをかけられず貧富の格差が広がる一方だ、とか夫々の思いを抱かれておられることでしょう。
私自身は、日本の報道で腑に落ちずネットで色々と探した挙句、以下の外国報道機関のものに興味を抱きましたのでご紹介をいたします。 ロイターのものは、夫々の分野の方々に感想を聞かれた結果ですし、ニューズウィークのものは、事実を的確に報道されたのみですが、日本の報道とは違うように思えます。
改憲勢力3分の2割り込む、自公71議席:識者はこうみる 東京 22日 ロイター
https://jp.reuters.com/article/election-jpn-idJPKCN1UH02G
参院選、改憲勢力3分の2割り込む 自公71議席に留まり立憲・維新が伸長 Newsweek 2019年7月22日(月)08時41分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/07/3271_1.php
何が違うのか。 それは、投票率が下がっているのに、自民が負けたことです。 野党へ浮動票が行くには、投票率が上がらなければならない処、投票率が下がったにも関わらずに自民が減ったのです。
私自身が投票所へ行きました感想では、相変わらずにシルバー民主主義の実相が見られました。 二十代、三十代の若い層が投票所では見られず、介護者に連れられて来た老人が相当数居られたのでした。 我が家のご近所にお住まいの若いご夫婦等は、早朝から車で外出されていましたし、来る人、来る人、殆どが老齢の方々でした。
車椅子で来られた方々が入り口で担当者の方と何やら問答を繰り返されていまして、時間が経過するばかりで怒りを露わにされる方も居られました。 市役所の担当者が慣れない業務で手間取るからでした。 何に時間をかけて確認しているのか、と不思議でした。 業務の研修をすれば済むのですから、手際よく実務を出来るように研修をせよ、と言いたくなりました。
さて憲法改正に歯止めをかけた、との選挙結果とは本当でしょうか。 憲法の成文を改正する策動に一定の歯止めをかけた、と言うことは出来るでしょう。 しかし、憲法改正そのものに歯止めをかけた、とは言えない、と言うのが私自身の感想です。
言うなれば、憲法の条文そのものを改正するのは困難になったのは事実ですが、実態的な憲法を改正することには何の歯止めも掛けられないのが事実です。
例えば、実態的には、憲法第九条は、既に侵害されているのです。 即ち、自衛隊と言う名の軍隊が存在しているから成文の第九条は憲法違反の存在を抱えていることになるのです。
と言えば、自衛隊は軍隊ではない等と言われる方々がおられます。 名称に依って実態が相違することになるのであれば、物事は簡単ですが、駆逐艦や巡洋艦を「護衛艦」と言い改めても実態は変わりません。 戦車を「特車」と言い改めても同様です。 兵士を「自衛官」と言われても世界標準では「兵士」です。
明確に軍備を禁じた憲法の条文に違背するのが自衛隊であるのは明々白々なのです。
税財政の実態も此処数十年で様変わりしました。 憲法が予定していたのであろう税制が変貌し、富裕層と大企業への所得課税と法人課税が軽減され、富裕層と大企業の軽減された分を補うための消費税が導入され、日本版タックスヘイブンとも呼ばれる実態が現出しました。
最近では、保守を自認される藤井 聡氏(表現者クライテリオン編集長・京都大学教授)が、消費増税を「『「大本営発表』を鵜呑みにしていては、増税で日本は破壊されます。」とまで極言されています。
【藤井聡】「大本営発表」を鵜呑みにしていては、増税で日本は破壊されます。
『表現者criterion』メールマガジン 2019.07.09
https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20190709/
日本国憲法の原理に基づく税法体系を唱道された故北野弘久先生は、租税体系の在り様について以下のように述べられています。
「憲法理論的には、直接税は国民主権、人権尊重・応能負担、申告納税(国民負担の税法的表現)、地方自治、平和主義等の日本国憲法の諸原理の趣旨に適合している。 間接税は、これらの日本国憲法の諸原理にむしろ背反している。 それゆえに、直接税を中心に租税体系を構築するのが妥当である。」(北野弘久「税法学原論」)。
加えて、「憲法理論からいえば、いかなる型の大型間接税(一般消費税)をも正当化することはできない。」(同著)とも指摘されています。
このような実態的憲法の在り様を見るにつけ、憲法改正が出来ない選挙結果等と喜ぶのには程遠い、と思わざるを得ないのです。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion8838:190724〕
http://chikyuza.net/archives/95561
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