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れいわ奇跡の躍進 山本太郎「政権を狙いに行く」の現実味
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/258810
2019/07/23 日刊ゲンダイ もう無視はできない(「れいわ新選組」の山本太郎代表)/(C)日刊ゲンダイ 今回の参院選で最大の勝利者は間違いなく、「れいわ新選組」の山本太郎代表だ。 4月の結党から3カ月余りで臨んだ選挙戦。メディアは「諸派」扱いで、公示直後の情勢調査では「比例で議席獲得の可能性もある」とチョコッと触れる程度だった。その逆境をはね返したのは、政治に風穴をあける山本氏の破壊力だ。 街頭演説会は山本氏の熱弁目当てに聴衆が黒山の人だかり。その熱気はSNSを中心に拡散し、支援は日を追うごとに凄まじい勢いで拡大。結果、220万票を獲得し、2議席を獲得する大躍進に至った。 その上、比例で優先的に当選する「特定枠」を使って国会に送り出す2候補は、いずれも重度障害を持つ。舩後靖彦氏(61)は、全身の筋力が低下する難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う。人工呼吸器をつけた全身まひの国会議員の誕生は史上初。2人目の木村英子氏(54)も脳性まひの重度障害があり、介助者の付き添いが必要だ。 当然、国会は幅広いバリアフリー化が求められる。つまり、文字通り「日本の議会は変わる」。その成り行きは国内はもちろん、海外メディアも大々的に報じるに違いない。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は言う。 「2人の当選は『れいわ』の“弱者救済策”を象徴しています。一般的には『社会的弱者』に含まれる人々が国会に登院し、意見を述べられるようになれば、この国は“優しい社会”になれると思う。デフレ脱却策として消費税の廃止を掲げ、『税金はないところから取るな。あるところから取れ』との訴えは、欧米で台頭する左派ポピュリズムに合致しています。ポピュリズムと言うと聞こえは悪いですが、要は民衆の声をじかに政治に届けること。一握りの富裕層や大企業への優遇策をやめ、弱者保護を充実させ、“下から上”への批判で民主主義を回復させる運動です。れいわの躍進は、ようやく日本も世界的な政治の潮流に追いついた印象です」 市民の力で得た議席(C)日刊ゲンダイ
れいわは「政党要件」を確保したことで政党交付金を受け取れるだけでなく、今後はメディアもガン無視できない。山本代表は議席を失っても、維新の松井一郎代表のように非議員の党首としてテレビの討論会にも参加可能だ。メディアを賑わす文化人やアーティストも、れいわを支援しており、「1年以内」とされる次の総選挙までに、山本氏は最もメディアの注目を集める「選挙の顔」となっていても、おかしくはない。 募った寄付金も投開票日までに4億円を突破。これだけ短期間かつ実質1人で、巨額のカネを集められる政治家は与野党を見渡しても、山本氏以外に存在しない。票もカネも集まるとなれば他の政治家も色めき立つ。 既に宮城選挙区で当選した立憲の石垣のりこ氏は、17日の山本氏との共同演説会で党の方針に背き、「消費税はいらない」「2枚目(比例票)は山本太郎」と言ってのけた。山本氏自身も21日夜のフジテレビ系の選挙特番で、自信たっぷりにこう話した。 「組織票や団体に応援されなくても、(れいわが)市民の方々に議席を取らせていただけるというプラットフォームを証明できれば、野党からも与党からも人が流れてくると考えています」 前出の五野井郁夫氏はこう言った。 「選挙中も野党の各候補が山本代表との合同演説会を開くなど、既存野党の間でも、れいわの存在感は強まるばかり。このまま、勢いを増していけば次期総選挙の野党共闘は、山本代表が中心となり、上がり目なしの野党に属する現職議員が雪崩を打って、れいわに押し寄せても不思議ではありません」 過去には発足2カ月足らずの日本新党が1992年の参院選比例区で360万票を獲得し、4人当選。翌年の総選挙で一挙に35議席を得て、代表の細川護熙氏が非自民連立政権を樹立した例もある。 山本氏の「政権を狙いに行く」という強弁を聞いても、もはや「絶対にムリだ」とは誰も言い切れない。
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