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もうひとつの選挙戦 SNSの勢いは投票につながるか
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朝日新聞デジタル 2019年7月20日05時00分
笹川翔平、山下剛、編集委員・須藤龍也
もう一つの戦いが、そこにある。手のひらのスマートフォンのなかに。
なまはげ。秋田犬。秋田名物の映像に安倍晋三首相(自民党総裁)の演説の声がかぶさる。「秋田県にはあきたこまち。とってもおいしいお米がありますよね」
自民党は、参院選で首相が応援に入る選挙区ごとに政権の実績をPRする動画を作成している。「攻めの農政を続けてきた結果、農林水産物の輸出、6年連続過去最高を持続してきました」
こうした動画を首相は自身のツイッターやインスタグラムなどSNSで配信。それに候補者が「応援に勇気づけられました」とコメントをつけてリツイートすれば、首相もまた「最後まで全力で頑張って」と返す。
政党の幹部や候補者と有権者とがSNSで直接つながることができる時代なのだ。
選挙カーが候補者の名前を連呼し、候補者が街頭でマイクを握る。事務所から投票を呼びかける電話をかける――。こうした従来型の選挙手法に加えて、各党はネット選挙、とりわけSNSに力を入れる。
政党が発するメッセージに、SNSの利用者が応えるかたちをつくるのに「成功」したのが、立憲民主党だ。
2017年の衆院選直前、枝野幸男代表がツイッターで「#枝野立て」と励まされたのが結党の原点でもある。今回の参院選でも、「#令和デモクラシー」「#この夏わたしは変えたい」などハッシュタグ(#)をつけて、SNSでの拡散を意識したテーマで街頭演説をしている。
「昭和の時代の遺物から令和の新しい政治へ変えていく。あなたの力が必要です!」枝野氏が放つ決めぜりふに反応した支援者の動画が、またスマホを通じて拡散していく。
他党も、若者に人気の15秒間の動画投稿ができるSNS「TikTok(ティックトック)」にアカウントをつくったり、動画を配信したりと多様なSNSサービスの特性を生かし切ろうと必死だ。
国会の現有議席は少なくとも、SNSの世界で圧倒的な存在感を発揮しているのが、政治団体「れいわ新選組」だ。
12日と19日に候補者がそろった街頭演説「れいわ祭」を開催し、「#れいわ祭」は一時トレンドワード入りした。山本太郎代表(参院議員)は街頭演説で聴衆に呼びかける。「好きな角度から写真を撮って、勝手にSNSにアップしていただければ。ご自由にご拡散などをしていただければ」
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近づいてきた党首をスマートフォンで撮影する男性=JR名古屋駅前(画像の一部を加工しています)
ネット選挙によって、有権者は全国どこにいても候補者の訴えを動画で視聴することができる。組織のない団体でも、ツイッターやフェイスブック、ユーチューブ、ウェブサイトとネットをフル活用し、支持の浸透を図ることが可能になった。
では、こうしたSNSでの活動はどのように拡散し、どこまで届いているのか。
興味深いデータがある。SNSによる選挙戦の「勢い」分析だ。
参院選公示日の4日から17日までにツイートされた、各政党に言及した内容(計906万件)を集計すると、最多が自民の277万件(30%)、次いでれいわが159万件(17%)となった。共産党が144万件(15%)、立憲106万件(11%)と続いた。
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ツイッターに見る各政党の勢い
朝日新聞社が電話で有権者に聞いた序盤情勢調査では自民、公明の与党が改選議席(124)の半数を大きく上回る勢いで、れいわは立憲、共産からも水をあけられているという集計結果だったにもかかわらず、だ。
電話調査でつかむ「地上戦」と、SNSの「空中戦」でみられるこの違い。
秘密はどこにあるのだろうか。膨大なツイッターの中身を分析すると、
カギが見えてきた。「拡散力」と「インフルエンサー」の存在だ。
朝日新聞は全世界のツイッターを収集し、分析する英ブランドウォッチ社のソーシャルメディア分析システムを使い、各政党に関するツイートを調べてみた。
実は、ツイッターなどSNSは、投稿された件数を数えるだけでは勢いを推し量れない側面がある。ポイントは「拡散力」と「投稿者」だ。1件のツイートがリツイートされ、それをまたリツイートをされ……を繰り返し、最終的にどのくらいのアカウントまで広がったのかを把握することで、本当の影響力を見ることができる。
まずは、SNS上で圧倒的な存在感を発揮しているれいわ。157万件のツイートで最も拡散したのは、れいわの公式アカウントが7月10日に投稿した「あなたがいなきゃ、この国は始まらない」。
これは5947件(18日現在)のリツイートを起点に、最終的には474万アカウントにまで届いたと推計される。公式アカウントは17日までに計293件のツイートをし、のべ1億7356万アカウントに届いたとみられる。ツイート数も届いた推計アカウント数も、分析対象となったアカウントの中で圧倒している。
こうした拡散力を持った投稿ができるアカウントを、SNSの世界で「インフルエンサー」と呼ぶ。れいわに関するツイートで、インフルエンサーの上位10アカウントをみると、思わぬ名前を見つけた。動画サイト「ユーチューブ」の公式アカウントだった。
インフルエンサースコアとは、リツイートやメンションによって拡散した
そのアカウントのツイート件数が、抽出したツイート全体に占める割合を
点数化したもの
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004416_commL.jpg 自民
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004789_commL.jpg れいわ
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004793_commL.jpg 共産
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004858_commL.jpg 立民
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190720000100_commL.jpg 維新
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004856_commL.jpg 公明
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004869_commL.jpg N国
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004870_commL.jpg 社民
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004871_commL.jpg 国民
ユーチューブは再生数がうなぎ登りの注目動画があると、公式アカウントが自動的に紹介する仕組みを採っており、これに街頭演説の動画が複数含まれていた。
ユーチューブの公式アカウントで紹介されたのは、分析によればれいわともう一つ、政治団体「NHKから国民を守る党」だけで、主要政党を上回る勢いを見せた。両団体はいずれもネットを使った選挙運動に力を入れており、その結果が反映されたと言えそうだ。
さらにインフルエンサーの上位10アカウントを見ていくと、他党に関するツイートと大きく異なる傾向があった。れいわに批判的なスタンスを持った投稿者が見当たらないのだ。
対照的だったのは、最多の277万ツイートだった自民。インフルエンサーの上位10アカウントは自民に批判的な人たちで占められ、トップは前川喜平・元文部科学事務次官だった。「アベ自民党を支持する若者たちへ」とした7月8日の投稿は、1万2千強のリツイートを起点に、824万アカウントに届いたと推計された。
その中で唯一、自民を支持するツイートは、安倍首相の公式アカウントのみ。「我々自民党は最後まで、誠実に訴えていきたいと思います」とした公示日4日のツイートがトップ10に入った。首相アカウントは145万超のフォロワーを抱え、党首のなかで最も多い。
自民と似た傾向は、144万ツイートの共産党にも言えた。トップは志位和夫委員長、日本共産党の公式アカウントと並ぶが、その後は自民を支持する立場のネットメディアや、経済評論家の上念司氏ら、共産を批判する投稿者が目立った。
トップインフルエンサーが個人アカウントだったのが、106万ツイートの立憲だ。このアカウントは普段から、共産や立憲を激しく批判するツイートで知られる。今回の投稿は特定候補に対するネガティブキャンペーンといえるもので、2万2千以上のリツイートを起点に、1271万アカウントに届いたと推計される。今回分析した全ツイートの中で2番目に拡散した投稿だった。
ネット選挙では有権者による落選運動が認められている一方で、名前を偽って発信をしたり、候補者に対する悪質な誹謗(ひぼう)中傷をしたりすることは禁じられており、問題視される可能性もありそうだ。
今回最も拡散したツイートは、N国に関する投稿をしたトップインフルエンサーの個人アカウントだった。政見放送でかぶり物をしたり、派手なパフォーマンスをしたりした候補者の写真を集めたもので、4万4千以上のリツイートを起点に、1816万アカウントに届いたと推計された。
問題は、こうしたSNSでの活動が、実際の票につながるのか。各党ともこうした懸念を抱いているからか、若者に投票にいくよう呼びかける投稿もまた盛んだ。
れいわの山本氏は公明党の支持母体・創価学会の活動を念頭に街頭でこう呼びかけた。「携帯電話のアドレス帳に入っている友人、親戚、いろんな方に電話をしてください。何とか学会がやっているような横に広げていくということを私たちがやらなきゃ」
現状では、SNSの空中戦だけでは、フォロワーを実際に投票所に足を運ばせられるかどうかは計れない。だから陣営は、握手や人脈といった地上戦との「ハイブリッド」で選挙戦を戦っている。
ただ、10年、20年と時間が経ち、生活の中にネットが当たり前のように浸透する層が社会の中心をなした時、選挙の状況は一変するかもしれない。
https://digital.asahi.com/articles/ASM7L7F3NM7LUTIL05K.html?rm=1367
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