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たとえ自分の議席を失ってもすでに山本太郎は勝っている
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/258634
2019/07/20 日刊ゲンダイ 選挙後はガン無視できない(C)日刊ゲンダイ 今回の参院選は「山本太郎の勝ち」である。それは候補者としての勝ちではない。れいわ新選組の“プロデューサー”としての「勝ち」だ。これは山本が落選しても揺るがない。以下、理由を並べる。 まずは党名。山本は4月に「れいわ」の結成を発表したが、総務省への届け出は4月1日。菅官房長官が新元号「令和」を発表した当日だ。日本では、既存の政治団体と同じ名前の団体は登録できない。誰よりも早く届け出ることで、新元号にあやかろうとする他の勢力の動きを封じ込めた。 続いては、有権者を巻き込む戦略だ。山本は結党会見で「候補者を何人擁立するかは、皆さまの寄付額で決めます」と全国に寄付を呼びかけた。 ファンを巻き込む手法はAKB総選挙に似ている。支持者は「推しメンを育てるために寄付しよう」と考える。山本は誰もが当事者として参加でき、結果を楽しみにする仕組みを作っている。 その結果、寄付額は公示前までに2億5000万円を突破。街頭演説の会場でも寄付者の列ができた。高額寄付は少ないが、少額寄付で波紋を広げ、3億円以上を集めている。こうした寄付者は選挙で大きな力になる。単なる支持者とは本気度も活動量も違う。その熱が、さらに渦を広げている。 生きづらい日本の象徴である「当事者」を擁立したことも大きい。ほぼ無名の新人ばかりを立てる発想は、従来の永田町にはなかった。有権者はますます「政治は自分たちのもの」という当事者意識を刺激された。 比例で優先的に当選する「特定枠」の1、2位に重度障害者を据えたことも重要だ。たとえ山本が落選しても、れいわが1議席以上獲得すれば、重度障害者が国会議員になる。これは歴史的な出来事になるだろう。 そして最大の鍵は「政党要件」だ。公職選挙法では「国会議員5人以上」「直近の国政選挙の選挙区か比例区で2%以上の得票」のいずれかを満たせば、政党として認められる。政党交付金も受け取れる。 今回の選挙で、れいわは政党要件を獲得するはずだ。そうなれば、今後はテレビも無視できない。山本自身は議席を持たなくても「1年以内」とされる総選挙を見越し、政党代表の立場でメディアを通じて発言できるようになる。 つまり、今回の選挙で山本が損をする要素はない。山本太郎は、すでに勝っている。 (フリーランスライター・畠山理仁)
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