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この国のメディアは「政権」に擦り寄る"太鼓持ち"?
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2019/07/28/post-2345.html
サンデー毎日 2019年7月28日号 繁華街で有権者に支持を訴える候補者=大阪市内で2019年7月10日、加古信志撮影(画像の一部を加工しています) 牧太郎の青い空白い雲/727 若干、盛り上がりに欠ける「安倍1強」下の参院選。でも、個人的には、山本太郎が代表の小さな小さな「れいわ新選組」に興味を持っている。「消費増税凍結」ではなくて「消費税廃止」、それに「最低賃金1500円」「奨学金徳政令」「1次産業戸別所得補償」......。 「5月末までに1億円!」とカネ集めの「目標額」を公表した。「カネ集めは善!」なのだ。 「カネの流れ」に関して言えば 自民党は「国家志向―拡張財政志向」。公共事業で、金持ちの大企業にカネを回す。一方、野党(旧民主党系)は「個人志向―均衡財政志向」。福祉の拡充を訴え、貧乏人の味方に見えるが、自民党に「貧乏人へのばら撒(ま)き」と批判されると「均衡財政」を言い出し、中途半端になる。 「れいわ新選組」は違う。「個人志向―拡張財政志向」。個人に富を分配する。堂々と「ばら撒く」というのだ。そのために選挙で勝つ! そのために市民(貧乏人でも)はカネを出せ! それに賛同して「何かを変えたい!」と思い、「なけなしのカネ」をはたいた若者も多い。 山本太郎さんは、前回66万票を取って当選した東京選挙区からは出馬せず、沖縄創価学会壮年部の野原ヨシマサさんが代わりに立候補。比例区は新しい「比例特定枠」の制度を使って、難病の筋萎縮性側索硬化症患者で全身まひのギタリスト、ふなごやすひこさんが1位、脳性まひで重度障がいのある、全国公的介護保障要求者組合書記長を務める木村英子さんが2位にそれぞれ名を連ねる。山本太郎さんが議員で居続けるためには、2人を上げたうえで 自分も票を獲得しなければならない。果たして、思い通りにいくのだろうか? × × × この「れいわ新選組」をメディアはどう扱っているのか? 朝日新聞はこの小さな集団を「政党」として、公示の紙面で「社民党」と同じような扱いをした。でも、それは少数。比較的リベラルな東京新聞でも「諸派」扱いで、ほとんど政党として扱っていない。 新聞、テレビはどうしても「大政党寄り」になってしまう。まあ、選挙報道で少数派が不利になるのは致し方ないが......それにしても、昨今の新聞、テレビは「安倍政権」の味方になっている。 たしか、政権復帰直後、安倍首相は官邸記者クラブとの間で「単独インタビューは受けない」という紳士協定を結んだように記憶する。それが、いつの間にか、この「伝統」を破って、特定の新聞、テレビを選んで、立て続けに「単独」を強行した。「好きな時」に「好きなメディア」を選んで、一方的に情報を発信するのだ。 例えば、参院選を控えた6月22日、読売テレビの「ウェークアップ!ぷらす」に出演。「今度の参議院選挙においては審議すらしない政党を選ぶのか、審議をする政党を選ぶのか、それを決めていただきたい」と話した。 ごもっとも!と言いたいが、当方から見れば、審議から逃げまわっているのは安倍さんじゃないのか? それでも、視聴者に「審議しない」野党の印象がインプットされる。メディアは単独インタビューで、結果的に安倍さんを応援しているのだ。 そればかりか、自民党は「公正な報道」という名目で、メディアの「政権批判」を排除しようとしている。 この国のメディアは結果的に「政権の太鼓持ち」になっているのではあるまいか? × × × メディアは「安倍政権」に文句が言えない状態なのか? そんなことはない!と信じたい。 でも、第2次安倍政権の発足以降「世界報道自由度ランキング」(国境なき記者団)で、日本は2018年、19年の2年連続で67位。G7各国の中で最下位となっている。 世界から見ると「日本のメディアは政権の言いなり」に映るのだろう。 参院選が盛り上がらないのは、メディアが「政権批判」を放棄しているからではあるまいか? 新聞が売れないのも「御用新聞」に成り下がっているからではあるまいか? ネットの登場で、新聞は売れなくなったのは事実だが、ニューヨーク・タイムズの健闘を見てもらいたい。トランプ政権を徹底的に批判し、18年末時点で、電子版と紙媒体を合わせた購読者数の合計は約430万人。過去最高である。 参院選もあと僅か。新聞、テレビに「報道の自由」を取り戻してもらいたい。 あえて「れいわ新選組」の話を書いたのは「少数派にも平等なメディア」でありたいからだ。 まき・たろう 1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある
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