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庶民の暮らし完全破壊する安倍消費税増税
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2019年7月17日 植草一秀の『知られざる真実』
参院選に向けて安倍自公内閣は消費税増税の方針を掲げている。 消費税の税率が10月から10%に引き上げられる。 一部品目の税率は8%に据え置かれる。 税率は10%の新税率と8%の据え置き税率の2本立てになる。 8%は軽減税率ではなく据え置き税率である。 増税の規模は、たばこ増税等の影響を含めて平年度ベースで5.2兆円だ。 10年単位で考えると増税規模は52兆円。 政府は増税対策として2兆円を計上したから、これを差し引くと増税規模は今後10年で50兆円である。 巨大増税だ。 安倍内閣は2014年度に消費税率を5%から8%に引き上げた。 税率引き上げは合計で5%ポイントになる。 増税規模は10年ベースで表示すると136兆円である。 とてつもない巨大増税が実施されている。 最大の打撃を受けるのは所得の少ない国民だ。 可処分所得が200万円の国民は消費性向が100%に近い。 所得のすべてを消費に回す。 高額所得者の場合、消費性向は著しく低い。 可処分所得の1割程度しか消費に回さないことも多い。 可処分所得が200万円の国民が200万円消費ずると18万円程度が消費税でむしり取られてしまう。 1ヵ月分の給料以上が税金でむしり取られる。 可処分所得が10億円の国民が1億円消費する際の消費税負担額の所得に対する比率は0.9%にとどまる。 消費税税度は極めて不公平な税制なのだ。 所得税の場合、生存権を守るために、一定金額を所得から差し引いて、残余の所得に対して課税する。 夫婦子二人で片働きの場合、年収350万円程度までは所得税が徴収されない。 350万円までの収入は無税だ。 収入がこの水準を超えると所得税納税の義務が生じるが、その税率は低い。 所得が増えるに従って税率が上昇する。 課税所得が195万円までの税率は5% 所得がこれを超えた分については高い税率が適用される。 4000万円を超える部分については税率45%が適用される。 国民の税負担については「能力に応じた課税」の考え方がベースに置かれている。 自由な経済活動によって世の中には格差が発生する。 その結果として、生存さえ危うくなるケースが生じる。 現代国家は、すべての国民の「生きる権利」を基本的人権として保障している。 そのために政府が存在すると言っても過言ではない。 力の余っている人に多めの負担をしてもらい、社会としてすべての社会の構成員の生存権を保障する。 これが財政の所得再分配機能である。 この基本を破壊するのが消費税である。 年収が200万円の個人から年間17万円もの税金をむしり取るのは憲法が保障する生存権の規定に反する違憲行為である。 必要経費を差し引いた課税所得がマイナスの国民から17万円もの税金をむしり取る施策を強行しているのが安倍自公政権である。 欧州の福祉国家で消費税率(付加価値税率)が高いと喧伝されるが、日本とはまったく違う。 二つの決定的な違いがある。 第一は、生活必需品が非課税とされていること。 消費税率が高くても、所得の少ない人が普通の暮らしをする以上は消費税負担が発生しない。 第二は、社会保障の水準が極めて高いこと。 国家がすべての国民に保障する最低水準が高く設定されている。 所得の少ない国民も健康で文化的な生活を営むことができるように社会保障制度が設計されている。 所得が多くない主権者は選挙に行って消費税増税にNOの意思を明示するべきだ。 このまま消費税増税が強行されれば、多くの国民の生活が破壊されることは明白だ。 |
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