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長周新聞 2019年7月15日
https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/492db4257f78c382d2220984afd12646-768x511.jpg 12日、JR品川駅港南口でのれいわ新選組の街頭演説会
後半戦に突入した参院選(21日投開票)は、既存政党が存在感を欠くなかで、山本太郎が立ち上げた「れいわ新選組」が各地で旋風を巻き起こしている。1週間の全国行脚をへて12日に開いた東京・品川駅港南口における全候補者による街頭演説会では、駅前は人で埋め尽くされ、駅に繋がる階段やデッキの上にも聴衆が連なった。大手メディアの黙殺にもかかわらず、同団体の街頭宣伝はやるたびに黒山の人だかりをつくっており、政治変革を求める有権者の切実感と響き合いながら支援の輪を広げている。選挙の枠をこえた大きな地殻変動が起きていることを実感させている。
集会の冒頭、山本太郎代表(全国比例)が挨拶に立ち、「驚くことに私たちの事務所に自民党の大臣経験者からも“頑張ってくれ”と励ましの電話があった。自民党において現在のトップに異を唱えたら次の公認をもらえない、自分の政治生命が終わってしまうという危機感のなかで苦しんでいる自民党議員もいる。そのなかで国会の中に必要なものは、空気を読まない集団だ。空気が読めるが読まない。与野党の間での交渉で、政治はこんなもんだろう…という永田町の論理で妥協することを一切許さない。みなさんのための政治をする政治勢力を永田町に増やしたい! 力を貸してください!」と呼びかけ、以下のように政策を訴えた。
https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/69fe0ccb00e5e0ec556286df46d8735a-768x498.jpg 挨拶に立つ山本太郎代表
20年以上続くデフレで日本経済は完全に衰退した。20年以上、消費が失われ、投資が失われた。20年間の需要が失われた結果、20年以上デフレが続いた。そんな国が世界のどこにあるのか? 日本以外にあったら教えてくれと、参院本会議の代表質問で安倍総理に聞いた。総理は答えた。“ございません”と。当たり前だ。20年以上にわたってモノが安くなり、モノをつくる人人の給料もどんどん減っていく。消費が弱れば所得も減っていく。これが20年続いた。あなたの生活と人生が削られてきた20年をどうやってとり戻すのか。消費税は廃止しかない。
収入が少ない人ほど消費税の負担率は上がる。収入のほとんどが消費に消える。金持ちの道楽で買うフェラーリ、ダイヤモンドから、庶民が生きるために買うおにぎり、紙おむつまで同じ税率なんて不公平と呼ばずに何と呼ぶのか。消費税は社会保障のために必要だと2014年4月に消費税を3%増税するときに国はいった。増税分は全額、社会保障の充実と安定化に使うと約束した。
2017年度、消費税3%増税で得られた収入は約8兆円。このうち社会保障の充実に使われたのはたった16%。その一方で、社会保障費用はこの7年の間に4兆円削っている。いっていることとやっていることがまったく逆だ。
消費税が導入されることによって下がった税が二つある。所得税そして法人税だ。所得税は最高税率を引き下げ、法人税は1990年代に50%近かったものが現在20%台に突入した。金持ちがより金持ちになるために、大企業がよりもうけるために、その尻ぬぐいをみなさんにお願いする、という話なのだ。こんなものは筋が通らない。
消費税をやめることによって失われる国の財源は約20兆円だ。これを新規国債の発行と、所得税の最高税率を上げ、税率の低い金融資産からの所得の分離をやめて同じ所得として総合課税にして同じように累進制を導入する。
現在、法人税は中小企業も大企業も同じ税率だが、大企業だけはさらに大割引サービスされる租税特別措置が80以上も存在している。この特別扱いをやめて、法人税にも累進制を導入し、もうかっている大企業には高い税率を課し、もうかっていないところは負担を減らす。これによって中小零細企業を守る。この二つの税制改革で29兆円が賄える。消費税をやめても9兆円のおつりが出る。
残りの9兆円は、国のサラ金事業である奨学金を借りている555万人分の借金をチャラにするために使う。大学生の2人に1人が借りていて、その6〜7割が有利子。これで金融機関が年間350億円ほどもうける一方で若い世代を苦しめている。少子化が問題というのなら奨学金に苦しむ555万人から救うべきだと考える。
20年で奪われたものを本気でとり戻す。現在の政党にはおそらく無理だ。デフレのなかで財政規律、財政再建、その言葉が出た途端に国から財政は削られ、増税が必要になる。20年以上のデフレで衰退国家になりつつある日本で財政規律を引き締めれば、デフレ不況はもっとひどくなり、人人の命が奪われる。今やるべきは人人の生活の底上げだ。
それを実現するのが、私たち、れいわ新選組だ。
https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/393dfec835a85037eda28ef62506cf5b.jpg 駅に繋がる階段やデッキの上にも聴衆が連なった
■新人候補が相次ぎ演説 カンパは3億円突破
続いて、9人の新人候補があいついで演説した。
派遣労働者の渡辺てる子氏は「東京都内を街宣カーで回ると、日本がいかに階級格差の激しい社会かということがよくわかる。だが貧乏は決して恥ずかしいことではない。貧乏だからこそ見えてくるものがある。日本の政策のヘビーユーザーだからだ。1%の富裕層と99%の貧困層に分かれている社会なら、私たち99%が動けば世の中は絶対に変わる。力を合わせよう!」とのべた。
元セブンイレブンオーナーの三井義文氏は、「昨日はコンビニの総本山セブン本社前で8時間しゃべりつづけた。強い者が弱い者をいじめる。これは単純にコンビニだけの問題ではなく、国が国民をいじめているのが今の社会だ。消費税のような逆進性などありえない。自民党が勝てば安倍晋三は選挙後、“国民の信任が得られた”といって消費税を上げるだろう。だれもそのために自民党に入れていないのに。民主主義とは民衆主人公の社会ではないのか」とのべた。
また、「昨日、同じコンビニ仲間の訃報を聞いた。東日本橋1丁目のセブンイレブンのオーナーだった。今年3月に本人がやめるという署名もしていないのに本社に店舗を奪われたのだ。真面目に約10年近く本部のいう通りにやってきたが、本部の優等生になると絶対にもうからないのがコンビニの仕組みだ。彼は多額の負債を抱えて店を追い出され、心臓を患って救急車で運ばれた。それでも店を奪ったのは、本店が店をつくりすぎてこの店が邪魔になったからだ。彼は借金を返すには保険金しかないと思い詰め、単身で寒い3月の北海道に行ったが、心配した家族の訴えで旭川で保護された。セブン本部は店の清算金すら払っていない。私も緊急保護者だったが、昨日、奥さんから死亡の連絡があった。もういい加減に強い者が人間を部品のように扱うのはやめるべきだ」と怒りを込めて訴えた。
環境保護NGO職員の辻村ちひろ氏は、「選挙戦で全国のいろんな自然保護運動の現場に行った。静岡県伊東市で山林を削ってつくるメガソーラーの建設現場にも行った。長野県大鹿村のリニア中央新幹線のトンネル工事現場では、きれいな水田が残土置き場になっていた。長崎では川棚町の石木ダム。ダムのために家を追い出して墓まで追い出す。生活も歴史も文化も断ち切ってしまう。諫早湾では国が潮受け堤防で湾を断ちきり、開門をめぐって堤防で魚やノリがとれなくなった漁業者と水害に悩む農業者が対立させられている。国は第一次産業を守るといっているが、この事業で誰が喜んだのだろうか。収奪や誰かの犠牲のうえにある繁栄はもういらない。他人の暮らしを奪う権利は誰にもない。地球一個分の暮らしをすべきときだ。そのために第一次産業である林業、農業を地産地消の仕組みのなかで生き返らせる。開発するときは、きちんとした合意形成を義務化する。審議会や協議会でも国が人を選ぶのではなく、公募型の円卓会議にする。苦しんでいる人たちの思いを背負って頑張る」と宣言した。
元東京電力職員の蓮池透氏は「選挙になると急に福島県や新潟県にあらわれる政権与党。そこでいう言葉は当事者の思いとはまったく違う。復興という言葉は、実際に復興させてからいうべきだ。震災直後に出た原子力緊急事態宣言はまだ解除されていないにもかかわらず避難指定を解除し、生活支援も打ち切り、正確な避難者の数もわからない。これこそが究極の統計不正だ」とのべた。
元JPモルガン銀行ディーラーの大西つねき氏は「お金の裏付けになっているのは、みなさん一人一人であり、みなさんが作り出す価値だ。その活動を阻害する消費税など廃止が当たり前だ。ずっと当たり前と思わされてきた虚構の世界から脱して、今真実を明らかにするときだ。政治家や官僚、専門家たちが必死に隠してきた不都合な真実を大声で伝えて、みんなが声を上げることによって新しい時代を切り開こう。新時代の訪れをワクワクしながら迎え、その希望を日本中のみなさんに伝えていけば、真実は必ず広がっていく。国会議員でもない一般の政治団体が国政政党になることが起きれば、それはもう革命だ。みなさんの力で未来を築こう!」と力強く呼びかけた。
さらに、東京大学教授の安冨歩氏、重度障害者の木村英子氏、難病ALS患者の舩後靖彦氏、東京選挙区から出馬する沖縄創価学会壮年部の野原善正氏がそれぞれの当事者としての切実な思いを込めて政治を変革していく決意を表明した。時間とともに聴衆は膨れあがり、声援が飛び交うなど候補者と一体化した熱気に包まれた。
最後に山本太郎代表は、「このような新しい勢力が出てこなければ、国が壊れていく速度は加速度を増し、ブレーキもきかなくなる。市民の力でつくった初めての政党を誕生させたい。年間2万人がみずから命を絶っていく社会。自分の力を過小評価してはいけない。あなたがいなければこの社会はなにも変えられない。その力に気づいてもらいたい。政治は一人一人に投資をするべきであり、増税が必要だというなら、ないところからとるな! まずはあるところからとれ! だ。このまま食い物にされて終わるわけにはいかない」と呼びかけた。
また、「この選挙で10人全員勝ったとしても政権はとれない。1回の選挙でどうにかなる話ではないのが現実だ。だが、10人が国会の中でしっかりと人人のための政治がやれることが認められれば、次の選挙は大躍進する。1年以内に衆議院選。その先の3年後にはまた参議院選だ。このスパンで本気で政権をとりに行く。鍵を握るのは私たちじゃなくみなさんだ。一部の者だけがもうかる制度を続ける政治家を食わせるための選挙にさせぬため、みなさんの力を貸してほしい!」と熱を込めて訴えた。
れいわ新選組への全国からのカンパはこの日、目標の3億円をこえた。有権者から遊離して停滞しきった国政への不信感が充満するなかで、一切の権威に媚びることなく風穴を開けることを訴えるれいわ新選組の動向に全国的な関心が集まっている。
https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/c5e090843aa03da38c068b2c38f51f37.jpg 寄付を寄せる聴衆
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12233
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