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米朝の歴史的瞬間にカヤの外 安倍外交の“惨めな孤立”<下>
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/257330
2019/07/01 日刊ゲンダイ 文字起こし 粛清説が浮上した北朝鮮の金英哲氏は健在(右はポンペオ米国務長官、2019年1月)/(C)ロイター=共同
韓国メディアに「粛清された」と報じられた幹部が、ひょっこり公の場に姿を見せるなど、なかなか外部から実態が見えない北朝鮮。アメリカの経済制裁によって人民は飢餓に苦しんでいるという報道も流れているが、実際はどうなのか。 北朝鮮の食糧事情が悪化している――。国連世界食糧計画と国連食糧農業機関は、今年3〜4月にかけて現地調査を行い、「過去10年で最悪の食糧事情」と発表している。人口の4割にあたる1000万人が食糧不足に見舞われているという内容だ。 ただ、平壌市内の百貨店にはモノが並び、市民が利用する食堂も普通に営業している、という現地情報もある。 さらに、国際貿易センターによると、今年1〜3月、北朝鮮が中国から輸入した「食糧」は、「たばこ」や「フルーツ」より少なかったという。しかも、小麦の輸入は40%も減っているのに、たばこやフルーツなど嗜好品の輸入は年々増えている。もし、飢餓に苦しんでいるなら、食糧の輸入を最優先するはずである。 「平壌はショールームなので、北朝鮮経済をそのまま映しているとは言えないでしょう。地方の生活は苦しいと思います。ただ、1990年代の後半、相当数の餓死者を出し、北朝鮮が自ら“苦難の行軍”と呼んだ時のような悲惨な状況ではないようです。恐らく、金正恩が訪中するたびに中国が5万トン、10万トンと食糧を支援しているのでしょう。韓国も5万トンの食糧支援を決めています。そもそも、北朝鮮は戦時に備えて2年間分の食糧を備蓄しているともいわれています」(太刀川正樹氏=前出) ウォールストリート・ジャーナル紙は、「北朝鮮は制裁緩和を引き出すため、住民の苦痛が浮き彫りになるのを望んでいるということもあり得る」と、元米国務省職員のコメントを紹介している。 「しばらく経済制裁には耐えられる」が、金正恩の本音かもしれない。 “日米蜜月”とは貿易交渉で大きく譲歩することか(日米首脳会談)(C)JMPA/稲葉訓也
大統領再選のために、外交で成果を上げようと戦略を練っているトランプ。この先、日本にも次々に要求を突きつけてくるのは間違いない。 トランプが頻繁に口にしはじめているのが「日米安保」問題だ。 「日米安保条約は不平等だ。この6カ月間、安倍首相にもそれを伝えてきた。彼には、現状を変える必要があるとも言った」 わざわざ、29日の記者会見でそう発言したトランプは、来日前、ツイッターでも「なぜ我々が他国のために無報酬で航路を守っているのか。自国の船舶を自国で守るべきだ」と、日本のタンカーは日本が守れと訴えている。 やはり、安保問題で要求を突きつけてくるのか。国際ジャーナリストの春名幹男氏が言う。 「在日米軍の駐留経費をもっと負担しろ、日本のタンカーを米軍に守らせるならカネを出せ、といった要求を口にしてくる可能性はあると思います。日米蜜月をセールスポイントにしている安倍首相にとって、日米同盟の一体化を疑わせるような要求は一番困ることだと分かっているでしょう。でも、日米安保問題はあくまでディールの手段であって、目的は貿易だと思います。トランプ大統領が考えていることは、とにかく大統領に再選されることです。そのためには支持者が喜ぶ成果を上げる必要がある。日米安保問題は、支持者に対して強いアピールにならない。それよりも、やはり自動車と農業でしょう。どちらもトランプ大統領の支持基盤です。恐らく、秋以降、日本への要求が強まるはずです」 もともと、安倍は、参院選が終わったら「日米貿易交渉」で大きく譲歩すると裏約束をかわしている。「日米安保」まで持ち出されたら、どこまで国益を売り渡すのかわかったものではない。 =おわり
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