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月衣塑子の質問(3)復活した質問妨害 (朝日新聞社 論座)
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/510.html
投稿者 肝話窮題 日時 2019 年 6 月 29 日 08:22:44: PfxDcIHABfKGo isyYYouHkeg
 

望月衣塑子の質問(3)復活した質問妨害
官邸の執拗な質問妨害に、新聞社や官邸記者たちはどう対応しているのか

臺宏士 フリーランス・ライター
論座 2019年06月28日


■復活した「質問妨害」

 菅義偉官房長官の記者会見で、望月衣塑子・東京新聞記者に対する質問妨害が5月下旬に再び起きた。

 2018年秋から始まっていた質問途中に司会の官邸職員が質問を遮る行為は、今年3月中旬、いったんはやんだかに見えたが、2カ月余ぶりの復活だった。東京新聞が官邸に改善を求める申し入れを行った後の6月に入り、妨害は再びなくなった。

 いったい、何が起きたのだろうか。

 5月21日午前の記者会見。望月記者は、朝日新聞、テレビ朝日の各記者に続く最後となる3人目の質問者だった。

 「東京、望月です。拉致問題についてお聞きします。2002年の小泉訪朝時は直前まで完全秘匿して水面下での交渉をしたうえで、電撃訪朝での首脳会談をし……」

 質問の前提となる事実関係を共有するための説明を始めてから25秒ほど経過したときだった。司会進行役の上村秀紀・官邸報道室長が突然、「質問に移って下さい」と遮るように声を上げた。

 上村室長は、2018年12月28日に記者会見を主催する内閣記者会に対して、望月記者が事実誤認の質問をしているとして「問題意識の共有」を求める文書を出した人物だ。

 望月記者が直後に口にした質問は、上村室長の妨害に押されて質問に切り替えたかのような形になった。

 「なぜ、水面下交渉という手段を今回は取らないのかお聞かせ下さい」

 それから3日後の5月24日午後、28日午前の質問でもそれぞれ29秒、28秒がたつと上村室長は「質問に移って下さい」と遮ったのだった。

 そして、5月28日午後の記者会見。望月記者は前週から続く質問妨害について菅長官にぶつけた。「菅長官が『世の中の人もそろそろ質問妨害していたことを忘れているだろうからやってみろ』と上村室長に言ったかどうかはわかりません。しかし、3回も続いたのでこれは許せないと思った」と明かしたのだ。


   望月衣塑子記者 東京、望月です。会見での上村室長による
   質問妨害についてお聞きします。先週からですね、上村室長
   による質問妨害が再び、再開(ママ)されました。先週と今
   日の午前で調べますと、25秒から30秒ほどの間に「質問
   に移って下さい」が3回ありました。あの30秒を越えて
   いる長い質問はほかの記者にもあるんですが、そちらには
   妨害はありません。これ、狙い撃ちのようにも見えるんで
   すが、見解をお聞かせ下さい。

   菅義偉官房長官 全くそんなことありません。
   (上村秀紀・官邸報道室長「このあと日程ありますので次
   最後でお願いします」)

   望月記者 はい。(私の)受け止めとしては妨害に思えま
   す。この妨害行為についてはですね、新聞労連やMIC、
   知識者や弁護士団体などもこれまで抗議の意を示しまし
   て、官邸前のデモでは現役の記者から面前DVだとの批
   判も出ておりました。室長の上司は菅長官ですけれども
   質問者の精神的圧力になるようなこの行為を再開された
   理由というのは何なんでしょうか。

   菅長官 あのー、この会見は記者会との間で行われてお
   りますから、記者会との間でしっかり対応してますし、
   そういうことはありえません。

 この日(5月28日)、望月記者は自分の短文投稿サイト・ツイッターに「『そんなことはありません』と、まさかのクラブ(内閣記者会・筆者注)への責任転嫁。記者会が妨害再開を容認するわけもなし。不当な妨害はやめるべきだ」と投稿。関連した投稿は4件に上った。

 怒りの大きさが分かる。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019062700009_2.JPG
柏崎智子・東京新聞記者は「官邸のやり方を見ていて記者の分断もありますが、感じるのは面前DV」と訴えていた=東京・永田町の首相官邸前で、2019年3月14日、筆者撮影

■官邸記者たちは面前DVの被害者か、共犯者か

 望月記者が質問の中で触れた「面前DVだ」と官邸前デモ(2019年3月14日)で指摘したのは、同じ東京新聞社会部の同僚である柏崎智子記者だ。

 「今回の官邸のやり方を見ていて直感的に感じるのは、面前DV。望月さんのことをいじめているようであって実はその場に居合わせた多くの記者に同じようなトラウマを抱えさせること。本質は支配だと思うんです。その場の記者を支配する。支配されているのかどうかは、その場ではなかなか感じにくく、『なんとなく空気が重いなー』みたいな感じになっていってだんだんと自由が奪われていくところがあり、面前DVみたいなやり方は、認めてはいけないと思ってます」

 菅長官は5月28日午後の記者会見で「そういうことはありえません」と述べている。

 「そう」とは、上村室長による望月記者を狙い撃ちにした妨害行為を指すと思われるが、直前に「記者会との間でしっかり対応」という言葉を重ねると、上村室長による妨害行為は、内閣記者会との間で了解済みで行われた可能性があると受け止めるのは自然だ。

 面前DVというのであれば、その場に居合わせた他の記者たちは望月記者と同様に官邸の被害者という立ち場になるが、もし予め了解していたとなれば、これは被害者どころか共犯者ということになる。

 望月記者は、翌5月29日午後の会見で再び、質問妨害問題についての見解をただそうとした。ところが、菅長官は質問途中で割り込み、「大変申し訳ないけども、ここはそうしたことを質問するとこじゃなくて、記者会主催でもありますから記者会に申し入れて下さい」とはねつけた。

 望月記者は「確認したいんですが、特定の記者の質問を25秒以上たったら遮るということを記者会が容認したということを言いたいんですか」と続けようとすると、菅長官は「いや、記者会で問題点があったら記者会の方に問題点を指摘下さい。ここは大事な記者会見の場でありますので」。全くかみ合わない質疑に、重ねて質問しようと手を上げる望月記者に、ついには「その発言だったら指しません」と拒絶したのだった。

 この時点では望月記者は「日朝首脳会談についてお伺い致しますね」といったんは引き下がったのであった。

 実は、望月記者は質問するにあたって予め内閣記者会側にも聞いていた。「望月記者への質問妨害を再び始める」という打診が官邸から内閣記者会にあったのか――。これに対しては明確に否定していたという。

<さすがにそれはありません。望月さんにだけ妨害するという要望が官邸から来ても記者会としては容認できません。絶対認められませんから>

 問題があるのは、官邸職員の上村室長の行為であるのは明らかだと思うのだが、どういうわけか菅長官には通用しないのである。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019062700009_1.JPG
「(1月24日の質問では)1分半の質疑で7回も遮られました。菅さんが上村室長の妨害行為によって私の質問を聞き取れていないようでした」。望月衣塑子記者は、上村秀紀官邸報道室長の質問妨害の実態についてそう語っていた=東京都豊島区で、2019年6月15日、筆者撮影

■権力者が記者会見で質問者を指名するメリット

 ところで、菅長官が述べたように官房長官の記者会見は、報道各社の政治部記者で主につくる内閣記者会が主催し、記者から手が上がっている間、官房長官は指名し続けるという慣行で運営されてきた。終了時に幹事社の記者が、他に質問がないかを会見場全体を見回し、各社に確認するという手続きをへたうえで、終えることになっている。

 これは、他の省庁や知事の記者会見と異なり、会見者が気に入らない記者の質問を受け付けないという事態にならないことが大きな特徴だった。

 少し話はずれるが、会見者が質問する記者を指名する方法が、いかに会見者にメリットがあるのかを会見者側の失敗例から考えてみたいと思う。

 それは、いまから2年以上ほど前に遡る。2017年10月の衆院選(10日公示・22投開票)を控え、自民党を大きく揺さぶった、小池百合子東京都知事がこの年の9月、代表に就任した「希望の党」に絡む質問だった。

 2016年7月に自民党を飛び出して都知事選に立候補して当選。都知事に就任して以降、小池知事は、17年2月の千代田区長選、同7月の都議選と連戦連勝の破竹の勢いだった。テレビではワイドショーまで取り上げるほど、希望の党は安倍一強政治に楔を打つ野党として支持を広げていた。

 ところが、この勢いが急速に失速するきっかけとなったのが9月29日の記者会見で口にしてしまったいわゆる「排除発言」だったのは記憶に新しい。

 前原誠司・民進党代表は「希望の党に公認申請すれば排除されない」と所属議員に説明し、同党は希望の党への合流を決めたが、その一方で小池知事は「安保、改憲を考慮して一致しない人は公認しない」などと述べていて、小池知事の真意について注目が集まっていた。

 この点についての見解をただしたのが、フリーランスのジャーナリスト、横田一氏だった。

 都知事の定例記者会見は、週1回金曜日に開かれるが、小池知事は横田氏の質問内容が気に入らなかったらしく、挙手しても指名されることはあまりなかったことを、横田氏は著書「検証・小池都政」(緑風出版、2017年7月)の中で明かしている。同書の面白さは、小池知事の会見で質問の指名を受け続ける「”好意的記者”ランキング」(16年8月〜17年2月24日)の一覧表を実名で掲載していることだ。

 「批判的な記者の質問を受け付けない一方、友好的なメディアを優遇するトランプ大統領と瓜二つなのが、総理大臣待望論が出始めた人気抜群の小池百合子・東京都知事だ」

 こう書き出す記事に添えた一覧のトップに掲げられたのは『日本テレビ』の久野村記者で14回。次いで『THE PAGE』の具志堅記者の12回。そして、『ニコニコ動画』の七尾記者が10回と上位10人の実名と回数を記した。一方、横田氏がこのランキングの期間に質問されたのは2回だった。

 小池知事が同書の記述を意識していたかどうかはわからないが、横田氏は2017年9月29日に実に半年ぶりに指名されたのだった。

 「前原代表が昨日ですね、所属議員向けに、希望の党に公認申請をすれば排除されないという説明をしたんですが、一方で、知事、代表は、安保、改憲を考慮して、一致しない人は公認しないと。言ってることが違うと思うんですが、前原代表を騙したんでしょうか。それとも共謀して、そういうことを言ったんでしょうか。お二人の言ってることが違うんですが」

 小池知事は2017年9月25日に希望の党の代表に就任していた。このため、小池氏の会見は、知事としての会見と、党代表としての会見を分けた2部制になっていて、横田氏の知事会見での質問に対して、党代表会見で答えたのが、次の内容だった。

 「前原代表がどういう発言をしたのか、承知をいたしていませんが、『排除されない』ということはございませんで、排除いたします。取捨(選択)というか、絞らせていただきます。それは、安全保障、そして憲法観といった根幹の部分で一致していることが政党としての、政党を構成する構成員としての必要最低限のことではないかと思っておりますので、それまでの考えであったり、そういったことも踏まえながら判断をしたいと思います」

 この排除発言の反響は凄まじく大きく、発足したばかりの小池新党にとっていわば命取りとなった。東京新聞が衆院選を検証した記事にその後のエピソードを掲載している。

 2017年10月25日朝刊一面に掲載された連載「誤算の行方・上」は、小池知事の「排除発言」があった翌9月30日に大阪市で開かれた記者会見で、小池知事が司会者に「あてないで」と差し出したメモには横田氏の名前があったという。小池氏は食事がのどを通らないほど悔やんだらしい。この記事では「フリー記者」と匿名だったが、明らかに横田一氏のことだ。

 この例を見れば、会見者が自分の都合で質問者を指名したいと考えるのは当然だろう。本来は、それだけで情報操作でもあるのだ。

 話を菅長官の記者会見に戻す。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019062700009_3.JPG
新聞労連が開いた第62回新研中央集会のテーマは「官邸会見の役割から考える〜ジャーナリズム、本音と建前〜」。望月衣塑子記者に対する質問妨害についても取り上げられた。上村秀紀・官邸報道室長が内閣記者会に「問題意識の共有」を求めた申し入れ文書がいまも記者会の掲示板に貼られているという報告があった(右端)=東京都文京区で、2019年6月22日、筆者撮影

■質問制限を巡る攻防

 「その発言だったら指しません」――。

 これは予想外の言葉だったのかもしれない。望月記者は苦笑すると、「いいですよ。はい」と受け入れた上で、「じゃ、ほかのことを聞きます。日朝首脳会談についてお聞きしますね。えーと……」と二問目の質問に移ったのだった。

 菅長官は2月26日の記者会見では望月記者を指名し、「この会見は一体何のための場だと思っているのか」と問われたのに対して「あなたに答える必要はない」と述べていたが、今回はそもそも質問する機会を与えないという信じがたい態度を示したのである。

 だから、菅長官が「その発言だったら指しません」と拒否することは、取材規制につながるルール違反の異例の発言だったのは当然だ。これまで望月記者については憎々しげな記事を書いてきた産経は「『質問妨害』への見解拒否 菅長官、東京新聞記者に」と客観的な記事を出している(5月29日配信)。

 東京新聞は、長谷川栄一内閣広報官に対し、上村室長の妨害行為を「本紙記者を狙い打ちにした質問制限」、菅長官の指しませんという発言を「恣意的に質問者を選別するなら会見が形骸化しかねない」と指摘し、改善するよう5月31日に文書で申し入れた、と報じた(6月1日朝刊)。ただ、3面の最下段の右隅で、ベタ記事という非常に目立たない扱いだった。

 東京新聞は望月記者の質問に絡んでこれまで9件の申し入れを官邸から受けていた。それらに対しての回答や、質問妨害への中止要請も行ってきたが、これまで記事にはしてこなかった。

 2018年12月28日に官邸が東京新聞や内閣記者会に抗議や問題意識の共有を求める申し入れを行っていたことが2月1日に月刊誌『選択』に報じられ、日本新聞労働組合連合(新聞労連)が抗議声明を発表(2月5日)。国会でも取り上げられるなど社会問題化したことを受けて、2月20日朝刊の特集記事「検証と見解/官邸側の本紙記者質問制限と申し入れ」で初めて詳細を読者に報告した。

 東京新聞が今回の申し入れを紙面で取り上げたのは、第三者で構成する同紙の「新聞報道のあり方委員会」で、「報道の最前線で何が起きているかということもニュースであり、読者の関心は高い」(魚住昭氏)=4月6日朝刊=と指摘を受けるなど、官邸と東京新聞とのやりとりが水面下で行われてきたことなどへの批判に応えたものだと思われる。

 望月記者によると、「質問に移って下さい」「質問は簡潔にお願いします」――そう言って、上村室長が質問を遮る妨害行為は、翁長雄志・前沖縄県知事の死去に伴って2018年9月に行われた県知事選を機に沖縄問題に重点を置き始めたころから強まったという。

 「当時の上村秀紀報道室長による妨害はとにかく酷かった。質問がかき消されて聞き取れない」

 5月30日のツイッターにそう書き込んだ妨害は、なかなか止まなかった。東京新聞は2019年1月22日に「短い質問の途中に4回せかす言葉を挟まれた。催促は最小限にしてほしい」、2月13日にも「質問途中で何度も催促の言葉を挟むのは質問への妨害」と2回も文書で改善を求めたが改まらなかった。

 例えば、2月7日午後、国会審議への出席のため菅長官に代わって西村康稔官房副長官が記者会見した。2月5日に新聞労連が「官邸の意に沿わない記者を排除するような今回の申し入れは、明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭めるもので、決して容認することはできません。厳重に抗議します」と官邸が内閣記者会に望月記者の質問を「事実誤認」と決めつけて「問題意識の共有」を求める申し入れを批判する声明を出し、質問制限問題がにわかに注目を集めていた直後だった。

 ところが驚くことに、望月記者が妨害行為についての質問をしているさなかに上村室長は割って入っている。「質問は簡潔にお願いします」(16秒)、「質問に移って下さい」(26秒)、「質問して下さい」(35秒)と44秒の質問時間全体のなかで3回も妨害を行っているのだ。

 この質問に対する西村副長官の回答も「今回の件につきましてはですね、上村室長からは、質問権を制約したり、知る権利を制限したり、その意図は全くないというふうに報告を受けております。まあ、いずれにしても建設的なやりとりができればというふうに思っています」というもので、自分が質問されているときに目の前で起こっていることさえ無視するような非建設的なやりとりが首相官邸で行われているというのだから、あきれるほかない。

 新聞労連や民放労連が加盟する日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が呼びかけた官邸前での抗議デモ(3月14日)の前日にようやく、やんだのだが……。

 望月記者に続き、質問妨害の再開を官房長官記者会見で質問したのは、朝日新聞記者だった。東京新聞が文書を広報官に申し入れた週明けの6月3日午後の記者会見だった。

 「長官会見をめぐりですね、東京新聞が6月1日付の紙面で長谷川広報官に申し入れをしたということを報じてるんですが、事実関係と受け止めがあればお伺いしたいと思います」

 菅長官の発言は、5月29日に望月記者の質問に対しての内容をほぼなぞられえたものだった。付け加わったのも「官房長官会見というのは記者の皆さんからの質問に対して、政府の見解、立ち場をお答えする場であるということをかねてから申し上げております」という、これも従来の見解を繰り返した内容だった。

 上村室長による妨害の再開が、舌鋒鋭い質問を参院選前に続けられることを危惧した官僚の忖度なのかどうかは分からない。そして、望月記者が指摘したような「25秒ルール」の導入を記者会が了解はしていなくても、菅長官に近い番記者の間では承知済みだったのかどうかも不明だ。ただ、この朝日記者の質問を機に妨害はなくなっている。

■「質問妨害はやめない」宣言

 6月3日(月)から7日(金)まで菅官房長官の記者会見は午前と午後を合わせて10回あった。

 このうち、望月記者が質問したのは、3日午前(安倍晋三首相が官邸で省庁幹部と面談した内容を首相官邸が記録し、文書を作成していなかったことに関連した質問)▽4日午前(元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者が長男を刺殺した事件についての質問)▽5日午後(国連特別報告者のデビッド・ケイ氏が、日本では現在もメディアの独立性に懸念が残るとする新たな報告書をまとめたことについての質問)−−の3回だ。

 望月記者はいずれも2問、質問しているので質問の回数は合計で6回ということになる。

 質問時間をチェックしてみたところ、3日の1問目が25秒、2問目が24秒。4日は2問とも29秒。5日は1問目が28秒で、2問目が18秒だった。あくまで筆者の計測によるものだが、質問自体は数秒ほどなので、もし仮に25秒以内に質問に移らないときは上村室長が質問を妨害するというルールを何らかの理由で決めたのだとしたら、上村室長は少なくとも6回の質問のうち3回は「質問に移ってください」と妨害していないと、5月下旬に連発した行為とのつじつまが合わない。東京新聞が指摘したように結局は恣意的な介入なのだ。

 2019年2月15日に政府は山本太郎参院議員の質問主意書に対して答弁書を閣議決定している。そこには「今後とも、定例会見において長官の日程管理の観点からやむを得ない場合には、司会者が、これまでと同様に協力呼び掛け等を通じて、定例会見の円滑な進行に協力を求めることはあると考えている」とある。言葉は柔らかいが、要は質問妨害はやめませんよ、という宣言であるわけだ。

 菅長官は「記者会で問題点があったら記者会の方に問題点を指摘下さい」と言っている。東京新聞はこれに対して何か行動を起こしたのだろうか。また、官邸から同紙に対しての回答はあったのだろうか。

 東京新聞編集局に対して次の3点について質問してみた。

  1.申し入れに対して、長谷川広報官、官邸側からは何らかの対応
   ――文書での回答等はありましたか。もしあったとすれば、謝罪
   の有無や、回答の内容についてお教え下さい。
  2.上村室長がこうした質問制限を再開した理由を東京新聞では何
   だとお考えでしょうか。
  3.菅長官は望月記者の質問に対して、「(官房長官記者会見は)記
   者会主催でもありますから記者会に申し入れて下さい」とも発言
   しております。御社では内閣記者会に対して、申し入れはしたの
   でしょうか。行っていればその内容、行っていなければその理由
   をお教え下さい。

 これに対して、東京新聞編集局から次のような文書回答が6月28日付であった。

  1.長谷川広報官から文書で回答がありました。官房長官の業務日程
   に支障が生じないよう「やむを得ず」「呼び掛け(協力依頼)を行
   うことがある」等、これまでと同様に理解を求める内容でした。
  2.理由は分かりません。なお、5月末の申し入れ以降、本日まで質
   問制限はありません。
  3.官邸側に申し入れた後、質問制限がされなくなったため、内閣記
   者会への申し入れはしていません。

 東京新聞の回答によれば、長谷川広報官は、同紙に謝罪するどころか、2月15日の閣議決定に続き、今後も質問妨害があり得ることを再表明したようなものである。

 しかも、見てきたように5月下旬に上村室長が3回にわたって妨害した理由を、妨害をやめたことも含めて「やむを得ず」と考えるにはもはや無理があり、官邸には理屈など通用しそうにない――と、批判は無駄だと一瞬でもあきらめようと思わせるところに、長谷川氏の広報官としての腕があるのかもしれない。

 一方、「記者会で問題点があったら記者会の方に問題点を指摘下さい」と言った菅長官と内閣記者会との力関係は微妙だ。

 月刊誌『選択』2019年6月号などによると、菅長官は『週刊文春』2019年4月11日号に掲載された「安倍政権vs.平成皇室」というタイトルの記事に番記者とした懇談内容の詳細が掲載されたことに激怒したらしい。令和の元号発表をめぐる裏話が録音を元にしたかのように記事にされていたからだ。

 菅長官からいわば、連帯責任のように「今後、夜回り取材は受けない」と通告を受けた番記者たちが慌てた結果、思いついたのが、紙袋の中にICレコーダーや携帯電話を入れて録音しないことを態度で示すというものだったらしい。『選択』が付けた見出しは「菅長官に屈服する『番記者』 取材の際の『ある儀式』が定着」。

 録音機の回収は、いまはされなくなったという情報もあるが、いずれにしろ望月記者に対する質問妨害をめぐって内閣記者会が一致して菅長官に物を申すという流れにはなりそうになく、菅長官の開き直ったような発言は、それを見透かしているのは間違いない。

 新聞労連新聞研究部が2019年5月、内閣記者会の幹事業務を担当する19社の記者を対象にアンケートを行った。33人が回答した(このうち望月記者が官房長官会見に参加した17年6月以降に所属していた経験があるのは19人、現在も所属しているのは14人)。そこに寄せられた声に次のようなものがあった。

 「長官の夜回りでは最近、携帯電話やICレコーダーを事前に回収袋に入れて、忠誠を誓っている。さまざまなメディア側からの萎縮・自粛が進むなかで、官邸会見の問題も起きていると感じている。非常に息苦しい」 (「望月衣塑子の質問(4)」につづく)

https://webronza.asahi.com/national/articles/2019062700009.html  

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コメント
1. 2019年6月29日 20:22:59 : D0QUl32qUN : OWczZmhIbUhDL3c=[835] 報告
嫌がらせ ほとぼり冷めて また酷く
2. 2019年6月29日 22:51:32 : niyy4hTwUA : OHU1UGRCUHhtN0k=[371] 報告
表題、望がない。
月が欠けたってこと?
藤原道長を思い出す。(逆ってことですが)

言論を封じ込めようとするってことは、質問されると痛いところを突いてくるからで、回答拒否は逆に悪いイメージがつきまとうのです。
隠すのと嘘を吐くのは同じこと。

3. 2019年6月29日 23:05:56 : LY52bYZiZQ : aXZHNXJYTVV4YVE=[1652] 報告
『新聞記者』モデルはリアル政治 河村光庸さん 寺脇研さん 池田香代子の世界を変える100人の働き人 23人目+α
.
デモクラシータイムス.
2019/06/29 に公開
https://www.youtube.com/watch?v=IGF5cbObC44

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