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小泉・安倍の“親子”が政権政党の質を大きく低下させた 令和でも止まらない 日本の劣化
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/255752
2019/06/09 日刊ゲンダイ 小泉純一郎が安倍晋三を育てあげた(C)共同通信社 安倍政権の「生みの親」は小泉純一郎元総理である。内閣官房副長官、自民党幹事長、内閣官房長官と、次々に要職へ起用し、総理候補に育てあげたからこそ、今の安倍総理がある。その安倍政権下でも日本の劣化は止まらない。1人当たりGDPを見れば、それは明らかだ。日本は2000(平成12)年に3万8534ドルで、ルクセンブルクに次いで世界第2位だった。それが2010(平成22)年には18位に、直近の2018(平成30)年にはなんと26位まで後退している。世界各国が経済成長する中、日本だけが取り残されたのはなぜか。 平成の約30年間、5年半も政権の座にあったのが小泉だ。世論調査などでは、いまだに歴代政権の人気投票で上位につけ、時には1位にランキングされるが、ではこの政権はいったい、何を残したのか。確かに小泉は「天才的花火師」だった。小気味のいいワンフレーズで世間を沸かせ、次々と仕掛け花火を打ち上げては聴衆(国民)を喜ばせた。だが、一方で小泉政権の実績は何か、と振り返ってみるとどうだろう。 「聖域なき構造改革」と言いながら、それらしきものはどこにもない。一方で非正規労働者を大量に生み出し、今や彼らの多くは「アンダークラス」と呼ばれる貧困状態に追い込まれている。金融機関は二束三文でハゲタカファンドをはじめとする外資に売り払われた。日本のパソコン事業がほぼ壊滅したことが象徴するように、製造業の衰退は目を覆うばかり。 あえて実績と言えるものを探せば、北朝鮮による国家的犯罪である拉致日本人の一部を救出したくらいだろう。「いや、郵政民営化を成し遂げた」と言う人がいるかもしれないが、それによっていったい何が変わり、国民にとってどんなメリットが生まれたのかと考えると、何もない。「公務員の大幅削減」が売り物だったが、よく考えれば、郵政事業はもともと独立採算だったから、人件費は1円も削減できていない。 また、政治面でいえば、小泉は現在の「安倍1強」という異常な状況。そこからくる政治全体の劣化を生み出す大きなきっかけもつくった。それは郵政解散の際の反対派切り捨てだ。小泉は郵政民営化に反対する現職議員を公認せず、「刺客」と称する新人を彼らにぶつけた。世間は拍手喝采だったが、これが何をもたらしたか。ひとつは時の総理・総裁に対し、反対、批判すれば、公認がもらえなくなるという恐怖感である。党内の大半が唯々諾々と安倍に従うという現状を生み出しているのも、ここに起因する。 もうひとつは多くのまともな政治家が、この郵政選挙で離党、落選し、能力、資質に疑問符が付く「刺客」たちの大量発生によって自民党の質が大幅に低下したことだ。生みの親(小泉)とその息子(安倍)の二人三脚で日本の劣化は進んできたのだ。 伊藤惇夫 政治アナリスト 1948年、神奈川県生まれ。学習院大学卒業後、自民党本部事務局に勤務後、新進党、太陽党、民政党、民主党の事務局長などを歴任。「新党請負人」と呼ばれる。執筆、テレビ・コメンテーターなど幅広い分野で活躍中。
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