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朝日新聞デジタル 2019年6月7日19時42分
夏の参院選に向け、野党内に「消費税」を争点化する動きが出ている。自民党は7日に発表した公約で「10月の消費税率引き上げ」を明記。野党はすでに消費増税反対で歩調を合わせるが、消費税の廃止や税率の引き下げを訴える声も出始めている。
野党で消費税廃止の急先鋒(きゅうせんぽう)が、4月に「れいわ新選組」を立ち上げた山本太郎参院議員(東京選挙区)だ。山本氏は格差是正のため、消費税廃止と政府のさらなる財政出動など「反緊縮」を前面に打ち出す。
主張は話題を呼び、全国各地での街頭演説やインターネット上で募った寄付は40日目で1億円を超えた。6月5日時点では1億6826万円に。内訳は1千円や5千円など少額の寄付が6〜7割を占めるという。政治資金に詳しい日大法学部の岩井奉信教授は「通常の個人献金の集め方では、これほどの金額は集まらない。異例だ」と指摘する。
山本氏は「3億円で参院選に10人擁立」など集まった金額によって選挙への対応を決めるとしており、すでに独自候補の1人目として、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の元事務局長、蓮池透氏の擁立を発表した。
格差是正をめざし、さらなる財政出動を求める主張は、米民主党のオカシオコルテス氏、英労働党のコービン氏ら欧米で活発化する「反緊縮左派」と重なるという指摘もある。
草の根から野党超党派に「反緊縮」を呼びかけるキャンペーンを展開する立命館大経済学部の松尾匡教授は「大胆な財政出動を求める反緊縮への訴えは世界的なムーブメントであり、山本氏はようやく日本に現れた最初の一人」とみる。
野党内にもこうした「反緊縮」に同調するような動きが出始めている。
国民民主党の玉木雄一郎代表は5日の定例会見で「消費税の減税も選択肢から否定するものではない」と発言。立憲民主党が宮城選挙区に擁立した新顔の石垣のりこ氏や、比例区に公認した新顔のおしどりマコ氏ら公認候補者も「消費税廃止」を訴えている。
ただ、民主党は与党時代に消費税率10%への引き上げを自民、公明両党と合意した経緯があるだけに、野党内にも消費減税への反発はある。
旧民進党系の衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」代表の野田佳彦前首相は6日、記者団に「玉木代表まで言うとは驚いた。減税までいうのはポピュリズムの極致だ」と強く批判している。(河合達郎)
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