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妨害行為者は“お得意さま” ネットの炎上商法で勢力拡大 「NHKから国民を守る党」の内幕
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/255505
2019/06/07 日刊ゲンダイ 私人逮捕を実況中継(立花氏のユーチューブチャンネルから) NHKから国民を守る党(N国)の立花孝志代表(51)は、かつて筆者にこう語っていた。 「選挙中、候補者は公職選挙法によって守られています。選挙運動を邪魔した人は『選挙の自由妨害罪』。妨害行為をしてきた人たちにカメラを向けると、パーッと逃げる」 これは単なるトラブル対処法にとどまらない。 「その動画を見た人たちも喜んでくれる。妨害行為をしてくれる人は、私たちの視聴者を増やしてくれる『お得意さま』のような存在なんですよ」 ネット配信を主戦場にしてきたN国は、批判すらも候補者や支援者の力に変えてしまう。 そんな立花氏の言葉が現実のものとなったのが、現在、立花氏が立候補している堺市長選挙だ。 5月29日、80代の男性が堺市内の路上で街頭演説中の立花氏からマイクを取り上げ、立花氏の腹を小突いたのだ。 その瞬間、立花氏はまるで実況解説をするように言葉を連ねている。 「あ、きたきた、殴った、殴った。撮ってて。逮捕します、逮捕します。逮捕しました、逮捕しました。選挙の自由妨害で逮捕しました。110番して。僕が逮捕しました。刑事訴訟法、ちゃんとあります。私人逮捕です」 そう言いながら男性の手を押さえる立花氏に幸いケガはなかったが、数人が取り囲んで動画を撮影し続けていた。 ■殺到する200人もの出馬希望者 立花氏は同日、この模様を記録した動画をユーチューブにアップ。視聴回数は20万回を超えた。 炎上すればN国の名が知られ、「反NHK」の看板に引き寄せられる有権者が増える。視聴者はやがて路上に集まり、自身もスマホを構えて配信するようになっていく。 過激な言動で目立ち、政治に興味がなかった層をも開拓したことが低投票率でも勢力拡大を続ける理由だ。その意味で、N国は1票の軽さも重さも知り尽くしている。 「統一地方選では、ウチの党から出たい人が200人ぐらい集まりました。今も殺到してお断りしている状態です。町村議会の歳費は200万円程度ですが、『腰掛けでも200万円? そんなに議員の給料はいいんですか?』と来る20歳ぐらいの女の子も多い」 立花氏もN国も、笑いが止まらないだろう。 (つづく) 畠山理仁 フリーランスライター 1973年、愛知県生まれ。早大一文在学中の93年から雑誌を中心に取材・執筆活動を開始。関心テーマは政治家と選挙。2017年に著書「黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い」(集英社)で第15回開高健ノンフィクション賞を受賞。
選挙妨害、現行犯逮捕
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