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遠のく北方領土…平和条約交渉「打ち切り合意」の衝撃情報
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/255178
2019/06/01 日刊ゲンダイ 飯倉公館で会談(代表撮影) 北方領土返還を巡るロシアとの平和条約締結交渉は遅々として進まない。河野外相とラブロフ外相が31日、平和条約締結に向けた交渉責任者として4回目の会談に臨んだが、成果なし。共同記者発表で河野は「乗り越えるべき課題の輪郭はだいぶ明確になってきている」と強調したが、平和条約交渉の打ち切りで合意したという衝撃情報が流れている。 外相会談は当初予定していなかった一対一の会談を約40分間行った後、全体会合が実施された。合意したのは、北方領土での共同経済活動の早期具体化に向け、今月11日に局長級の作業部会実施。海産物の養殖、温室野菜の栽培、観光ツアー開発、風力発電の導入、ごみ減らし対策――の5項目の実現を目指すという。北方4島を事実上管轄するサハリン州と北海道の間で短期滞在のための査証(ビザ)を相互免除する案も議題になった。大阪でG20首脳会議が開催されるタイミングの29日に26回目の日ロ首脳会談が予定されている。 筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。 「安倍首相は北方領土返還をどうやらあきらめたようですね。ロシア大手紙のイズベスチヤ(5月27日付)のスクープ記事に沿って日ロ交渉は展開しているようです。ロシア外務省高官の話として、平和条約交渉の打ち切りで日ロは合意済みだと報じていました。4月中旬に安倍政権は対ロ政策を抜本的に変えていたのです」 伏線は4月23日に公表された2019年版の外交青書だ。18年版にはあった「北方四島は日本に帰属する」との表現が削除された。それ以前から安倍政権は腰が引け始め、昨年11月の日ロ首脳会談以降はロシアを刺激しないように「帰属の問題」「ロシアによる不法占拠」といった従来の言葉を国会答弁などで避けるようになった。2月の「北方領土の日」に開催された「北方領土返還要求全国大会」に出席した安倍首相は「我が国固有の領土」という表現を使わなかった。 記者発表での河野も同様で、主権や歴史認識など北方領土を巡って日ロが対立する点について「明確に日本の立場を明らかにした」とする一方、「日本固有の領土」「不法占拠」というワードは一切使わなかった。 「ビザの相互免除はサハリンと北海道とされていますが、両国の全土適用が検討されているようです。実現すればロシアが事実上支配する北方4島への自由な訪問が可能になる。ただし、日本のパスポート持参で、です。つまり、北方領土がロシア領であると認めることになる。安倍政権は今月の日ロ首脳会談で両国全土でのビザ相互免除で合意し、G20の大きな目玉にしようとしています。これが現実になれば北方領土返還交渉はオシマイです」(中村逸郎氏) 安倍首相は当初、G20に合わせた平和条約締結の大筋合意を狙っていたが、それが無理となると姑息な“成果”のすり替え。「われわれの世代で解決する」というのは、こういう意味だったのか。
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