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候補者の前科すら包み隠さず有権者の信を得ようとする強み 「NHKから国民を守る党」の内幕
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254992
2019/05/31 日刊ゲンダイ 記者席はガラガラ(統一地方選予定候補者会見)(C)日刊ゲンダイ NHKから国民を守る党(N国)の強みは「何事も隠さない」ことだ。 統一地方選を前にした4月3日、N国は都庁記者クラブで記者会見を開いた。この会見は、出席した記者よりも予定候補者(東京24人)の方が多かった。会見冒頭、司会を務めたN国の久保田学・立川市議(41)はこう言っている。 「議員や公認候補の中には、元市会議員、現役ドクター、難病と闘うアイドル、そして、過去に罪を犯した前科者が複数在籍しております。かく言う私も前科者の一人」 前科があっても立候補はできる。それは正当な権利だ。しかし、既存の政党では多くの場合、過去に問題発言をした人物や前科がある人物は、いわゆる「身体検査」ではじかれることが多かった。実際、統一地方選では立憲民主党の予定候補者が過去のヘイト発言を理由に公認を取り消される騒動も起きていた。 「身体検査はしているのか。公認取り消しの可能性はあるのか?」 筆者の質問に、立花孝志代表(51)は迷わず答えた。 「前科があっても、法的には立候補の要件を揃えています。党として閉ざすのではなく、最終的には有権者に知っていただいて審判をいただく方針。過去にどういうことがあったにせよ、最終的には有権者が判断する」 これは強い。当選すれば「有権者の信を得た」ことになる。過去を隠すわけではないから、選挙がリセット装置として機能する。しかも、出席した記者が少ないことからも分かるように、マスコミはN国を「諸派」として扱うため、有権者に十分な情報が行き届かない。 その意味では、N国を黙殺し続けるマスコミも躍進に一役買っている。 日本はすでに半数近くの有権者が選挙に行かない国だ。4月の統一地方選の投票率は、道府県議選44.02%、59市長選47.50%、283市議選45.57%と、すべて過去最低を更新した。候補者が何十人にもなる地方選の場合、「候補者の名前と顔が一致しない」と言う有権者も少なくない。 有権者が政治や選挙への興味を失っている間に、N国は「反NHK」のワン・イシューで目を引き、勢力を伸ばしてきた。選挙では、候補者はもちろん、投票する側の有権者も試されている。 (つづく) 畠山理仁 フリーランスライター 1973年、愛知県生まれ。早大一文在学中の93年から雑誌を中心に取材・執筆活動を開始。関心テーマは政治家と選挙。2017年に著書「黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い」(集英社)で第15回開高健ノンフィクション賞を受賞。
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