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現職の国会議員が戦争を煽る国になった日本の凋落ぶり 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254498
2019/05/24 日刊ゲンダイ 丸山穂高衆院議員(C)日刊ゲンダイ 今の日本は現職の国会議員が戦争を促す発言をする国になった。 北方4島ビザなし交流の訪問団の一員として同行した日本維新の会(発言当時)の丸山穂高衆院議員のことである。あらためて彼と元島民とのやりとりを振り返りたい。 丸山「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか? 反対ですか?」 元島民「戦争で?」 丸山「ロシアが混乱している時に取り返すのはOKですか?」 元島民「戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」 丸山「でも取り返せないですよね?」 元島民「いや、戦争はすべきではない」 丸山「戦争しないとどうしようもなくないですか?」 こうした意見は今や丸山議員に限らない。 ネットの反応をみると、〈もう一回ロシアと戦争して勝って、日本領土を取り戻すのは当たり前なのだ〉〈不法占拠された領土を取り返すのは戦争しかないんだけど〉〈失った領土は戦争で取り戻すのが基本です。歴史が証明している〉など肯定的な書き込みが少なくない。 なぜ、こうした意見が出てくるのか。背景には先の戦争の総括が行われていないことがある。 米国のある軍事専門家はこう言っていた。 「日本が1941年に下した米国攻撃の決断は全く合理性に欠け、ほとんど自殺行為であったと考えられる。米国は日本の10倍の工業生産力を持っていた。もちろん、日本が米国本土を攻撃することは出来るものではない。そんな国と戦って日本は勝算があると考えたのだろうか。太平洋方面で我が国と戦えば負けることは分かり切ったことだった」 勇ましいことを言ったつもりの丸山議員は今、ロシアと戦争しても勝てると思っているのだろうか。兵力の差は第2次大戦前の日米格差どころではない。日本がロシアに戦争を仕掛ければ、日本は瞬時に消滅する。防ぐ手段は日本には全くない。 私は今、日本について外国人が過去にどんな発言をしていたのかを調べているが、ロシアの文豪・トルストイは日露戦争勃発後、英国のロンドン・タイムズ紙に「日露戦争論」を発表。こう書いていた。 〈戦争(日露戦争)はまたも起こった。(中略)知識人が先頭に立ち人々を誘導している。知識人は戦争の危険を冒さずに他人を扇動することのみに努め、不幸で愚かな兄弟、同胞を戦場に送り込んでいる〉 自衛隊を戦争に使いたいと主張している人々は、自らが戦場に行くことを考えていない。政治的利益のために戦争を煽っているだけだ。 孫崎享 外交評論家 1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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