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消費税増税凍結=衆参ダブル選が秒読み段階に
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2019年5月20日 植草一秀の『知られざる真実』
5月20日午前8時50分に2019年1−3月期GDP速報値が発表される。 前期比年率換算の実質GDP成長率、ならびに2018年度実質GDP成長率が焦点だ。 5月13日発表の景気動向指数で景気の基調判断が6年2ヵ月ぶりに「悪化」に下方修正された。 日本経済はすでに景気後退局面に移行している可能性が高い。 政府は隠ぺいしているが2014年3月から2016年5月までの約2年間、日本経済は景気後退局面を通過している。 安倍内閣が消費税増税を強行し、日本経済が崩落したのである。 私は2014年版の年次版TRIレポート『日本経済撃墜』(ビジネス社) https://amzn.to/2watB00 に日本経済の崩落を予測した。 その通りの現実が生じた。 第2次安倍内閣が発足したのは2012年12月。 安倍内閣は、金融緩和、財政出動、成長戦略の三つを柱とする経済政策を掲げた。 アベノミクス三本の矢としてアピールした。 たしかに2013年は財政出動と金融緩和の影響で日本経済の改善が観測されたが、2014年には一転して不況に転落してしまった。 2014年3月から2016年5月まで、2年以上にわたる景気後退を招来してしまった。 2016年5月から緩やかな景気改善が生じたが、この景気改善も昨年10月を境に悪化に転じている。 景気回復期は2年余りと非常に短い。 ところが、表向きには2014年3月から2016年5月までの景気後退を隠ぺいし、2012年11月から景気回復期が持続していると説明してきた。 昨年11月で景気回復期間は丸6年を経過し、戦後最長の景気回復などの宣伝文句が流布されてきた。 まさに大本営発表だ。 ところが、日本経済の現状は極めて悪い。 戦後最悪の経済状況と表現して差し支えない。 第2次安倍内閣発足後の実質GDP成長率(前期比年率)単純平均値は+1.2% 民主党政権時代の成長率単純平均値+1.7%をはるかに下回る。 民主党政権時代の日本経済が良かったわけではない。 東日本大震災などがあり、日本経済は超低迷を続けていた。 この期間と比較しても安倍内閣下の日本経済のパフォーマンスははるかに悪い。 しかも、労働者一人当たりの実質賃金は約5%も減少した。 民主党政権時代は労働者一人当たりの実質賃金はほぼ横ばい推移だった。 この夏に参議院議員通常選挙を控えて、安倍内閣は2019年10月の消費税増税を断行できる状況にない。 安倍内閣は2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げ、その結果として景気後退への転落を招いた。 安倍内閣は財務省による「消費税増税の影響は軽微」の説明を信用したが、結果的に裏切られた。 財務省と共に「消費税増税の影響軽微」のキャンペーンを張ったのが日本経済新聞である。 1997年度とまったく同じ過ちを犯した。 日本経済新聞ではなく日本重罪新聞とするのが適切であると考えられるが、安倍内閣はこの経験を踏まえて消費税増税に慎重になっている。 メディアを動員して「アベノミクス成功」の大キャンペーンを展開してきたが、完全な大本営報道であった。 現実の日本経済は戦後最低最悪の状況を維持しているのである。 消費税増税延期は確定的な状況で、安倍内閣は消費税増税再々延期を表明して衆参ダブル選に持ち込むことになるだろう。 日本の主権者は消費税増税延期の是非ではなく、安倍内閣の経済政策運営の実績について審判を下す必要がある。 正確に把握が必要なのは、第2次安倍内閣発足後の日本経済が最低最悪の推移を続けてきていることだ。 この現実を把握した上で、安倍内閣に対する評価を投票行動で示す必要がある。 問題は、この主権者判断をしっかりと野党勢力が受け止めることにある。 |
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