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年金破綻で「70歳まで働け」 問題は高齢者の居場所と待遇
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254091
2019/05/17 日刊ゲンダイ 文字起こし![]() 未来投資会議で美辞麗句(C)共同通信社 15日に行われた「未来投資会議」で政府は、希望する人が70歳まで働き続けられるよう就業機会を確保することを「企業の努力義務」とする方針を示した。雇用継続や再就職のあっせんなど7つのメニューを設け、「高年齢者雇用安定法改正案」として来年の通常国会に提出する方向だ。 会議で安倍首相は、「人生100年時代を迎えて意欲ある高齢者に経験や知恵を社会で発揮してもらえるよう法改正を目指す」「高齢者の特性に応じて多様な選択肢を準備する」と法改正の意義を語ったが、こんな美辞麗句にだまされてはいけない。 そもそも「未来投資会議」は、竹中平蔵東洋大教授らがメンバーに名を連ね、安倍のお友達や取り巻きが規制緩和など金儲けのタネを探す会議だ。高齢者の人生など眼中になく、あくまで「成長戦略」が優先で、労働人口が低下するのを補うため高齢者を働かせるのが目的なのだ。 内閣府は65〜69歳の就業率が60〜64歳と同水準になれば、就業者数は217万人増え、勤労所得は8・2兆円増加し、消費支出は4・1兆円のプラスになるとソロバンをはじいている。高齢者を“モノ扱い”というおためごかしが実態なのである。 要は「人生100年」とは、急激な少子高齢化によって日本の年金制度が破綻したことを隠すためのフレーズでしかない。半世紀以上続く年金制度は、「現役世代が何十年間も保険料を払い、受給者になって何十年受け取る」というもの。現役世代が減る一方で、受給者が増えれば、制度が立ち行かなくなる。 政府は1990年代には、こうした現実に気づいていたうえ、低金利によって年金資金の運用益が縮小するのも分かっていたのに、制度の抜本的な改革に手をつけず、支給額をジリジリ減らすことでお茶を濁してきたのだ。 「努力義務」に実効性なし 小泉政権時の2004年には「年金100年安心プラン」で、今後100年間、現役時代の収入に対する年金額の割合を最低50%保証するとされたのに、いつの間にか反故。結局、ニッチもサッチもいかなくなり、安倍政権は支給額の減額だけでなく、原則65歳の年金受給開始年齢を「70歳以降に延期すれば割増金」という目くらましで実質的に引き上げようとしている。さらにはここへきて、70歳以上にも年金保険料の納付義務を拡大させることまで画策。自民党は14日、「働いている間はいつまでも年金保険料を納める」という提言をまとめたが、高齢者を苦しめることに邁進する政権政党って、一体何なのか。 とどのつまり、「人生100年」とは「死ぬまで働け!」ということなのだ。未来投資会議の方針はそのための方策なのだが、フザケているのは、具体的な7つの提案メニュー(@定年制の廃止A70歳までの定年延長B継続雇用制度の導入C他企業への再就職あっせんDフリーランス契約への資金提供E起業支援F社会貢献活動への資金提供)が、机上の空論であること。労働問題に詳しいジャーナリストの溝上憲文氏はこう話す。 「70歳までの就労機会の確保が、企業の『義務』ではなく『努力義務』となったのは経団連など企業側が反対したからです。現在、65歳までの継続雇用が義務化されていますが、企業にとってはそれだけでも既にキツい。企業の存続のためには別途、新卒採用も続けなければなりませんしね。70歳まで拡大なんて、とてもそんな余裕はありません。『努力義務』ですから、やらなくてもいいわけで、実際にやる企業は少ないでしょう。7つのメニューにしても、現実的なのは現状の65歳で規定されている@〜Bぐらい。C〜Fは実効性があるとは思えません」 厚労省の最新調査では、今だって「65歳定年」の企業は15・2%に過ぎない。70歳までさらに5歳延長なんて、企業が簡単に対応するわけがないのである。 ![]() トヨタですら「終身雇用」が難しい(C)日刊ゲンダイ
この国ではもはや大企業ですら、従業員の雇用維持を“放棄”するようなひどいありさまだ。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)が13日の会見で、「終身雇用を守っていくのは、難しい局面に入ってきたのではないか」と発言し衝撃が走ったが、日本を代表する売り上げ30兆円企業でもこの惨状なのである。 経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)や経済同友会の桜田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス社長)も同様の発言をしている。彼らの言う「雇用の流動化」とは、少しでも賃金を安くして「企業にとって都合よく労働者を使いたい」という意味だ。 70歳まで雇用拡大となっても、企業は総人件費自体は当然、増やしたくない。企業にとって残したい人材は、既に定年延長や再雇用が実現している。技術力がある熟練工など生産現場が中心で、事務系管理職は必要とされず、後回しだ。それでも会社に残るなら、給料の大幅減をのむしかない。 加えて、70歳まで雇用し続ければ、若い人にしわよせが行く。若年層はますます非正規でしか雇ってもらえなくなる。 それに高齢者は、何も積極的に働きたいわけじゃない。今年1月の内閣府調査では、「70歳以上も働きたい」という人は9・2%にすぎず、「66歳以降も働きたい」という人の半数は「経済的理由」だった。働かなければ生活できないからだ。 実際、総務省の昨年の労働力調査によれば、65歳以上の3人に1人が働いている。だが、そうやって働き続けても、内閣府の高齢社会白書(2017年)によれば高齢者世帯の平均所得は297・3万円で、全世帯から高齢者世帯と母子世帯を除いたその他世帯の644・7万円と比べて半分以下なのだ。 経済評論家の斎藤満氏は自らの経験を踏まえ、こう言って呆れる。 「60歳過ぎて、ハローワークに行って驚きました。今までの経験を生かせるような仕事は皆無で、建設現場の警備員やビル管理・清掃、コンピュータープログラミングなど人手不足で低賃金の仕事しかないんです。一方で、定年延長で会社に残ったとしても、給与は2段階、3段階とカットされ、現役時代の半分以下、3分の1、4分の1が当たり前です。つまり、全て企業側の論理で決まるため、再就職しても、定年延長や再雇用で会社に残っても給与条件は劣悪。それでも年金がもらえないなら、無理をしてでも働かざるを得ない、というのが今の高齢者が置かれた厳しい現実なのです。未来投資会議の提案メニューにある『起業』や『社会貢献活動』なんて、庶民感覚のない金持ちの発想ですよ。『起業』はサラリーマンにとっては実務面、税金面ともにハードルが高い。退職金を突っ込んで起業して失敗したら、その後の生活はどうなるんですか」 「第二の人生」の社会環境整備こそ政治の仕事 「人生100年」と言っても、バラ色の未来ばかりじゃない。元気な高齢者がいれば、一方で寝たきりだっている。100歳まで働き続けられるわけじゃないのだ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。 「『人生100年』になればむしろ、病気の人、足腰が弱くなって歩けない人、認知症の人などが増える。拡大する高齢者の医療費はどうなるのか。高齢者の貧困率だってさらに高まるでしょう。そうした超高齢化社会において、政府が打ち出した『70歳までの雇用確保』はあくまでワンポイントの話でしかなく、根本的かつ本質的な課題には全く手をつけていません。政治がやるべき仕事は、70歳までの定年延長の制度を作ることよりも、国民がそれぞれの『第二の人生』を選択できる社会環境を整備することでしょう。いまの政府は、耳当たりのいいことだけを並べて明るい未来を演出するばかりで、真正面の議論から逃げています」 現場の事情と乖離した無理スジの制度設計は、安倍政権が国民の生活など本気で考えていない証左。高齢者から搾取して国家に奉仕させるぐらいの考えなのだろう。許し難いイカサマ・ペテン政権である。
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