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収入増に目がくらみ「表現の自由」が分かっていない民放連 ここがおかしい 小林節が斬る!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/253821
2019/05/15 日刊ゲンダイ 5月9日の衆議院憲法審査会における民放連の発言には驚かされた。 いわく、憲法改正国民投票の際の賛否の「有料」広告の規制について、「『表現の自由』(憲法21条)に抵触する恐れから、CMの『量的』規制はできない。しかし、『内容』の精査(つまり規制)で対応する」 現行の国民投票法では、資金の豊富な与党・改憲派は、大手広告代理店に確保させたいわゆるゴールデンタイムの枠にたくさんの広告を流すことができる。他方、資金の乏しい野党・護憲派は、あまり目立たない時間帯に細々と広告を出すことしかできないだろう。これは客観的に明白な事実だが、これではハンディキャップ(不利な条件)を付けられた競争で、それこそ法の下の平等(憲法14条)に反してしまう。 このままだと、国家すなわち私たち全国民の命運にかかわる憲法改正が、「美しい日本!」「誇りの持てる日本!」「自衛官の子供が泣かないで済む日本!」などという法外の情緒的な概念のサブリミナル効果(潜在意識に刷り込む手法)で帰趨を決められてしまうことになりかねない。 また、表現の自由の「規制」の手法という観点からも、民放連の認識は憲法常識から恐ろしいほどにかけ離れている。 つまり、@民主政治の不可欠な前提である自由で公平な情報の流通という観点から、確かに、表現の自由の規制は最大限に慎重であるべきだ。Aそこで、改憲の賛否両論に対する最も公平な規制は、どちらにも「同じ時間」を与えること(量的規制)である。Bその点で、「内容の精査」とは、内容を民放連が「検閲」することに他ならず、それこそ憲法21条違反である。 その結果、民放連による検閲で、「美しい日本の憲法」は「許可」され、「改憲で日本は戦争をする国になる」は「改憲と戦争の因果関係が立証されていない」として「不許可」にされることは、私には火を見るより明らかである。 国民の知る権利に応える表現の自由を担う民放連が、収入増の期待に目がくらんで、表現の自由の意義を忘れたようだ。恐ろしい。 小林節 慶応大名誉教授 1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)
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