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“世紀の愚策”後遺症の懸念 連休明けの経済波乱に身構えよ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/253177
2019/05/03 日刊ゲンダイ 10連休は苦労知らずの富裕層的発想(安倍首相夫妻)/(C)共同通信社 皇位継承に伴う異例の10連休も残すところ、あと3日。改元祝賀ムードは果たしていつまでもつだろうか。時事通信の世論調査で4割が「うれしくない」と回答した悪評ふんぷんの長期休暇明けには、一転して景気後退ムードが蔓延する懸念が広がっている。 第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏は言う。 「10連休でお金を使いすぎた消費者が節約モードにシフトする可能性が考えられます。そうなると、改元祝賀ムードが景気後退モードへ様変わりする可能性がある。GW明けの今月20日に公表される今年1〜3月期のGDP(1次速報)は、年率換算でマイナス2%以上落ち込むとみています。こうした数字が消費者心理をさらに冷え込ませかねません」 GDPの5割を占める消費が低迷すれば当然、4〜6月期のGDPを直撃する。アベノミクスの失敗も偽装も認めようとしない安倍首相がいくら強弁しようが、2四半期連続のマイナス成長はまごうことなき景気後退である。 最大9連休だった昨年もみな財布のヒモを緩め、パーッと散財していた。総務省の家計調査によると、昨年4〜5月の平均消費支出(2人以上の世帯)は1日当たり平均6319円。平日6060円、土日祝日6850円、GW期間中(4月28日〜5月6日)は7052円だった。GWは平日よりも16%超も出費していた計算だ。それがさらに1日延び、夏休み分の支出を先食いしてしまえば、消費心理がヒエヒエになるのは必至である。 ■市場が恐れるフラッシュ・クラッシュの再来 10日間の長期休場に初めて直面した金融市場も大きなリスクを抱えている。市場関係者が戦々恐々なのが、年初明けに起きた「フラッシュクラッシュ(瞬間暴落)」の再来だ。1月3日の外為市場で、それまで1ドル=108円台後半で取引されていたドル円相場が急伸。瞬間的に1ドル=104円台まで円高が進んだ。引き金は米アップルが前日に業績予想を引き下げたことだった。年始で市場参加者が少ないタイミングを捉え、ヘッジファンドなどが円買いを仕掛けたのだ。休場のスキを狙って円相場を動かす「市場の鬼」の食い物にされたのである。急激な円高の結果、FX取引などでロスカット連鎖が広がったことも、変動幅を拡大。輸出企業の採算悪化が警戒され、大発会の日経平均株価は大幅続落し、2万円台を割り込んだ。海外市場が動いているのに、日本だけ10日間もロクに商いができないのは、それだけで大損失なのである。国内の株式市場が1週間まったく開かれないのは、33年ぶりのことだ。 経済評論家の斎藤満氏はこう言う。 「そもそも、安倍政権が御代替わりを政治利用したのは思い上がりで、10連休で人気取りを画策したのもおごりだと言わざるを得ません。天皇の退位日程を年初でもない年度初めでもない、暦の上で極めて不自然なタイミングにしたのは、統一地方選へのマイナス影響を避けるため。一方で、政治主導の超大型連休は参院選にプラスになると計算したようですが、かえって反発を招いた印象です。 「節約なんても〜ムリ!」/(C)日刊ゲンダイ
高齢世帯が全体の4割を占め、労働者の4割が非正規雇用の日本社会で、海外旅行などをエンジョイできるのは生活にゆとりがある一握りの富裕層だけ。10連休は安倍首相をはじめとする苦労知らずの富裕層的発想によるもので、庶民目線で政治を行っていないことがハッキリしました」 安倍は世論の7割超がクロだと踏んでいるモリカケ疑惑から逃げ回り、“外交の安倍”が聞いて笑う外交オンチを露呈。「最重要課題」に掲げる北朝鮮による拉致問題はまったく進展せず、「われわれの世代で解決する」と息巻いたロシアとの北方領土返還交渉は1ミリも動かず、むしろ遠ざかっている。ハリボテのアベノミクスは統計偽装によるインチキで、異次元緩和は出口なし。八方塞がりの安倍政権が繰り出した改元、10連休という政権浮揚策に浮かれる能天気な国民を尻目に、ハゲタカたちは虎視眈々なのだ。 懸念される「世紀の愚策」の後遺症はかなり深刻なものになるのではないか。この間、海外では重要イベントが相次いでいる。 米国ではFRB(米連邦準備制度理事会)が金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)を開いたのに続き、3日(現地時間)は市場関係者が注視する雇用統計の発表だ。 トランプ大統領から貿易戦争を吹っかけられた中国では、景気の先行きを示す4月のPMI(製造業購買担当者景気指数)の公表を皮切りに、経済統計が次々に発表される。 楽天証券経済研究所によると、株価は連休前後で大きく動くケースが多い。過去10回の5連休を含むGW前後の日経平均株価は、平均で連休後に2・01%の変動があったという。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストの分析によると、1989(平成元)年以降、GW前と連休中最後の営業日のドル円相場比較では円高が進んだ年が6割、円安が4割だったという。国際的なビッグイベントが重なるタイミングで金融市場が長期間も閉じている今年は、これまで以上の大変動に見舞われかねない。 「投機筋に揺さぶりをかけられ、連休明けには狼狽売り、パニック売りが広がる危うさがあります」(斎藤満氏=前出) 連休後の波乱相場、消費の冷え込み、追い打ちをかけるGDP統計の弱さ、消費増税に対する生活不安……。連休明けの経済波乱にしっかりと身構えなければ、吹けば飛ぶ庶民の生活はひとたまりもないことを覚悟しておいた方がいい。
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