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イタリア政治に風穴あけた「五つ星運動」共同設立者に聞く 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/252202
2019/04/22 日刊ゲンダイ イタリア「五つ星運動」共同設立者のベッペ・グリッロ氏(C)日刊ゲンダイ コメディアンとして劇場やテレビなどで政治や経済がテーマのショーをやって人気を博したが、テレビ業界から干された。2005年に始めたブログは、コメント欄にノーベル経済学者のスティグリッツも書き込むほど注目され、最高で世界7位のアクセスを記録。インターネット言論空間「ルソー」も立ち上げ、そこでの議論や出会いが直接民主主義的な「五つ星運動」につながった。同党は18年3月の総選挙で単独政党として議席数トップを獲得し、連立政権を樹立。論争を呼びながら行動力と発信力でイタリア政治に風穴をあけてきた“台風の目”ベッペ・グリッロが来日、話を聞いた。 ◇ ◇ ◇ ――「五つ星運動」における現在の立場は? 保証人だ。私がつくった「五つ星運動」の路線が外れそうになったときに元に戻す役割をしている。05年、ジャンロベルト・カサレッジョと私はお互いキャリアのピークにきていて、自分のためにではなく人のためになにかやろうとして、ブログや社会運動を始めた。自腹で生活しながら、ちょっとずつ運動をつくってきた。当時の政治家は、こうした政治状況を想像すらしていなかっただろう。われわれも最初はともかく自由になりたいと思って、叫び始めたんだ。 ――07年から「Vの日」(くそったれの日)も主催し、汚職国会議員の除名を訴え、報道の自由の欠如などを批判してきました。日本語の動画やブログも公開していましたね。 日本人のことを知りたかったんだ。でもとてもお金がかかったし、いろいろ負担だったから1回でやめちゃったよ。
――テレビ業界から干された原因は? イタリア公共放送と政党との癒着を公共放送ではっきり言ったから追い出された。でもこれは本当によかった。テレビが私を捨てたおかげで、私はマスメディアと闘っていると信頼感を得て、ネットで価値が高まったんだ。ネットはマスメディアと関係なく広がっている。権力はマスメディアを使う。日本をはじめ世界中でそうだろう。マスメディアは何かを教えるのではなく、何も教えないことで国民を操っている。マスメディアは権力集団のひとつなんだ。イタリアではマスメディアは国からお金をもらって政府と仲良くしている。「五つ星運動」はそのつながりをできるだけ切ろうとしている。ケンカを売りたいわけではない。 会場を沸かせた2005年の演説会(C)ロイター ――05年に表紙を飾った「INTERNAZIONALE」誌では、海岸でヌードになって股間にノートブックを広げていましたね。 私が物質的な存在ではなく、世界に広がるデジタルな存在になっているということを示したんだ。 ――政治腐敗の要因は多選だとお考えですか? それより、議員がマフィアらと関係を持っていることが深刻な問題だ。 ――政治や経済を「笑い」のネタにすることはイタリアでも日常的ではない? とても珍しいことだった。アイロニーやお笑いは政治にあまり入ったことはない。 ――アイロニーとは皮肉の意味ですか。 皮肉だけでなく、風刺とか、もう少し軽いもの。アイロニーがないと、人間の心が表れないんだ。政府はひとつの意見を押し付けてくるので、反対意見を言う人が必要だ。その意見にアイロニーがあれば、ファシズムやナチズムは大きくなっていかない。アイロニーの役割はそういう「壁」なんだ。 ――日本では特に、政権批判の「笑い」はテレビから消えうせています。 それは良くないことだ。ギリシャや欧州では暴力的な政党が与党になったりしているが、今のイタリアでは暴力的な政党や政治運動は広がっていない。暴力に暴力で応えると肥大化してしまうけど、アイロニーで対抗して大きくさせないようにしているからだ。これをするのはコメディアンの役割みたいなものでもある。
――マフィアが政党の代わりに暴力装置になっているからでは。 それは違う。今のマフィアは、地方出身者でコカインも扱うような暴力的な人間は少数派。都会出身でハーバード大学に留学したりするような「コレット・ビアンコ」(白いワイシャツ襟の意)の経済エリートたち。完全に変わってしまった。南イタリアのマフィア「ンドランゲダ」はイタリアのGDPの4%を生み出していて、お金が国中に流れている。われわれはこういう状況を「壁」を作って変えようとしている。例えば今まで政府のコンペはオープンではなかった。われわれはそれを透明化した。税金を着服した政治家の政治活動を禁じる法律も作った。これはイタリアでは初めてのことなんだ。 ――日本では与党政治家の便宜供与疑惑が延々と議論されていますよ。 内部告発者保護法も作って有力政治家が逮捕されたよ。彼は悪さをしていても牢獄の外に居続けていたんだ。 ――連立政権を組んだ「同盟」(レーガ)と不協和音はありませんか。 「レーガ」と「五つ星運動」は確かに真逆な点はある。やりたくない政策もあり、微調整をしている。25の政策リストを共有して政府をつくった。われわれは選挙公約は守っているし、実行もしている。 ――移民排斥を訴えている極右政党の「レーガ」との連立に批判があります。 イタリア経済には毎年20万人の移民が必要だし、イタリアとしても欧州としても移民の管理は必要だ。本当に深刻なのは、地中海ルートではなく東欧ルートの移民だ。これまで国として何の準備もしていなかった。「五つ星運動」はアンチファシズムだが、さまざまなアイデアを出してきた。旧来型の左翼政党はアイデアもアイロニーも失って消えつつある。しかし、移民問題は人種差別問題に関わるから、アンチ人種差別というアイデンティティーを左翼は得るだろう。
――アンチだけの政党への問題提起ですね。 深刻なのは、イタリア国内に800万人の貧困層がいることだ。「五つ星運動」では、ベーシックインカム(BI)で普通の生活ができるように打ち出した。市役所から職業訓練などの提案がきてトレーニングなどに通うとお金が支給される仕組みだ。「黄金の年金」と呼ばれる政治家の高額年金を財源にして定額年金受給者の上積みを図ったり、議員特権も整理してきている。 ――「五つ星運動」は5つの優先目標を掲げていますね。 水道や再生可能エネルギー、高速道路やITなどをより公共のものにすることは重要な政策だ。AI(人工知能)やブロックチェーン(分散型台帳技術)で仕事の半分は消えるといわれている。われわれは5年後ではなく、30年後の国民や政治を考えて活動している。世界中の人とアイデアを生み出していきたい。 ――どうやって? 「五つ星運動」では「ルソー」というOSを使っていて、身分証明書があれば誰でも「ルソー」に直接参加してどんな法律でも提案できる。メンバーは18歳から50歳くらいまでが多い。イタリアも日本と同じように高齢化している。彼らはネットはあまり使わず、メディアとの接点はもっぱら新聞やテレビ。ただ、メンバーにならなくても「五つ星運動」に参加できるし、人の数を増やすこと以上に良いアイデアが生まれることの方が大切だ。 ――最後に少子高齢化への対策は? 老人を殺そう。もちろん冗談だよ! イタリアではクルーザーを捨てる老人が多いんだ。だから、あれに乗せて沈めてしまえばいいんだよ。これも冗談! イタリア人はブラックジョークが好きなんだよ。そうだな、私には子どもが6人いるから、必要なら1人くらい日本に貸してあげるよ。なんでもやるから! * * * ベッペ氏はインタビュー中も講演会でも1時間ほど経つと、次第に落ち着かなくなり、ジョークを言いたいのかそわそわしていた。来日中の講演会では17年に来日した「五つ星運動」のリカルド・フラカーロ議員にぶつけられたのと同じ質問がベッペ氏にも投げかけられた。「日本人はなにをすべきなのか」――。くしくも2人とも「日本のことはわからない。日本人がなすべきことでは」とピシャリ。笑いのない正論だった。 (聞き手=平井康嗣/日刊ゲンダイ) ▽Giuseppe Piero Grillo 1948年、イタリア・ジェノバ生まれ。コメディアン、俳優、ブロガー。欧州最大の食品会社の実情を倒産の2年前からデータを用いてショーで告発。米タイム誌の「欧州ヒーロー2005」に選出された。09年に設立されたネット政党の「五つ星運動」(M5S)の設立者にして保証人。「五つ星」は水、エネルギー、開発、環境、交通の5領域を意味する。議員任期2期10年、報酬の半額返上を掲げる。
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