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4月 20, 2019 日々雑感(My impressions daily)
<経団連・中西宏明会長「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。どうやってそういう社会のシステムを作り変えていくか、そういうことだというふうに(大学側と)お互いに理解が進んでいるので」
経団連の中西会長はこのように述べ、「人生100年時代に、一生一つの会社で働き続けるという考えから企業も学生も変わってきている」との認識を示した。
その上で、これまで日本では、4月の一括採用で入社せずに、あとから非正規で入社した場合、たとえスキルを身につけたとしても正社員に待遇で差をつけられるというケースを示し、そうした雇用システムに疑問を呈した。
経団連と大学側は、個人にとっても企業にとっても、より良い雇用のありかたについて、これまでの議論を22日に報告するという>(以上「日テレNEWS24」より引用)
日本が高度経済成長を果たした仕組みの一つが「終身雇用制度」だった。それは決して労働者のためのものではなく、企業のための制度だったことを忘れてはならない。
当時、定年は55歳でそれまで右肩上がりの報酬を得て、労働者は企業に対する強い帰属意識と愛社心を原動力に高い勤労意欲を保持していた。また企業も企業利益だけではなく、地域社会に対する「奉仕」の精神を忘れず、地域と一体となって「株式会社日本」と呼ばれるような官民一体で世界にも稀な高度経済成長を実現した。
その「終身雇用制度」が変質し始めたのは奇しくもグローバリズムによる「国際分業論」が持て囃される様になってからだ。海外移転するのに国内の労働者は足手まといになったから四十を過ぎれば「雇用形態と報酬の見直し」をするという口実で「終身雇用制度無を破壊した。
すでに経団連会長のいう「終身雇用制度」を実施しているのは公務員だけではないだろうか。民間企業で右肩上がりの「報酬制度」を維持している企業が果たして国内に存在しているだろうか。
失われた30年間で日本の企業に何が起きたのか。それは労働生産性の低下だ。2017年現在で日本の労働生産性は47年連続でG7先進国で最下位だった。
高い労働生産性で世界経済をリードしてきた経済大国・日本の姿は何処にもない。日本には日本人は手先が器用で「高品質・低価格」のモノ造りができる、と固定観念に取られている経済評論家が多すぎる。そうした固定観念こそが生産性向上を阻んでいる。
労働者の生産性とは付加価値だ。そして付加価値をつけるには手先が器用だとか、真面目に働く、ということとはあまり関係がない。原料などモノの値段やインフラのコストは、先進国の間そこまで大きな差はない。そんな大して変わらぬ条件の下で、なぜ日本では「高品質・低価格」を続けられたのかといえば、労働者の価値が低い、つまり「低賃金」ということに尽きる。
時間を逆回しにして高度経済成長時代に回帰することは出来ないが、そうした当時の風景を蘇らせることは出来る。当時の社会がいかなるものだったかを思い起こしてみようではないか。
当時の政府は企業の技術・研究開発を促進するための税制を用意していた。そして生産性向上のための生産設備投資した企業には「特別償却」を認める制度も用意していた。
現在の安倍自公政権は無能な経営者でも「国際分業論」に乗って短期企業利益を最大化しているにも拘らず、法人税の「本税」を減税してしまい、政策「減税」の選択肢を自ら無くしてしまった。そして政府も労働者の賃金引上げとは反対方向の「安い労働力」として大量の外国人労働移民を行おうとしている。それではG7の中で最低の労働生産性の「国」から脱却することは出来ない。
終身雇用制度の維持が困難になったのも低い労働生産性が故だ。それをもたらしているのは政府と企業経営者だ。彼らが日本経済をダメにしている。
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