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古賀茂明「安倍総理に言いたい。『天皇陛下の政治利用は止めてくれ!』」〈週刊朝日〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190414-00000015-sasahi-pol
AERA dot. 4/15(月) 7:00配信 古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報... 天皇、皇后両陛下と皇太子さま夫妻(c)朝日新聞社 新元号決定で安倍政権の支持率が上がったそうだが、そもそも、新元号決定は安倍晋三総理が誇るべき業績なのだろうか? 4月1日、菅義偉官房長官が、緊張した面持ちで新元号「令和」を発表した。それから今日まで、テレビや新聞・ネットなどでは、「令和」フィーバーが続いている。誰でもお祭り騒ぎに水を差すのは気が引ける。みんなで祝って何が悪いと言われそうだ。だがしかし、それでもやっぱり、言っておきたいことがある。 このコラムは、次回から週刊朝日に移行することになり、発売日(原則毎週火曜日)には、このサイトにもアップされるので、紙とネット両方の媒体で読んでもらえる。それ自体はとても嬉しいことなのだが、紙媒体なので、字数に限りがある。逆に言えば、字数にあまりこだわらずに書けるのは、これが最後ということだ。というわけで、「令和フィーバー」について、言いたいことをそのまま書いてみたい。 まず、「新元号決定」と言うが、この新元号の最終決定者は誰なのかご存じだろうか。安倍総理だと思っている方もいるかもしれないが、それは違う。新元号の決め方は「元号法」という法律で、「元号は、政令で定める」と決められている。「政令」だから、閣議で決める。つまり、元号を決めたのは内閣であって、内閣総理大臣ではないのだ。 新元号を最初に国民に伝えたのは、菅官房長官だった。内閣の決定事項を内閣を代表して発表したということになる。菅長官は、元号決定の経緯について、「先ほど、閣議で元号を改める政令及び元号の読み方に関する内閣告示が閣議決定をされました」「元号に関する懇談会と衆議院及び参議院の議長及び副議長の御意見を伺い、全閣僚において協議の上、閣議において決定したものであります」と述べている。法律の規定通り「閣議」で決めたことを2回にわたり繰り返し明言しているのだ。「安倍総理」という言葉はどこにもない。 本来は、この発表でことは足りるはずである。ところが、その後、わざわざ、別の会見を開いて、安倍総理が、「令和」に込めた自分の思いを滔々と述べ立てた。まるで、自分が「令和」の発案者であるかのような言動だ。「平成」が決められたときは、小渕恵三官房長官が発表し、竹下登総理は談話を発表しただけで、会見は開かなかった。 今回は、総理が会見を開いたうえに、その会見の模様は、テレビや官邸ホームページだけでなく、インスタグラムやツイッターなどでも生配信するという念の入れようだった。何とか自分が目立とうという魂胆がありありと見て取れる。統一地方選にこれを利用しようという意図があることも明らかだ。典型的な政治利用である。 本来は、決して政治利用など許されない新元号の決定を、自らの政治ショーとしたうえに選挙に利用した安倍総理。9年の任期を全うしても、何一つレガシーを残せそうもないことに焦ったのか。単に生来の目立ちたがり屋なのか。何とも後味の悪い新元号発表であった。 ■「和」を重んじたというけれど「Show Off」(見せびらかし) 「悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然。こうした日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継いでいく」と安倍総理は会見で述べた。しかし、まるで改元が自分の手柄であるかのごとき言動をしてはしゃぐ安倍総理が、「日本の国柄」を引き継ぐと言う姿には、思わず、「違うだろう」と言いたくなる。安倍総理には、日本の美徳のかけらもないのだろうか。 出しゃばり、目立ちたがり、ひけらかしたがり。そんな言葉ばかりが思い浮かぶ。「和」の文化とは対極にあるアメリカ人のプレゼンかという印象だ。いや、そう言うと、アメリカ人に失礼だろう。おそらくアメリカ人から見ても「Show Off」(見せびらかす)という印象なのではないだろうか。日本人の美徳「謙譲」の精神など微塵も感じられなかった。 安倍総理は、「花を大きく咲かせる」とも言ったが、そんな派手好みの言葉は、日本の文化とは無縁だ。「和」を強調したいのなら、「清楚で凛とした花を咲かせる」というような言葉がふさわしかった。 しかも、花を咲かせるには、種をまき、芽を育まなければならない。昭和の遺産を食い潰し、国家を借金まみれにして、将来への布石も何も打てなかった人が、大輪の花を咲かせたいと……。どの口が言うのかと、突っ込みたくなる瞬間だった。 そして、こういう人が権力を握ることは、非常に恐ろしいことだという思いに駆られる。自分のために、権力を好きなように使う。そこには全く限界線がない。恥も外聞もなく、何のためらいもないのだ。どうしてこんなことができるのかと考える。こういうことができるのは、国民も同程度だと馬鹿にしているからではないのか。そして、このフィーバーに乗るに違いないと見切られているマスコミも、本当に情けないとしか言いようがない。 ■天皇陛下のお気持ちはいかに 本来は厳粛に行われるべき新元号決定が、とんでもない軽薄なから騒ぎになってしまったうえに、政治利用までされたとなれば、天皇陛下はどう感じておられるのか、ということにも思い至る。 元々、天皇陛下が退位を望まれたのは、健康上の理由とともに、ご逝去に伴う皇位継承になると、突然のことで国民生活に不測の影響を与えることがあるので、それを避けたいというお気持ちが強かったと言われる。また、皇位継承に当たっては、関連の儀式が過度に華美なものとならないようにというご配慮もされていると聞く。 そうしたご意向と比べると、全く正反対のお祭り騒ぎ。しかも、統一地方選挙への国民の関心を盛り上げなければならない大事な時に、逆に、選挙はほとんど霞んでしまった。陛下のご意向とは真逆ではないかと思ってしまう。 安倍総理の令和フィーバー選挙利用は、まだまだ続いている。4月10日には、国立劇場で「天皇陛下御即位三十年奉祝感謝の集い」が開催された。ビートたけし、ユーミン(松任谷由実)、山中伸弥各氏ら、芸能人、知識人が招かれたが、そこには衆参議長が並び、安倍総理が祝辞を読むのだから、政府主催の「式典」かと誰もが思っただろう。しかし、実際の主催者は、「天皇陛下御即位三十年奉祝委員会」という民間団体だ。 その設立発起人には、櫻井よしこ氏や神社本庁総長らの名前があり、中西宏明経団連会長の他、全国農業協同組合中央会会長、日本商工会議所会頭、日本医師会会長などもいて、自民党の支持団体にも見える。ところが、連合の神津里季生会長も名前を連ねている。 さらに驚いたのは、「天皇陛下御即位三十年奉祝委員会」と並んで主催者として名を連ねる「天皇陛下御即位三十年奉祝国会議員連盟」という団体があり、その顧問には、枝野幸男立憲民主党代表、小沢一郎自由党代表、玉木雄一郎国民民主党代表らの名前が並んでいることだ。役員にも各党から幹部が参加している。超党派の団体なのだ。ただし、共産党と社民党は参加していない。 もちろん、民間の団体が天皇御即位30年を記念する祭典を開いたとしても、何の問題もない。しかし、政府主催の「御在位三十年記念式典」は、2月24日に同じ国立劇場で既に開催され、そこには天皇、皇后両陛下も出席された。それにもかかわらず、安倍総理が出席して祝辞を読み上げる祭典を、わざわざこの統一地方選のど真ん中で開催する意図は何なのか。考えてみれば誰にでもわかることだ。 これまた、安倍政権による天皇陛下の政治利用に他ならない。そして、その目論見に、まんまと乗せられた野党の読みの甘さにはあきれるばかりだ。この行事が統一地方選と完全に重なることは初めからわかっていたのに、立憲民主も国民民主もこの時期に開催することに反対しなかったのだ。気づいてみたら、統一地方選への国民の関心をそらすための格好のイベントになってしまったのだが、自分たちが片棒を担いでいるため、全くこれを批判できない。マスコミも、与野党共同の行事だからと、「安心して」選挙中にもかかわらず、堂々とこの祭典を生中継までして盛り上げた。もちろん、「政治利用」という批判をした大手メディアはない。 今回のこの祭典に、天皇、皇后両陛下は出席されなかった。この日は、ご成婚記念日に当たり、皇族による祝賀の会があったからだということだが、時間は重なっていなかった。祭典主催者は、当初からこの日程を知っていたので、初めからお招きしなかったと言っているようだが、それなら、どうしてそんな日を選んだのかが問われる。誕生パーティーを開くのに、本人を招待すらしないなんてことは普通はしないものだ。 繰り返して言うが、一般市民が勝手に騒ぐのは全く自由だ。しかし、総理がそのバカ騒ぎの先頭に立ち、選挙に利用するというのは、全く別次元の問題だ。 和書(日本の古典)からの引用にこだわり、「和」を強調したのは、安倍総理支持層の右翼系の人々に配慮したということだが、せっかくの「和」の演出も、本来の「和」とはかけ離れたから騒ぎで台無しになってしまった。天皇陛下のお気持ちを最後まで踏みにじる安倍総理という印象を持ったのは、私だけだろうか。とても恥ずかしく、残念で、悲しい気持ちになってしまった。 ■安倍総理の天皇陛下政治利用はまだまだ続く そして、もう一つ気になることがある。この天皇陛下御即位をめぐる政治利用はこれで終わらないことだ。5月1日には、先の祭典を主催した団体は、名称を「天皇陛下御即位奉祝委員会」に変更することになっている。つまり、新天皇の御即位をお祝いする行事を主催するのだ。その日程は決まっていないが、現時点では、「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」(仮称)として、令和元年10〜11月に皇居前広場(国民公園)で開催されることになっている。 その日程だと、現時点で大きな選挙は予定されていないが、夏の参議院選挙が衆議院の総選挙との同日選にならなかった場合、秋の臨時国会中に解散総選挙が行われる可能性がかなりの確率で予想される。そうなれば、当然、この委員会主催の行事の日程が、総選挙の直前に(と言っても、それがわかるのは安倍総理だけなのだが)セットされるのではないか。そんなことまで考えてしまう。 あるいは、自民党と日本維新の会が中心になって、秋の臨時国会で憲法改正をめぐる議論を強硬に進める最中に、こうした催しが開かれるのか。 考え過ぎだと思うのだが、そんなことまで考えてしまう。 ■トランプ大統領のご機嫌取りに天皇陛下を利用する安倍総理 安倍総理は、新天皇陛下の御即位後最初の国賓としてトランプ大統領を招待した。トランプ大統領といえば、はっきり言って、世界でも最も品位に欠けたリーダーの一人だろう。なぜそんなことをするかと言うと、日米通商交渉で手加減してもらうためだ。7月の参議院選前にトランプ大統領から強硬な要求を突き付けられたら選挙に影響する。だから、それを回避するために、天皇陛下を利用して、トランプ大統領のご機嫌を取ろうという魂胆なのだ。 そんな理由で招かれていることを天皇陛下はよくご存じだろう。国民のためを思えば、トランプ大統領の機嫌を損ねてはいけないとお気遣いになるのではないか。そんなことをお考えになりながら、天皇陛下がトランプ大統領と笑顔で握手をされるなどということを想像しただけでも、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。安倍総理に言いたい。いい加減、天皇陛下の政治利用はやめていただきたい。(文/古賀茂明)
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