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2019年4月5日 The Wall Street Journal
不安出ずる国、日本の消費増税
安倍首相
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日本は、経済成長の鈍化に直面する世界の多くの国々の仲間入りをしつつある。しかし、ある点において日本は異彩を放つ。安倍晋三首相は年内に消費税率を引き上げ、景気を悪化させると固く心に決めているように見えるのだ。
日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、警戒感を助長する内容だった。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・製造業でプラス12となり、昨年12月の19から悪化。7ポイントの悪化は2013年以降で最大となった。中小企業の業況判断も同様に暗くなった。これより先に発表された2月の小売売上高と鉱工業生産もさえない内容だ。鉱工業生産指数は1月までは数カ月連続で低下していた。2018年の国内総生産(GDP)成長率はかろうじて0.8%増となったが、今年は同様の水準を達成するのも難しいかもしれない。
アジア経済を巻き込んでいる米中貿易戦争を含め、外圧は日本の助けになっていない。輸出依存型の日本経済は依然として、欧州や中国の経済減速の影響を受けやすい。
加えて、国内問題もある。安倍首相の経済再生計画「アベノミクス」は8年目に入るが、いまだに完全には実施されていない。財政支出の増加や異次元金融緩和は行われたがが、アベノミクス「第3の矢」だったはずの政策改革は全く始まっていない。これが投資と生産性の伸びを圧迫している。
安倍首相は、今年10月に消費税率を現行8%から10%に引き上げることで日本経済に大打撃をもたらそうとしている。企業も家計も、かつての経験から消費増税がどんな結果を生むか知っている。1997年以降、政府が消費税率を引き上げるたびに景気低迷、あるいは景気後退が到来した。安倍首相は2014年の消費増税(5%から8%)で経済が停滞した後、さらなる引き上げを延期した。しかし、財政規律強化を求める財務省は安倍氏に対し、財政赤字および政府債務の削減のための増税でプレッシャーをかけている。どういうわけか、増税後も債務は増え続けている。景況感指数が悪化するのも無理はない。
日本はこれまで、毎年のようにケインズ主義的な財政支出やマイナス金利など金融政策の力で景気停滞からの脱却を目指してきた。しかし、思うような効果はあげられていない。世界の経済成長が加速し、米国発の貿易摩擦が緩和すれば、日本を後押しするかもしれない。しかし、安倍首相の増税は自分で自分の首を絞めることになるだろう。
(The Wall Street Journal)
https://diamond.jp/articles/-/198929?
2019年4月5日 塚崎公義 :久留米大学商学部教授
日銀短観が大幅に悪化しても景気が大丈夫な理由
日銀短観の業況判断DIが大幅に悪化した。鉱工業生産指数が減り、景気動向指数が悪化していたため、短観の悪化は予想されていた通りであったといえよう。“景気弱気派”が見ると景気後退の気配が濃厚なようだが、“景気強気派”の筆者はいまだに景気は後退しないと考えている。その理由を説明したい。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)
まず押さえるべきは
景気は自分で方向を変えないこと
まず、押さえておくべきことは、「景気は自分では方向を変えない」ということだ。景気が拡大すると生産が増え、それに伴って雇用が増え、雇われた人が給料を受け取って物(財およびサービス)を買うので、一層物が売れるようになる。
景気拡大で企業の生産が増え、利益が拡大すると、設備投資が増えることも見込まれる。企業の設備投資意欲が強まることに加え、銀行の融資姿勢も借り手企業の利益が増えれば積極化するからである。
今回の局面では労働力不足が深刻化しつつあり、これが企業の省力化投資を活発化させていることが、景気の自律的な拡大を持続させる力として働いているもようだ。
したがって、景気が後退するとすれば、何らかの力が外から働く場合となるが、国内を見渡す限り、景気を後退させるような力が働いているとは思われない。
消費税がどの程度の影響を及ぼすかについては不明だが、増税幅が前回(5%→8%)より小さいこと、またさまざまな景気対策が講じられていることなどを考えると、これも景気を後退させるとは考えにくい。
中国要因による一時的な生産の
落ち込みは短期間で回復へ
足元の景気指標や景況感の悪化の主因は、中国の景気の落ち込みだ。中国は昨年、過剰債務問題への対応として「景気が多少悪化してもいいから問題を解決する」という方針で走り始めた。そのタイミングで“米中貿易戦争”が本格化したためダブルパンチとなり、景気が急激に悪化してしまった。
それが、日本の対中国輸出を急激に減らしたのみならず、日本企業の景況感を悪化させたり生産活動を慎重化させたりしているのだ。
しかし、中国政府の景気コントロール力は凄(すさ)まじいものがある。なんといっても、リーマンショックのときに世界で唯一、景気が悪化しなかった国が中国なのだ。今回も、政府は景気刺激策にかじを切ったようなので、短期間で景気は回復するだろう。実際、その兆候は既に現れているようだ。
中国の景気が回復に向かえば、日本の輸出も回復するだろうし、企業の「在庫圧縮のための減産」も終わって、「減った在庫の回復のための増産」が始まるかもしれない。いずれにしろ、日本の生産も輸出も「一過性の落ち込みだった」ということになりそうだ。
日本の景気が落ち込みにくく
なっていることが重要
バブル崩壊後の長期低迷期、日本経済は需要不足に悩み、景気回復を輸出に頼り続けてきた。だからこそ、外国の不況で輸出が落ち込むと、国内の景気もあっけなく後退してしまうのだ。
しかし、少子高齢化で状況は変化してきた。「高齢者の消費は安定しているので、高齢化は景気の波を小さくする」「少子高齢化による労働力不足で、失業が増えにくくなった」という大きな変化が起きているからだ。
高齢者は年金で暮らしていて、不足分は預貯金を取り崩しているが、いずれも景気に影響されないので、高齢者の消費は景気にかかわらず安定している。ということは、高齢者向けの物を提供している現役世代労働者の所得も消費も安定しているということだ。消費者に占める高齢者の比率が増えることは、景気を安定させるダブルの効果があるのだ。
さらに重要なのは、失業者が増えにくくなったことだ。少子高齢化で現役世代が減り、少ない生産物を多くの消費者が取り合うようになったため、現役世代の労働力が不足するようになったというわけだが、それだけではない。
高齢者の消費は、医療や介護といった労働集約的なものが多いので、高齢化が進むと同じ消費額でも労働力不足を招きやすいのだ。
これを象徴的に表しているのが、リーマンショック時の失業率だ。ITバブル崩壊時よりもはるかに大きな景気の落ち込みであったにもかかわらず、失業率はITバブル崩壊時と同程度の水準までしか上がらなかったのだ。
従来であれば、「景気の落ち込みによって失業が増え、失業者が所得を失って消費を減らす」という悪循環に陥っていたのだが、そうした悪循環が生じにくくなっているのだ。
今回の中国経済の落ち込みは、リーマンショックとは比べものにならないほど小さなインパクトであろうし、加えて当時よりも少子高齢化が進んでいることに伴って、日本経済は失業が生じにくい体質になっているわけだから、製造業で多少の失業が生じたとしても、容易にサービス業が吸収するだろう。
そうなれば、「失業者が消費をしないから景気が一層悪化する」という悪循環には陥らないわけで、景気は後退せずに終わるか、仮に後退したとしても短期で軽微な落ち込みにとどまるだろう。
日銀短観も業況判断以外は
それほど悪くない
日銀短観の中にも、強気の材料は少なくない。労働力不足であり、企業経営者は設備が足りないと感じており、加えて「国内での製商品・サービス需給判断」がバブル期に近い水準となっている。
こうした事態を考えれば、仮に一部輸出企業で設備投資や雇用が落ち込んだとしても、他の業種が十分にその落ち込みをカバーする。となれば、景気の先行きを過度に懸念する必要はなさそうだ。
もちろん、中国の景気が今後も大幅な悪化を続ける可能性は消えたわけではないし、米国で金融機関の与信姿勢の緩みから、不良債権問題が深刻化する可能性を指摘する声も少なくない。
そうしたリスクシナリオはしっかり頭の中に入れておく必要はあろうが(拙稿「今年の日本経済、海外にリスク要因あるが過度な心配は不要な理由」参照)、メーンシナリオとしては強気を続けて構わないと思われる(拙稿「2019年の日本経済、戦後最長の景気拡大がまだ続くと考える理由」参照)。
もしも3月と4月の輸出と生産が悪かったら、上記のシナリオを再検討する必要がありそうだが、今の段階で筆者の強気の景気判断を変更する必要はなさそうだ。
https://diamond.jp/articles/-/198879
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