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「令和」はツッコミどころ満載、日本政府は“想像力”が足りない
https://diamond.jp/articles/-/198757
2019.4.4 窪田順生:ノンフィクションライター ダイヤモンド・オンライン
「命令」の「令」は最悪、戦時中の「召集令」や「動員令」を連想されかねない。今の日本を取り巻く環境を考えると、この文字を元号に使うリスクは大きい Photo:AP/AFLO
新元号「令和」が発表され、お祝いムードに沸く中、海外メディアからは「日本の右傾化を表している」と言われ、国内からも「命令に従って和めという安倍独裁だ」との声が上がっている。新元号にはそのような意図はないのかもしれない。しかし、「命令」「司令」の「令」の字を使うことがどのような連想を生むのかを、日本政府は事前に想像できていただろうか。(ノンフィクションライター 窪田順生)
海外メディア、反安倍…
「令和」にイチャモンをつける人々
新元号で日本中がお祝いムード一色のなか、そこに水を差すようなイチャモンをつけてくる人たちが次々と現れている。
まず、ケチをつけたのは一部の海外メディアだ。「中国の書ではなく、日本の書を使うという判断は、日本が右傾化しているからだ」と言い出したかと思えば、お隣・中国からも、「中国人には”平和がゼロ”に聞こえる。縁起が悪すぎる」なんて、これまたネト…ではなく愛国心溢れる方たちが発狂しそうな批判を展開した。
ただ、これくらいなら、「日本は日本!よその国が口出すな!」で済まされるが、問題は新元号発表から日が経つにつれ、国内でもイチャモンが増えてきていることだ。
世の中で起きていることのほぼ9割くらいは安倍首相が悪いからだと考える、いわゆる「反安倍」の方たちからは、「命令に従って和めということで、安倍政権の独裁が始まった証拠だ」なんて声が上がっており、また一つ、批判の材料が増えた感じである。
という話を聞くと、「国が決めたことがそんなに気に食わないなら、今すぐに日本から出ていけ!」「天皇に対しても失礼!時代が時代なら不敬罪だ!」と怒りのあまり、今すぐこういう人たちの横っ面を張り倒したくなる、という方もいるだろう。「こういう低脳左翼がいるから、いつまでたっても日本は新しい時代になれないのだ」と、さらに激しい反安倍への憎悪が芽生えた、という方も少なくないかもしれない。
個人的には元号にそこまで強い思い入れもないし、「令和」と決まったのならばゴチャゴチャ言わず、黙って受け入れればいいのではと思う。「令和」でも「万和」でも「英弘」でも、我々庶民の生活は何も変わらない。こんなことで騒ぐより、もっと国民的議論をしなくていけないテーマは山ほどあるはずだ。
ただ、その一方で、「危機管理」ということを生業としている者からすると、今回の新元号イチャモン騒動はかなり興味深い。日本政府の危機管理における致命的な問題点をあぶり出している可能性があるからだ。
それは一言で言うと、「想像力の欠如」である。
日本政府は危機回避のための
「想像力」を働かせたか?
企業、大学、役所、そして公的機関の報道対策アドバイザーを十数年務めてきて身にしみて痛感するのは、つくづく「危機管理」で重要なのは「想像力」だということだ。
炎上している局面では、その場しのぎの対応をすれば世間から袋叩きにされるし、不正を公表しないでクサいものに蓋をすると後でもっと大変な事態になる…などなど、経営者でも高級官僚でもみな頭ではよくわかっている。わかっているが、「危機」が起きると、その場しのぎの言い逃れをして、クサイものに蓋という対応をとってしまう。世間からボコボコに叩かれるような事態が、自分の身にも起こるかも、という想像力が働かず、「俺は大丈夫」と根拠のない自信を抱くからだ。
自分自身の仕事を振り返っても、やってきたことの要諦は、いかに経営トップなどに「最悪を想像してもらうか」ということである。
メディアや顧客など、組織外からこういう批判が来るかもしれないなど、最悪のシナリオを提示して、無駄な対立や衝突を避けるような「安全策」を考えていく。模擬記者会見で実際に登壇して、厳しい追及に対応をしてもらうことで、いかに自分たちがご都合主義的な説明をしているかということに気づいてもらう。
すべては「想像力」を働かせてもらうことを目的としたものだ。
こういうことを日常業務としてやってきた人間からすると、「令和」という新元号を検討する際に、政府内部で、いったいどのような「想像力」が働いたのか、ということは非常に気に掛かる。
例えば、本稿の冒頭でいくつか紹介した「令和」へのイチャモンについては、政府内の危機管理を担当する人たちはどれほど予見して、どのような対応を取ろうとしていたのか。
新元号発表直後、アナウンサーが「命令の令に、昭和の和です」と文字を説明したことからもわかるように、ほとんどの日本人は「令」という文字から、「命令」「辞令」「司令」など連想する。
もちろん、広い世の中なので、「令月の令ね。いやあ、これはめでたい文字を使ったね」というリアクションの方もいらっしゃったかもしれないが、大多数は「上」から押し付けられるようなイメージを抱いたはずである。
実際、歴史学者で東京大学史料編纂所の本郷和人教授も、《「普通に使うと使役表現となり、中世の人に読ませると『人に命令して仲良くさせる』となる」(Abema TIMES 4月3日)と述べている。
召集令、動員令…
「令和」から連想されるもの
こういう高圧的なイメージだけでもリスキーなのに、「最悪」を想定すれば、「令」はさらにネガティブなイメージと結びつけることが容易にできてしまうのだ。
過去を振り返ると、日本政府は国民が苦しくなればなるほど、お上からの「令」を笑顔で受け取って団結しなくてはならぬ、と呼びかけてきたという動かしがたい事実がある。例えば、戦時中のスローガンがわかりやすい。
「笑顔で受取る 召集令」
「翼賛は 戸毎に下る 動員令」
苦しい時こそみんなで「命令」に従え。従うものに平和が訪れる。つまり、「令和」という言葉の響きは、戦前、戦中の国民統制を連想させてしまう恐れがあるのだ。そういうリスキーな元号を、これまた「一億総活躍」なんて戦時スローガンを思わせる掛け声を好んで使い、事あるごとに右傾だ、国粋主義だと言われる首相が掲げるわけだ。
もし筆者が、政府の危機管理を担当する人間ならば、「令和」には間違いなく強固に反対をした。「デメリット」が大きすぎるからだ。
ご存じのように、辺野古では基地を巡って県と政府でバチバチのバトルが続いている。原発再稼働問題もしかりだが、最終的には、どちらも日本政府による「命令」を受けた公的機関が力づくで押し切っていくはずだ。
東アジアに目を移せば、韓国の「徴用工」と「従軍慰安婦」、中国の「南京大虐殺」などなど、日本にはことあるごとに「戦争犯罪」カードをちらつかせるのがお約束となっている国がある。そういうパブリックイメージを国際社会で触れ回りたい人たちからすれば、戦前の国民統制を思わせる元号を掲げた政府は、カモネギどころか、獲物が自分で調味料をかけて歩いているくらい、ありがたい話だ。
また、この春からは「外国人労働者」が「人手不足」業界にやってくる。
日本人でも嫌がる低賃金・過重労働なので、どこかの留学生のようにサクサクと所在不明になっていくのは目に見えている。そうなると、国は「不法滞在外国人」をこれまで以上に厳しく監視、取り締まりをしなくてはいけない。
ブラック企業で働かされました、雇い主からセクハラやパワハラを受けましたと騒ぐ外国人に対しては、「ひどい不良外国人だ」とサクサクと国外退去にしていかなくては、国の威信に関わるからだ。
なぜ6案の中で一番ケチが
つきそうな元号を選んだのか
そうなると、遅かれ早かれ、日本は外国人に対してあまりに冷たいのではという情報戦が仕掛けられる。「命令に笑って従え」という元号を掲げる国が、弱い立場の外国人にパワハラしてます、なんてニュースは、「ニューヨーク・タイムズ」あたりは嬉しそうに報じるはずだ。
要するに、今の日本の状況や、取り巻く国際環境に鑑みると、「令」という文字を年号に使うことは政府批判、日本批判の材料になるのは目に見えていたはずだ、ということを申し上げたいのである。
断っておくが、「令和」をディスるつもりは全くないし、安倍首相はヒトラーだとか、軍靴の音が聞こえるとか大騒ぎしたいわけでもない。「危機管理」ということを民間企業よりシビアに求められる日本政府が、これらのリスクに対してどこまで「想像力」を働かせていたのか、ということを指摘したいだけだ。
左翼や安倍ガーはなんでも批判をする、というが、「万和」や「英弘」であれば、少なくとも今のような方向性の言いがかりはなかったはずだ。実際、前出・本郷教授も6つの最終案の中で「『令和』以外の5つはケチのつけようがない」(同上)と述べている。
そこで気になるのは、なぜツッコミどころ満載の「令和」が選ばれたのかということだ。
一番ありそうなのが、先ほど申し上げた「想像力の欠如」だ。筆者もこれまでこの仕事をしてきて感じるのは、高学歴で頭脳明晰、素晴らしいキャリアをお持ちの方も、自身の組織を客観的に見ることは、極めて難しいということだ。
筆者のように組織外の人間が、「それは叩かれますよ」と提言をして、ようやく気づく。それまでは、自分たちが叩かれるとか、世間の反感を買うような対応をしているなど夢にも思わないことが多いのである。
そのような意味では、政府の中枢で、日本を舵取りをする立派な方たちであっても、つい内部理論に囚われて、「令和」という元号が国民や世界にどういう印象を与えるのかというところまで、想像力を働かせることができなかった、という可能性はなくはない。
トップダウンの改革を
元号で暗示しているのか?
もちろん、「お前が言っていることなど政府はすべて想定内だ。おかしなイチャモンなど大したことがないと判断したんだろ」という意見も多いだろう。筆者もそう信じたい。
だが、もしそうだとすると、なおさら「令和」という言葉により深い意味を見いださざるを得ない。
リスクを織り込み済みであえてこの元号にしたのだったら、「令和」にしなければいけない「国の事情」があったということだ。そう考えると、新元号発表後の安倍首相のスピーチの中に気になるくだりがあった。
「急速な少子高齢化が進み、世界がものすごいスピードで変化をしていく中で、変わるべきは変わっていかなければなりません。(中略)かつては何年もかけてやっと実現するレベルの改革が、近年は国民的な理解の下、着実に行われるようになってきたという印象を持っています。そうした中で、次の世代、次代を担う若者たちが、それぞれの夢や希望に向かって頑張っていける社会、一億総活躍社会をつくり上げることができれば、日本の未来は明るいと、そう確信しています」(首相官邸ホームページより)
ご存じのように、安倍政権になってから、日本は何年もかけてやっていた改革が進んでいる。モリカケで騒ぎになった岩盤規制に穴が開き、十数年塩漬けだったカジノも解禁され、選挙的にはタブーとされた禁煙規制も進められ、企業に配慮してきた労働基準法の大改革も進められた。
要するに、国がトップダウンで「命令」をして変化を促す局面が増えてきているのだ。
安倍政権の批判をしているわけではない。これから産業界が必死に抵抗をしていくであろう最低賃金の引き上げを始め、これまでの政治家が「票田」に配慮をして何十年も先送りにしてきた問題に、新しい日本の舵取りをする人々は容赦なくズバズバと手を突っ込んでいかなければいけなくなる。
そういうことをすれば、独裁者のそしりを受けるし、弱者を守れという抵抗にも遭う。しかし、やらなければいけない。その決意から、どうしても「令」の文字にこだわった、というのなら納得である。
いずれにせよ、「令和」に込めたという「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」というのは、どうにも強引というか、後付け感があるのは否めない。
「これからの日本は凄まじい変化があるけど、それを乗り越えないことには明るい未来はありませんよ。それを皆さん覚悟して、甘っちょろいことは言わないでね」という思いを「令和」という文字に込めた、と言ってくれた方が、よほどストンと腹に落ちる。
「令和」が、これまで通りにやっていれば、日本人は皆ハッピーという穏やかな時代ではないことだけは確かなのではないか。
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— 上西充子 (@mu0283) 2019年4月4日
「苦しい時こそみんなで「命令」に従え。従うものに平和が訪れる。つまり、「令和」という言葉の響きは、戦前、戦中の国民統制を連想させてしまう恐れがあるのだ」
ほとんどの日本人は「令」という文字から「命令」「辞令」「司令」など連想する
— ワタナベイビーಠ▃ಠ (@watanabpm) 2019年4月4日
戦時中のスローガン
「笑顔で受取る 召集令」
「翼賛は 戸毎に下る 動員令」
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【よいものを選び出す力が弱かったということか?】「もし筆者が、政府の危機管理を担当する人間ならば、「令和」には間違いなく強固に反対をした。「デメリット」が大きすぎるからだ。」 https://t.co/nDzmjODQzY
— 島薗進 (@Shimazono) 2019年4月3日
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— iroha (@sakuramame3) 2019年4月4日
想像力の欠如だけじゃなく甘い時代にさせないよという首相の宣戦布告なのかも
危機管理の欠如というより確信犯だと思う。押し込めばなんでもできるという妙な自信のようなものに裏づけされているのではないか。廣田先生ではないが「あぶない、あぶない」
— へぼカンナ (@in_the_shade) 2019年4月4日
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