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NHK、森友問題を追及する野党が間違っているかのように報道…共謀事業者の反論を根拠に
https://biz-journal.jp/2019/03/post_27176.html
2019.03.21 文=青木泰/環境ジャーナリスト Business Journal
上田良一NHK会長(写真:日刊現代/アフロ)
2月4日にNHKが「森友学園問題 立民・共産の議員の発言に工事業者反論」と報じた内容が、政治的公正性を欠いたものであったことは、すでに当サイトでお伝えした。その後も3月1日、労働統計の不正データ操作をめぐり、立憲民主党や無所属クラブ他の野党を代表して小川淳也衆院議員が、国会で根本匠厚労相の不信任決議案の主旨説明を行ったが、NHKはその主旨説明の内容をほとんど伝えず、まるで小川議員がコップの水を飲んでばかりいるように編集して報道した。インターネット上でも、NHKの悪意ある報道に批判が集まっている。
NHKは昨年、森友問題でスクープを連発した相澤冬樹記者を現場から外すことによって、同記者を退職においやった。これらの問題に共通するのは、NHKが現政権に批判的な報道を抑え、批判する者を中傷するという不公正な対応である。NHKはいつから安倍政権の広報機関になったのか。放送法からも逸脱した姿勢に、すでに市民団体「森友ごみ問題を考える会」は、2月4日の報道に対して、放送法に基づき訂正報道と謝罪を求めた苦情(処理)を提出する準備をしている。本報告では、引き続き森友問題とそのNHK報道問題を取り上げたい。
■衆議院委員会で、国は偽装の事実を初めて認める
21枚試掘写真資料のNO7とNO11は、もともと同じ写真。NO7の一部を拡大加工したのがNO11
筆者は当サイトで前回、森友問題をめぐりNHKが、工事業者(藤原工業株式会社)が国土交通省への回答書で写真偽装の事実を認めたという重大事実を報じず、さらに藤原工業が土壌改良工事を行い大量のごみを掘削したということが虚偽だったことを指摘した。2月27日に開催された衆議院財務金融委員会で立憲民主党の川内博史議員は、国交省の担当職員にその写真偽装問題で、「(試掘写真の)7番、10番、11番の写真は、(別の試掘穴と記載されているが)同じ試掘穴ではないか?」と質問し、国交省職員は「これら3枚の写真は、同一の試掘穴の写真と思われます」と答弁した。
写真NO7の一部を拡大して、写真NO10やNO11というまったく別の試掘穴のように見せる加工を行っていた。映像専門家によると、藤原工業が言うように、何枚か写っていた写真を取り間違えたというものではなく、面倒な加工を行い、別の写真であるように見せかけていた。明らかに意識的な加工、写真偽装が行われていた。業者に続き、国も国会で初めて認めたのである。
「8億2000万円の値引きの唯一の根拠文書」(川内議員)である写真資料の偽装を国が国会で認めた意味は大きい。偽装内容が含まれている資料は証拠としての価値を持たず、8億円の値引きの唯一の根拠がなくなったということができる。写真偽装を国が認めることにより、森友問題の核心点である8億円値引きの根拠がなかったことが、公の事実になりつつあるといえる。
そこで果たした野党の役割は、賞賛されるべきだが、NHKは賞賛するどころか、反対に180度異なるかたちで報道した。「野党議員の発言に」「工事業者が反論した」として、あたかも野党議員が間違いを犯したかのように報道したのである。工事業者の発言の真偽を確かめることもなく、また森友問題の利権への関わりを検証することなく、まるで工事業者が公平な発言をしたかのように、野党批判の材料として使ったのである。
■NHKの偏った報道
NHKは「森友学園問題 立民・共産の議員の発言に工事業者反論」と報じたが(※1)、この工事業者である藤原工業が写真偽装を行ったことを、国交省は国会で認めた。野党の主張をきちんと報道することなく、逆に野党に追いつめられ事実を語り始めた工事業者の主張を取り上げ、野党批判を行ったのである。
ちなみに3月6日、森友学園元理事長の籠池泰典氏が逮捕された補助金詐欺事件の初公判が行われたが、1年前の17年8月には明らかになっていた起訴状には藤原工業が共謀者として記載されていた。NHKの報道では、依拠した工事業者についてのそのような注釈説明も省かれていた。
放送法がその目的として掲げている「放送の不偏不党、真実及び自律を保障する」放送事業者は、『政治的に公平であること』『報道は事実を曲げないですること』『意見が対立している問題については、できるだけ、多くの角度から論点を明らかにすること』のいずれにも反しているといえよう。
野党は、写真偽装問題を1年6カ月にわたって追及してきた。示されている複数の掘削穴は、同じ穴だと誰が見てもわかる(当サイト前報告の写真2参照)。国はその事実を認めれば、なぜそのような偽装を行ったのかを答えなければならない。そこでまず写真の撮影と、資料作成を民間掘削業者が行ったことにし、回答を引き延ばし、責任を業者のせいとした。
財務省の決裁文書や国交省の有印公文書として作成された公文書の偽装を問われ、その写真を撮影して文書を作成した民間業者に問い合わせるなどという釈明は、本来は通用しない。行政文書の作成の責任は役所にあり、偽装写真を使って説明した責任は当該省庁にある。それを民間業者のせいにするなど恐るべき退廃という事ができる。
掘削当日には、近畿財務局から4名もの職員が立ち会い、掘削を視察したという記録が残っていたが、あくまで業者が撮影して資料を作成したことにしていた。しかし、その作成したとされる業者が、今年1月17日の野党による聞き取りに対して、同一写真をいくつかの写真に装う写真偽装を認めたのである。
NHKは、藤原工業の回答書に書かれたこの重大事実を報道せず、同じ回答文書(※2)の「私(=藤原工業社長)の発言内容の一部のみを(野党議員)に引用されて、都合よく合体し、まったく異なった内容となっている」と書かれた部分に依拠し、工事業者が反論と報道したのである。その回答書では、「(掘削穴の)深さは意識しなかった」「従業員がいい加減に作った」と報道されているが「正確ではない」とし、「資料作成の時には」「深さは意識し」「作成した」などと書かれている。
しかし、藤原工業の説明に立ち会った野党議員によれば、深さを意識したり、資料はミスなく作成したという話は、説明会の時には説明されず、回答書で初めて記載されていたという。つまり「発言内容の一部のみ」「引用」し、「まったく異なった内容としている」という事実はなかったのである。
そもそも、森友学園の試掘作業が行われていた2016年の前年、15年7月から11月にかけては、森友学園から工事を請負った中道組株式会社が土壌改良工事を行い、除染に加え、3mより浅い部分の埋設ごみを撤去していた。その撤去量は、約953トンと産廃マニフェストでも報告され、その代金1億3000万円の支払いは国が約束していた。
そのため、埋設ごみは3m以深(=より深い)から掘り出された「新たな埋設ごみ」であるかが問われていた。もし3mより浅いところから出た埋設ごみを理由に国が代金を支払ったり、値引きすれば、中道組(株)への支払いに加え、二重払いとなり、会計検査院からチェックを受けることになった。回答書に書かれた「深さを意識する」というのは、埋設ごみが3m以深の位置にあることを示す必要があったということである。
藤原工業は、回答書では、「資料作成の時には」「深さは意識し」「作成した」と回答しているが、実際に試掘写真資料で撮影された写真を見ると、試掘穴の深さを示すメジャーの数値をみても、3mを超えるものはない。メジャーは、白、黄、白と1mごとに色を変え、一目で長さがわかるものであった。写真資料を見る限り、「深さを意識し」3m以深であることを確認し、作成はしていなかった。
「21枚写真資料」の写真NO1〜NO3の説明書きでは、穴の深さ「−4000」と書かれており、写真NO3の「工事掲示板」の「深さは3m」とは矛盾している。
また21枚写真資料の「説明」を見ても、写真NO1〜NO3の3枚を除き、すべて穴の深さは1〜3mまでの深さであった。試掘穴は全部で8カ所あり、それぞれの穴ごとに複数枚の写真が撮られ、その数は写真NO1からNO21まであった。資料は、ページごとに写真とそれを説明する「説明」の部分に分かれ、写真NO1〜NO3は、同じ「試掘穴1」を撮ったものであり、説明書きには穴の深さが「4m(−4000)」と記載されていたが、撮影写真(写真NO3)に示された工事写真の掲示板には「深さ3m」と大きく表記されていた(写真3参照)
21枚写真資料の「写真」では、3m以深のものはないのに、説明書きには1カ所だけ4mと書かれているという矛盾について、国会での議員の質問に対し、国交省は写真の掲示板の「深さ3m」という記載は、未経験な社員が行ったミスだと説明している。しかし、写真やそこに写された掲示板は、その時の工事の様子を示すものであり、掲示板に記載されている日時や場所、工事内容、施工業者名などは、工事実績を示す根拠となる。写真に撮影されていることと違った内容を記載し、その証拠を示すことなく写真に写っていたほうが間違いだという説明は、日本国内のみならず、世界でも通用しない非常識である。
つまり、藤原工業社長の「資料作成の時には」「深さは意識し」「作成した」という回答書での発言は、虚偽の説明であるということができる。この藤原工業の社長の「(野党は)私の発言の一部のみを取り上げて」いるという発言に基づき、NHK報道したことは、明らかに真実を歪めている。
本報告でも見たように、2月27日の国会での川内博史衆議院議員の質問によって、国(国交省)は写真偽装が行われていたことを国会で初めて認めた。国が8億円の値引きの根拠としていた写真資料の偽装を認めたという事実は、森友問題の核心点の後戻りできないゲートが開かれた瞬間である。
森友問題の解決に大きく踏み出したこの写真偽装問題で、NHKがその追及を進める野党を根拠のない中傷で攻撃した。「ペンは剣よりも強し」という言葉があるが、ペンの力で権力や武力に対抗するというのが、報道機関やジャーナリストの役割である。しかしNHKによる野党への根拠を欠いた中傷報道は、そのペンを使って権力に立ち向かおうとする者を落とし込める攻撃であるといえる。放送テロともいえる許されない蛮行であり、反省を求めるものである。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト)
※1:NHK「森友学園問題 立民・共産の議員の発言に工事業者反論」報道の内容(以下、引用)
<森友学園への国有地売却をめぐり、立憲民主党と共産党の議員が、現場を試掘して報告書を作成した工事業者から説明を受けたあとに発言した内容について、工事業者は「正確に引用されておらず、まったく異なる意味内容となっている」などと反論しました。森友学園への国有地売却をめぐって、立憲民主党と共産党の国会議員は先月、ごみが埋まっていた現場を試掘し、報告書を作成した工事業者から説明を受けました。そして、説明を聞いた両党の議員は、野党側のヒアリングで、「工事業者は『報告書は若い社員がいいかげんに作ったもので、深さを意識してつくったものではない』などと話していた」と述べました。これに関連して、工事業者が参議院予算委員会の理事懇談会の求めに応じて弁護士を通じて回答した資料が4日、提出され、この中で工事業者は「私の説明した発言内容が正確に引用されておらず、発言の一部のみを引用し、都合よく発言内容を合体したため、まったく異なる意味内容となっている」などと反論しました>
※2:2019年(平成31年)1月30日、ごみの試掘業者から、国土交通省大阪航空局 航空部 補償課長 平田良二氏宛の回答文書で、参議院予算委員会理事懇談会に2月4日に提出、発表されたものである。
日本n病巣、NHK政治部。
— 富田夢助 (@poet_aq) 2019年3月21日
NHK、森友問題を追及する野党が間違っているかのように報道…共謀事業者の反論を根拠に https://t.co/dYwbOghSVh @biz_journalさんから
これもあの小池報道局長の指示なんですかね。罪深いったらないよ。これぞ決定的だと思う試掘写真の偽装があまり大きな話題になってないものね→NHK、森友問題を追及する野党が間違っているかのように報道…共謀事業者の反論を根拠に https://t.co/s0ZR524PAr
— めぐみっくす (@megumix1972) 2019年3月21日
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