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混乱必至の愚策「キャッシュレス決済還元」の問題点
小手先のバラマキ政策で何が起きるのか?
2019.3.6(水) 森 一造
このままいけば、今年(2019年)の10月から消費税が現在の8%から10%に引き上げられる“予定”だ。その際に5%または2%をポイントで還元する施策が打ち出される可能性が高まっている。このあたりはニュースでも報じられているから読者もよくご存知だろう。
しかしこれが流通業をはじめ産業界に大きな混乱をもたらしている。軽減税率も愚策だが、ポイント還元はそれに輪をかけた愚策である。
「中小」かどうかをどこで線引きするのか
政府が打ち出しているのは、中小の店舗で買い物をした際、クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレスで支払った消費者に、買い物で使えるポイントを提供するというものだ。ポイント分は政府が補助する。期間は来年10月1日の消費税率引き上げ後から9カ月間。
ここでまず問題になるのは、ポイントの還元率の決め方だ。「中小の小売店などでは5%、大手系列のチェーン店などでは2%」とされているが、そもそも「中小」という区分をどこで線引きするのか。
現状、「中小」を規定する法律は中小企業基本法しかない。そこには小売業だと「資本の額又は出資の総額が5000万円以下の会社または常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人」と規定してある。しかし、スーパーマーケットでも、資本金5000万円以下で年商1000億円以上売っているチェーンが6社あるという。ヨドバシカメラも資本金5000万円以下で5000億円売っている。一部では年商100億円で線引きしようという意見もあるようだが、それでも混乱は免れないだろう。
規模の大小にかかわらず、小売店は市町村区において個店同士で戦っている。どんな基準であれ、こういう杓子定規な線引きをすること自体、資本主義の原則である公平な競争ということからあまりにかけ離れていると言わざるを得ない。
ポイントのばらまきはデフレ政策
なぜこんな話が突如出てきたのかといえば、経済産業省の割り込みだ。
経産省としては、消費増税というタイミングを利用してキャッシュレス社会を推進しようという目論見がある。その目論見に、政権が乗った。政権は消費税増税に合わせて軽減税率を導入するが、それだけでは景気が沈滞する恐れがあるからだ。こちらは、増税で景気が低迷したという批判をかわそうという姑息な判断である。
しかしこのバラマキ政策は確実に失敗するだろう。
ポイントをばらまくのは一見インフレ政策に映る。しかし、明らかにデフレ政策なのだ。ポイントの還元率に差をつけるのは中小の小売を保護するための施策に映るが、3%の差となれば大企業は値下げで対抗するしかない。そんなことになれば、小売だけでなくメーカーから問屋にまで影響を及ぼすだろう。
キャッシュレス化は市場原理に任せよ
このように、政府が行おうとしているのは、国民の税金を何千億もばらまいてデフレをもたらすという、愚策の中の愚策であるとしか言いようがない。
公明党の支持母体である創価学会に配慮したとされる軽減税率にしても、軽減対象の線はどこで引いたところで不公平が残る愚策だが、その愚策が新たな愚策を呼んだ形になった。宅配の新聞が軽減税率の対象になったのも笑止千万だ。
キャッシュレス化は社会の趨勢である。止めようとしても止められないし、無理に進めようとしても進められるものではない。適度に規制を緩めて放っておけば、市場原理が働いて最適化されていく。政府があれこれ手を出し口を出して進めるべきものではない。
これ幸いと消費増税の機に便乗した経産省も、ポイント還元による何千億円の血税のバラマキでキャッシュレス化を進めようなどとは、二線級の発想もいいところである。そこには国家百年の計という観点がまったくない。霞が関はここまで軽薄になってしまったのかと嘆きたくもなる。
個別に各論を言えばきりがないが、ここ最近の安倍政権の規制緩和については総論として評価してきた。しかし時折こんな愚策が混じる。それがこの政権を心底から信頼しきれない理由かもしれない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55614
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