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「幸せの国」ブータンで発見した「不幸せの国」日本との差 ここがおかしい 小林節が斬る!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/248703
2019/03/05 日刊ゲンダイ 若い頃からの勉強仲間であるペマ・ギャルポ拓大教授のご案内で、ヒマラヤの裾野にあるブータン王国を訪ねる機会を得た。 かの国は、経済的にはまるで昭和30(1955)年の日本に戻ったような状況であったが、それでいて、現地の人々は今の生活に満足しているようであったし、第三者機関が行った調査でもそのような結果が出ている。 まさに「足るを知る」人々である。 そこで、少し調べてみたら、納得できる理由がいくつか見つかった。 第一に、国策として、貧富の差をつくらないように努力している。確かに貧富の差が広がりすぎると、そこには、競争心、嫉妬、差別などの感情が生まれ、人心は荒むものであろう。 第二に、国策として「良き統治」を掲げている。これは政治に徳を求めることで、力ずくの自由と民主主義の国から来た私には正直驚きであったが、仏教国ブータンでは本気で政治に徳を追求している。人口70万人の国で、国王自身が3500人の孤児の里親になり養っている。 第三に、政治家が権力的な存在になっておらず、総選挙のたびに政権交代が起きている。 だからだろうが、大臣や高級官僚に会ってみても、ひとりも「権力者面」をした者がいない。長時間、同席していても、皆、聡明な好人物であった。 その点でわが国はどうであろうか。 第一に、新自由主義という弱肉強食政策の結果、経済的格差が広がり、明らかに人心は荒んでいる。 第二に、明らかに、権力者と親しいか否かで権力の対応が異なる政治・行政執行が行われているようにみえる。モリ・カケ問題でもそれがばれてしまった。しかも、政府の統計が粉飾されている国で政治が信用されるはずもない。 第三に、選挙制度と自公の団結により、国民の25%の固定票が国家権力を独占している。しかも議席の世襲が常態化して、能力のない議員たちのスキャンダルが日常茶飯事である。 もはや豊かでもない「不幸せの国」である。 小林節 慶応大名誉教授 1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)
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