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森友問題、試掘写真偽装が発覚…真相追及する野党のほうを批判するNHK報道への疑問
https://biz-journal.jp/2019/02/post_26884.html
2019.02.28 文=青木泰/環境ジャーナリスト Business Journal
写真1:NHKで森友問題をスクープし、退職に追い込まれた相澤冬樹氏。
野党合同ヒアリング(司会・進行:川内博史衆院議員)による大阪への出張調査によって、森友問題をめぐる試掘写真偽装問題は大きく進んだ。当サイトで前回報告したように、今年1月17日に野党合同ヒアリングメンバー9人は大阪まで出張し、試掘事業者と籠池泰典前森友学園理事長から説明を受けた。野党の積極的な取り組みによって、試掘写真資料を作成したとされる事業者から重大な事実をつかんだ。複数の試掘穴として説明されていたものが、同一の試掘穴であったという偽装の決定的事実を、試掘写真を作成した当の事業者が認めたのである。それに加え、1月30日に提出された同事業者による国土交通省への回答書でも、同一写真を使い回し、写真偽装の当事者として一枚かんでいたことを認めている。
同社はHP上でも取引先の事業体として財務省近畿財務局を挙げ、いわば森友問題の当事者となっているが、回答書では、その一方で野党によるヒアリングの発表を批判している。これをNHKは「森友学園問題 立民・共産の議員の発言に工事業者が反論」と大きく取り上げたが、筆者が確認する限り、NHKはこれまで写真偽装問題を取り上げたことはなかったが、今回は事業者の報告を鵜呑みにして野党を批判した格好になっている。
NHKは本来であれば、事業者である藤原工業株式会社(藤原浩一社長)がなぜ写真偽装を行ったのか、さらに国に対しても、なぜ偽装写真をチェックすることなく8億円の値引きの根拠とする公的資料として使用したのか、真実に迫るような報道をするべきではなかったか。このタイミングで、追及する野党を批判するというのは、真相解明にブレーキを掛けることになるのではないか。この写真偽装問題に対するNHKの報道は、見過ごすことができないほど変だ。
NHKが本件を報道した内容(※1)をみると、写真偽装には触れず、「森友学園問題 立民・共産の議員の発言に工事業者が反論」と野党批判を前面に出して報道している。この報道によってインターネット上では、「#嘘の時代を終わらせよう #立民議員の嘘」「立憲民主党と共産党、マスコミがグルになって、捏造歪曲をしたということなんだね。これでどれだけ国会を空転させたんだ?説明してもらわないとね」「野党の偽装はだれが追及するん??」などと大騒ぎになっている。本質的な問題である写真偽装などは、どこかに吹き飛んでしまっている。
翻って、今回の事業者による発言や回答書は、野党合同ヒアリングのメンバーが、ようやく突き止めた重大な真相・事実である。藤原工業の発言や回答書について、報道した多くのメディアは、「事業者がごみの写真の『引用を誤った』」「写真の使い回しを認める」と報道した。
実際、写真2は2016年4月5日に撮影された試掘写真であるが、その中に示されるNo7の写真で見るように、掘削穴の中央下辺部の青い線で囲まれた部分を拡大したのが、No11の写真であることがわかる。地下水のくみ上げホースの状態を見ても、同じ掘削穴の写真の一部を拡大して2つの掘削穴のように見せていたことが分かる。このようにして場所も深さも異なる穴として説明し、手の込んだ偽装を行っていた。
写真2:試掘写真の偽装写真と問題になった21枚写真資料の一部。No11の写真は、No7の写真の一部を拡大した写真
■工事事業者の回答書の内容
説明を行った藤原工業は、森友学園が校舎建設を委託した事業者である。この藤原工業は、1月17日の野党合同ヒアリングの後すぐに、国交省に回答書を上げ、国交省はそれを2月4日に参議院予算員会懇談会宛に報告した。その回答書の中でも「同一の試掘穴である」ことは認め、その点の変更はない。その一方で、藤原工業は17日の「私の発言の一部のみ取り上げ、『あたかも当社の報告が全部いい加減であった』かの報道がなされ、当社は当惑している」と回答書に記載している。
では、「同一の試掘穴」であるのに複数の試掘穴と偽った点については、どのように回答しているか。藤原工業は以下のように説明している。
「『すぐ出してほしい』と、とても急な依頼がありました。ところが、この時に撮影していた社員が、代休中のため、別の写真を選定し、一部誤って同一の写真を使用してしまいました」
「これは試掘写真として前に掘った時(No1〜No20)の写真が混在しており、資料管理が適切でなかったため、起きた単純なミスです」
理由にならない理由を述べ、「資料管理が適切でなかったため、単純なミスだ」と結論付けている。「いい加減にやった」といわれても仕方のない、「反論」とはいえない「反論」である。しかも、この同一の写真の使い回しは、別の写真を間違って使用したというようなものではない。写真2で見るように、もともとNo7の1枚の写真の一部を拡大して切り抜いて写真No11としている。写真No7を加工してつくったのが、写真No11である。
1枚の写真からその一部を抜き取って拡大するというような手を加えているのである。担当者が休んでいたというよりは、良くわかった人間にしかできない加工を行っている。これこそ偽装にほかならない。単純なミスで起きたものでないことは、はっきりしている。NHKは、この業者のデタラメな「反論」に依拠し、根拠なく野党を批判したのである。
通常メディアはこのようなケースで、工事事業者が「反論」したこと自体が事実であったとしても、その反論が事実を根拠にしているか、その反論の有無が問題となっている本論の要旨にかなうのかを考えて報道する。ここで問題になっていた藤原工業が試掘した写真資料は、8億円値引きの根拠資料であった。そのため、ほかのマスコミ各社は写真偽装に注目し、国交省資料を作成したとされる藤原工業社長の発言に注目し、「事業者がごみの写真の『引用を誤った』」「写真の使い回しを認める」と報道したと考えられる。
■試掘は、地下深部からごみが出たのかを調査するのが目的
藤原工業が森友学園から校舎建設を委託され、16年に入ってから校舎建設に入った。その後の主な経過は、時系列で並べると次のようになる。
・16年2月、校舎建設の地盤対策のための基礎杭打ちに入った
・同3月11日、基礎杭に埋設ごみが引っかかったと近畿財務局に報告があった。
・同3月14日、近畿財務局、大阪航空局が現地視察に入り、地表面にごみが散乱している様子を見て、国(近畿財務局と国交省)が試掘調査の提案を行い、
・3月30日に試掘調査が行われる
その時の様子は、近畿財務局職員が「17枚写真資料」として撮影・作成した。17枚の内、16枚は積み上げられた埋設ごみであり、掘削穴は1枚であった。写真に写っている埋設ごみの山を見ると、大量のごみがこの時点でも埋まっていたことになる。
しかし、藤原工業が校舎建設に入る前年の15年7月から11月まで、森友学園から委託を受けた中道組が土壌改良工事を行い、重金属汚染土を除染し、埋設ごみの撤去作業も行っていた。その代金は森友学園が支払っていたが、貸付契約書の規定により国が支払うことになっていた。森友学園前理事長の籠池氏が、安倍晋三首相夫人の昭恵氏と官邸職員(当時)の谷査恵子秘書を通して財務省に早く支払うように求め、その代金約1億3000万円の支払いの約束をとったのは、この中道組が行った土壌改良工事の件である。したがって、国がこの1億3000万円を支払うにあたり、土壌改良工事の工事結果を確認していれば、17枚写真資料に見るような埋設ごみが、すでに撤去した土地から出るはずはないと一蹴してよいものであった。
一方、この土壌改良工事では、学園用地の校舎敷地となる北側約半分を3mまで掘削し、南側のグランド部分は1mの深さまで掘削していた。そのため、北側敷地部分については、もし3m以深(=より深い)の部分から埋設ごみが掘り出された場合には、新たに検討することになった。そこで、藤原工業が掘削した17枚写真に示された埋設ごみが、実際に3m以深から掘削されたものであるかが問題となり、その調査として行われたのが16年4月5日に実施された試掘である。
国は17枚写真資料に積み上げられた埋設ごみが3m以深から掘り出されたことが立証できる試掘写真資料が必要となり、4月5日に試掘したのである。そこで撮影・作成されたのが21枚写真資料である。
ところが、今回の回答書でも藤原工業は、もともと掘削した深さなど気にしていなかったと答え、写真の偽装についても「単純ミス」ですまそうとしている。
■回答書の虚偽記載の数々
NHKは藤原工業の主張を正しいかのように、そのまま報じているが、同社の報告書を注意深く読むといくつもの虚偽が書かれてあることがわかる。まず、「平成27年(2015)12月3日付けで、学校法人森友学園と請負工事契約を締結し、地盤改良工事に着手しておりました」「しかし翌年になって、工事中に大量のゴミが掘りあげられてきた」と書かれてある。同社が土壌改良工事を行っている過程で大量の埋設ごみが出てきたというのだ。
しかし、森友学園の校舎建設工事では土壌改良工事を中道組が引き受け、その後に藤原工業は校舎建設を行ったのだが(※2)、中道組が埋設ごみを掘り出していた事実にはまったく触れていない。本件学園用地は大阪航空局自身が売却に備え、森友学園への貸し付けや売却問題が持ち上がる5年以上前から土地の調査を何度も行ってきた。
例えば2010年に行った調査データ(※3)によれば、埋設ごみが深さ3mより浅いところに少なからず埋設されていることは、わかっていた。しかし、その分は中道組が先に取り除き、約953トンの埋設ごみを除去していたと産廃マニフェストで報告されている。その分の工事費として森友学園が支払った金額は1億3000万円にものぼり、国が16年4月6日に支払うことを約束していた。
従って、藤原工業の回答書に書かれている、同社が土壌改良工事を行ったような記述は事実ではなく、したがって、同社の土壌改良工事で大量の埋設ごみが出てきたというのも事実ではない(※4)。もし同社が言うように、中道組が土壌改良工事(※5)を行った後も埋設ごみが大量に出てきたとすると、中道組が行ったとされる土壌改良工事も、それに伴って提出された産業廃棄物の交付・管理表や豊中市に提出された産廃マニフェストの内容もすべて事実ではないことになる。
その一方で、藤原工業が報告した産廃マニフェストでは、新築系混合廃棄物が194トンと報告され、ここで藤原工業が言う「大量の掘り出されたゴミ」は1トンも報告されていない。埋設ごみは「ゼロ」である。
また、新たに藤原工業が埋設ごみを掘削したことに対して国が工事費を支払えば、すでに国は中道組の土壌改良工事にも工事費を支払っているために、二重に支払うことになり、国の財務・会計上大問題となる。
結局、藤原工業がこの回答書で主張するような、同社が土壌改良工事を行い大量の埋設ごみが見つかったという内容を証拠立てるものはない。あえていえば、試掘写真資料しかない。しかし、その試掘写真資料は16年3月30日撮影の「17枚写真資料」と、同4月5日撮影の「21枚写真資料」だが、いずれも偽装が見つかっており、回答書はまったく信用に足りるものではない。
藤原工業の回答書は、同一の掘削穴を異なった穴と説明していた偽装を認め、しかも主張にも大きな誤りがあった。NHKは、このようなでたらめな回答書をよりどころとして、「工事業者が反論」と業者の主張が正しいかの報道を行い、森友事件の真相に迫ろうとしていた野党を名指しで批判した。これは政権の擁護を目的とした報道であり、公共放送として責任を問われる報道といえる。まず、このデタラメな回答書のどこに真実を見たのか、もしくはどこかの横やりで目がくらんでしまったのか、明らかにすべきである。
「森友写真偽装問題 新展開U」では、なぜ写真偽装が行われたのか、その経過や事実をたどり疑問を詳細に解明する。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト)
【注釈】
※1:NHK「森友学園問題 立民・共産の議員の発言に工事業者反論」報道内容
森友学園への国有地売却をめぐり、立憲民主党と共産党の議員が、現場を試掘して報告書を作成した工事業者から説明を受けたあとに発言した内容について、工事業者は「正確に引用されておらず、まったく異なる意味内容となっている」などと反論しました。森友学園への国有地売却をめぐって、立憲民主党と共産党の国会議員は先月、ごみが埋まっていた現場を試掘し、報告書を作成した工事業者から説明を受けました。そして、説明を聞いた両党の議員は、野党側のヒアリングで、「工事業者は『報告書は若い社員がいいかげんに作ったもので、深さを意識してつくったものではない』などと話していた」と述べました。これに関連して、工事業者が参議院予算委員会の理事懇談会の求めに応じて弁護士を通じて回答した資料が4日、提出され、この中で工事業者は「私の説明した発言内容が正確に引用されておらず、発言の一部のみを引用し、都合よく発言内容を合体したため、まったく異なる意味内容となっている」などと反論しました。
※2:『森友 ごみが無いのに、なぜ、8億円の値引き』(青木泰著作 イマジン出版刊)
※3:「平成21年度 大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)地下構造物状況調査業務報告書(OA301)」等
※4:実際に藤原工業の豊中市に報告された産廃マニフェスト(17年5月19日)では、新築系混合廃棄物194.2トン。埋設ごみは「ゼロ」と報告されている。
※5:重金属除染と埋設ごみの撤去
『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(相澤冬樹/文藝春秋)
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— biz-journal (@biz_journal) 2019年2月27日
《NHKは本来であれば、事業者である藤原工業株式会社(藤原浩一社長)がなぜ写真偽装を行ったのか、さらに国に対しても、なぜ偽装写真をチェックすることなく8億円の値引きの根拠とする公的資料として使用したのか、真実に迫るような報道をするべきではなかったのか。 https://t.co/c9bxyKRF5S
— kinugawasatoru (@azuchijyou2013) 2019年2月27日
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— ステイメン@打倒!凶人安倍! (@deskain) 2019年2月28日
すっかり取り上げられる事も減少した「#安倍晋三記念小学校」問題だが、捏造が発覚した「試掘写真」について、追及した野党を批判する #犬HK の姿勢は言語道断だ! pic.twitter.com/BjlKZ8qvgJ
NHKも業者も役所も皆グル、としか言いようがない。社会人やっててこんな恥ずかしい仕事や言い訳をよくできた・言えたものだ。
— 長渡ワークス-英語 (@NagatoWorks_Eng) 2019年2月28日
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(相澤冬樹氏)NHKは本来であれば、事業者である藤原工業株式会社(藤原浩一社長)がなぜ写真偽装を行ったのか、さらに国に対しても、なぜ偽装写真をチェックすることなく8億円の値引きの根拠とする公的資料として使用したのか、真実に迫るような報道をするべきではなかったかhttps://t.co/ioodBaqEDS
— ファイナルファウンデーション (@finalfoundation) 2019年2月28日
NHKしか観ないお年寄りとか騙されちゃったりするんだろうな... https://t.co/MRerKpYLeV
— tany (@tani83st) 2019年2月28日
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- 森友問題、値引き根拠の写真に「一部誤り」 国が認める(STAP細胞なみのコピペ⁉) 戦争とはこういう物 2019/3/02 11:14:35
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