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「沖縄県民投票 示された民意は」(時論公論)
2019年02月25日 (月)
西川 龍一 解説委員
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/315091.html
沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画に伴う名護市辺野古沖の埋め立て工事の賛否を問う沖縄県の県民投票が24日行われ、反対票が投票数の7割を超えました。玉城知事は「極めて重要な意義がある」と述べましたが、政府はこれまで通り工事を進める考えで、県側と激しい対立が続くことになります。
▽埋め立て工事が進む中で改めて行われた県民投票の意義と焦点。
▽県民投票について、政府は当初から結果は工事に影響しないとの立場でした。今回の結果を受けた政府の対応は。
▽移設工事には新たな問題があることが明らかになりました。そのことがどんな影響を与えるのか。
以上3点を中心にこの問題を考えます。
まず、今回行われた県民投票の意義についてです。
今回の県民投票は、普天間基地の移設計画に伴う名護市辺野古沖の埋め立て工事の賛否を、賛成、反対、どちらでもないの3つの中から選ぶというものです。これによって、辺野古移設の是非という1点に絞って民意を問うたところに大きな意義がありました。
開票の結果です。埋め立てに賛成が11万4933票、反対が43万4273票、どちらでもないが5万2682票。反対が賛成・どちらでもないを大きく上回り、投票数の7割を超えました。
沖縄県では、これまで、去年亡くなった翁長前知事、その翁長知事の遺志を継ぐ形で立候補した玉城現知事がともに辺野古移設阻止を掲げて選挙に圧勝しました。国政選挙でも、選挙区で移設容認を掲げて当選した候補者はいないなど、辺野古移設反対の民意は示され続けてきた形です。それでも「選挙の争点は辺野古移設の問題だけではない」などとして、政府の「普天間基地の危険性を除去するには、辺野古移設が唯一の選択肢」という説明が変わることはなく、移設に向けた工事が止まることはありませんでした。そうであるなら、争点を辺野古移設の是非という1点に絞る県民投票によって民意を明確に示すことで、改めて国に移設の見直しを迫りたいという狙いがありました。
投票率も大きな焦点でした。県民投票を実施する条例では、3つの選択肢のうち、いずれか多い方の得票が有権者の4分の1に達した場合は、知事はその結果を尊重し、総理大臣とアメリカ大統領に結果を通知することになっています。投票率が低ければ、4分の1に達するのは難しくなりますし、民意が示されたと言えるのかという疑問も生じます。結果は、投票率52%で、反対を示す得票は有権者の4分の1を超えました。
反対票は、先の知事選での玉城知事の得票をおよそ3万票上回っています。普天間基地のある宜野湾市でも反対票が7割近くになるなど県内すべての市町村で反対が賛成・どちらでもないを大きく上回りました。民意を明確に示すという県民投票実施の狙いそのものは達成された形です。
では、2つ目のポイント、今回の県民投票の結果を政府はどう受け止めているのでしょうか。
結果に法的拘束力はありませんが、玉城知事は、結果を受け、「辺野古埋め立てに絞った県民の民意が明確に示されたのは初めてで、極めて重要な意義がある。政府は辺野古が唯一という方針を直ちに見直し、これまで再三求めてきた県との対話に応じるよう強く求めていく」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は、けさ記者団に対し、「結果を真摯に受け止め、これからも沖縄の基地負担の軽減に向けて全力で取り組んでいく」としたうえで、「世界で最も危険な普天間基地が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならない」として、移設計画を進めるため、県民の理解を得る努力を重ねていく考えを示しました。
もともと政府は、菅官房長官が、今回の県民投票の実施が決まった際にも移設工事に「まったく影響はない」と述べていました。実施前から県民投票でどんな民意が示されるにせよ、関係ないと言わんばかりの発言に、沖縄では、強い反発がありました。安倍総理大臣は、ことあるごとに「沖縄の気持ちに寄り添う」としてきました。県民投票の結果を受けても移設工事への対応は何ら変わらないというのでは、こうした安倍総理の言葉との整合性がこれまで以上に取れないと受け止められかねません。
県民投票の結果に加え、早期の普天間基地の危険性の除去という政府の大義名分が揺るぎかねない事態が、明らかになりました。3つ目のポイント、移設工事に新たな問題があることがわかったのです。防衛省によりますと、辺野古沖の埋め立て予定地のうち、まだ工事が始まっていない東側の区域に、軟弱地盤があることがわかりました。軟弱地盤は65ヘクタールと埋め立て区域全体の4割に上ります。計画では埋め立て地の上に滑走路などが整備されることになっています。このため地盤を強固にする必要があり、防衛省によると海底におよそ7万7000本の圧縮した砂で作った杭を打ち込む改良工事が必要になるということです。
防衛省は、こうした工事は国内では実績があり、技術的には可能だとしています。しかし、その実績は、海面から70メートルの深さまでしかないということです。防衛省によると今回の軟弱地盤は最も深いところで海面から90メートルに及ぶと言いますが、実績の根拠については、説明はありません。改良工事に伴う設計変更は、沖縄県の承認を受ける必要があります。元々移設工事阻止を掲げる玉城知事は、承認しない考えです。今回の県民投票の結果を受ければ、なおのこと防衛省が承認を受けることは困難となります。国が法廷闘争などの対抗措置を取るとなれば、工事の見通しが立たなくなる、つまり、普天間基地の早期の危険性の除去となる閉鎖の見通しが立たないことになります。
そもそも普天間基地の早期閉鎖が見通せないということは、翁長知事時代から指摘され、去年11月に行われた国と沖縄県の協議の中でも、辺野古沖の軟弱地盤の問題を県側が取り上げていました。基地を移設するには軟弱地盤の改良工事が必要となることなどを根拠に、費用が当初の見込額のおよそ2400億円の10倍以上となる2兆5000億円を超えるとの県の試算を示しました。このまま工事を進めても新たな基地の運用には13年かかると想定されるとして、結局その間、普天間基地は固定化されると指摘しました。その際、防衛省は、県の主張に根拠はないとし、翌12月から、海に土砂を投入する作業を開始しています。防衛省が今になって地盤の改良工事の必要性を認めたことに、沖縄では国はこのことを知りながら土砂の投入を進め、埋め立ての既成事実化を計ったのではとの疑問を呈する声が上がっています。移設費用は全額、日本政府が負担します。公共工事にもかかわらず、防衛省は改良工事にかかる工期も費用も明らかにしていません。説明責任をどう果たすのか、使われるのは我々国民の税金です。
今回の沖縄の県民投票の実施に向けた署名活動を行った市民グループの代表の元山仁士郎さんは27歳。基地をめぐる政治的な対立が県民を二分する状況が続く中で、分断を乗り越えたいという声が若者の間から上がったことも、今回の県民投票の大きな特徴です。玉城知事は、「国民全体に県民投票の意味と結果をしっかりと受け止めてもらいたい」と述べています。「沖縄が日本に甘えているのか、それとも日本が沖縄に甘えているのか」という翁長前知事の言葉を思い起こす必要があります。
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